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タタ奈々と空稲で二次してます。 どちらのジャンルも原作設定をメインとしております。
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拍手ありがとうございます。
結局あまり変更はない形で、ほんとにちょっとした修正で進んでいます。

ぼちぼちF-2後継機についてニュースにもなってきていますが、そうすると
蒼太が関わるのはF-…なにになるのかな?4はおじいちゃんがjの名前の付いた
機体であるしなーと考えています。
開発中ならばx-3になるのでしょうか?

どちらかと言うと、プロジェクトXみたいな機体の開発の話が好きで、
整備士さんのお話をお伺いする機会もあるのですが、
飛行機の性能もあちらをたてればこちらがと、メリットとデメリットを
計算したお話になるようです。
まあ、何と言っても開発費用と汎用性が性能の前に立ちはだかるのは、
どの業界も変わらないのかな(^_^;)


あまり変わってなくてすみません。
お話は続き記事からです。


拍手[2回]


◆◆◆

「うわ、これ今回の『イケメン』ですか?すごい!マジでイケメンですねっ」
後輩になる編集アシスタントの女の子が、わたしのパソコンの画面を
覗き込むと言った。
「前回のピザ屋のお兄さんはかなり微妙でしたもんね~。
髪型が違ったらイケメンの枠かどうか…」
「そうね、そう言う意味でも彼は本物ね」
わたしは画面に大きく写し出された、パイロット服の男性の隣に書かれた
ーー航空自衛隊、二等空尉、松島基地第四航空団飛行群第11飛行隊所属、
空井蒼太のプロフィールをじっと見た。



ダメ元で仕掛けた取材依頼だったが、仕掛けた先の空幕広報室は、意外な事にその日の内に
OKサインを出して来た。
「大丈夫、多少のスケジュール