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タタ奈々と空稲で二次してます。 どちらのジャンルも原作設定をメインとしております。
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蒼太本の編集作業にかかりました。
うまくいけば、来年三月までには販売開始出来るかな~と考えながら
作業しています。
すっごい小部数になりますのでよろしくお願いいたします。

で、編集してて気が付いたのですが、月光までの前半部分で170Pくらいに
なりそうなので、そこでいったん切って、前後篇で編集になりそうです(^_^;)
文字のポイントをもう少し小さめにする予定ですが、それでも100P
超えるよね…

なので、後半部分の書き足しで、蒼太墜落事件に手をつけようかなと
考えました。
またまた米軍とか米軍とか米軍とか、見たこともないような世界への
妄想の第一歩が始まってますが、どうかお許しを。
途中出てくるスペイン語は三種類の翻訳サイトを確かめましたが、
皆違うこと言うので、(一番ひどいのはpapagoだった)適当な感じです。
たぶんネイティブの方が読まれたら、全然違う意味になっちゃうでしょう。


お話は続き記事からです。

拍手[4回]


◆◆◆




2043年四月、米軍横田基地から那覇に異動になり、そこから普天間の海兵隊に加わり特殊訓練を受けることになった。
――昨年12月に松島で最後のフライトを終えて、1月に市ヶ谷の防衛省で座学の研修を受け、2月に横田に異動。目まぐるしい日々を過ごし、気が付いたら沖縄にいた感じだ。
妻――ともう呼んで良いと思う。
郁は相変わらずと言うか、今年にはアメリカのニュージャージーにあったアパートメントを引き払い、2月には小金井にある実家マンションの一室に越して来ていた。
沖縄のキャンプ地に異動になるまでの、暫定的な処置だったが、市ヶ谷や横田から帰宅すると彼女と父がエプロンをしめた姿で「おかえりなさい」と笑顔を見せる様子は、予想以上に今迄にない嬉しい日々だった。
第11飛行隊に所属していた頃と違い、全くの孤独な任務だった。
自分より先に、ベテランのパイロットがやはり空自から、アメリカに出向しているとの事で、まだ会った事のない先達の踏襲した道を、自分は黙々と進むだけだったが、防衛省でも今迄にない形をアメリカ側から要求されている為、その場での判断が難しく、対応を待たされる事も数多くあったのだった。


普天間のベースキャンプでは主に体力作りから始めた。
そりゃ、『選ばれた』のは自分の筈だと初日には納得した。
こんな訓練、若さと体力と気合だけが勝負で、恐らく新型機の性能に耐え得る基本的な体力と気力をと言わんばかりの内容。
多分第11飛行隊時代にロードワークに出てばかりいたので、そこに目を付けられたに違いない。
ヤケになって、そんな風に頭の隅で考えながら、ただひたすらに訓練に着いて行くだけの毎日を送っていた。
だから訓練終了後の楽しみと言えば、妻を妻の勤め先まで迎えに行く事、だった。



「蒼太さん!」
男達に囲まれて、ピアノを弾いていた彼女がこちらに気がついた。
一斉に客が振り向く。
米軍は自衛隊よりは女性士官の割合が高くはあるものの、関わるのが海兵隊と戦闘機の部隊ともなると、男ばかりの集まりになってしまう。
それ故、この士官専用のクラブでピアノを弾く彼女は注目の的で、夫としてはヤキモキすることは間違いないのだが、幸いと言うか日本語よりは英語の方が、彼女が男たちを相手にする、その捌き方は悪くないようだ。
揶揄いながら絡んでくる士官を、上手くかわしてこちらにやって来た。
「お疲れ様です。あと30分でこちらも終わります。何か聴きたいナンバーありますか?」
「じゃあ、星に願いをとBeatlesのHey,Judeを」
「了解しました」
彼女はにっこり微笑んでピアノに戻った。
弾くのが楽しくて、仕方ない感じだ。
一時期音楽の為に、引き裂かれた時期もあったけど、今となっては心から良かったと感じている。
これが本来の彼女だからだ。
彼女がそっとピアノの鍵盤に指を置くと、ざわめいていたクラブのフロアがスッと静まり返る。
彼女の口唇から澄んだ声が、静かに流れる。
そう、このクラブではピアノの伴奏と共に彼女は歌っていた。
一度ウッカリ歌ってしまってから、クラブのオーナーに頼まれて歌えるナンバーを弾くように、指示されているらしい。
そう言う事は自分だけの秘密で良いんだけど、と思わなくもないが、気持ち良さそうに歌う横顔を見てると、これはこれで悪くない、と思う。
「カオル、最後にこの前キミが作ったって話してた曲弾いてくれよ!」
自分のいる位置とは、彼女を挟んで反対側の壁際から声がかかった。
あれは確か、今同じ隊にいる…。
彼女は軽く頷き、リクエストに応じた。
晴れ渡る空のように透明感のある音。
士官が客のクラブとは言え、体力勝負の軍人ばかりが客じゃ、正直オーディエンスは質が良いとは言えない。(自分も含めて)
けれどもその荒くれた野郎どもを、プレイ中だけでも静まり返らせてるならば、彼女の腕前も相当なもので、彼女の義兄があんな恨まれても仕方ないような策略を企んでまで、彼女を音楽の道に連れ戻したのは、正解だったと言うしかなかった。
彼女が弾き終えると、拍手と口笛とよく分からない音の混じった歓声が上がった。
「Kaoru, tan fina! niño Koi no en mí hasta ahora. Por qué la cama próxima a salir en cualquier momento.(カオル、そんな細っこい坊やはやめてオレのところに来いよ。ベッドはいつでも隣を空けておくぜ)」
リクエストした士官が、ニヤニヤ笑いながら言う。しかもこれはスペイン語?
明らかに喧嘩を売られてる。
「Basta. No es bueno en broma de ella.(やめて、彼はあまりジョークが通じないのよ)」
「¿Obtener la broma, ¿cómo que charlamos?(ジョークが通じなくて、どうやってキミを口説いたんだい?)」
「Lo digo en serio, gente cool como el.(わたしは真面目でクールな人が好きなの)」
彼女はにっこり笑って返した。
鉄壁の笑顔にヤレヤレとジェスチャーを返して、彼ーーアルヴィンはバイと手を振って引き下がった。
「……一体何て言ってたんだよ」
「わたしが好きなのは……蒼太さんだけですって言っただけです」
頬を赤らめて、彼女がこちらを見上げて言った。



宿舎までの帰り道。
流石沖縄の夏で夜になっても少しも気温が下がらない。
超音波のような音に聞こえる琉球蝉が、不思議な音を立てて鳴いている。
「気分は?」
「大丈夫ですよ」
彼女の働くクラブは、本国アメリカの知識層の影響を受けてか、全面禁煙だった。軍人相手のクラブの中ではまだまだ珍しいだろう。
もちろん禁煙じゃなかったら、此処で働くことを許さなかったに違いない。
彼女ーー妻は妊娠していた。
東京から那覇に異動になる頃に分かり、初期の大変な時期が過ぎるまで、彼女を東京の実家に残し、那覇には一人で赴任した。那覇から普天間に異動するタイミングで、沖縄地元の産科と契約し、出産は東京のーー自分が生まれた産院でする事になった。
彼女の気持ちを考えたら立ち会いたかったが、父と母から任せて欲しいと言われ、妻は妊娠7カ月には東京にまた移動する。
短い共同生活期間だった。
「お前、気を付けろよ。幾ら何カ国語も話せるって言っても、全部脳筋の野郎どもばっかりなんだからな」
「あら、アルヴィンの事言ってるんなら、彼の目当てはわたしじゃないですよ」
彼女の笑顔は最近少し奥が深くなって来た。何を考えているのか、ちょっと読みにくい。
「そうかな」
「蒼太さんのこと、すっごく気にしてるみたいです」
「…ゲっ」
あんなヒトマル戦車みたいに四角いマッチョな金髪碧眼に気にされても、こちらは一向に嬉しくない。
「そう言う意味ではないみたいです。でもアルヴィンは海兵隊隊員ではなくて、やっぱり他の隊から、何かの訓練で来てるって他の方に話してるのを聞きました。蒼太さんが同じ立場なので、気にしてるんじゃないでしょうか?」
「…そうかなぁ?」
自衛隊でも当然ながら米軍との絡みは深く、合同訓練は数々ある。
しかし百里の305から、ブルーチームと言うある意味特殊な隊に異動した為、経歴上あまり米軍との訓練の経験がなかった。
当然海外旅行の経験もなく、英語は話せても外国人との交流は殆ど無かった。
そう言う意味では、妻の郁には経験値でかなりの差がある。
今、現在行動を共にする、海兵隊の隊員たちの考えてる事なんて表情からも全く読めないと言っていい。
「彼らにしたら、蒼太さんの方が何を考えてるか分からないんでしょうね。日本人って対外的にも表情からは読みにくいって言われるし。そう言えば蒼太さんと同じ隊の方が『キミはニンジャボーイの奥さんだって?』って聞いてきたことありました」
「忍者にファンタジー持ち過ぎ…」
ヤレヤレとため息を吐いた。
「あのさ…」
やはり海の側だから、風からは潮の香りがした。
「来月には飛行訓練に入るらしい。俺、三年間T-4操縦しちまったから、現用機にブランクあるんだよな。しばらくF-35操縦して慣らしてから、もう少し実際的な訓練に移るって」
「ようやく空が飛べるんですね」
「ああ」
見上げると、そこには宵の明星が輝いていた。
彼女の柔らかな髪をくしゃりと撫でる。
「来年にはアメリカなんですよね。あっという間ですね」
「そうだな。来年には三人になってる」
今の訓練内容と言い、今の生活と言い、してる我慢は多々あるものの、充実していると言っていい。
彼女の柔らかい手を掴んで家路を急いだ。
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次女妊娠中にQEDにはまりました。
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著作権も一応手放してはいないので、
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……なんじゃ!このネタ!?と
思ったら、目をつむって十数えてなかったことに
して欲しいです^^;
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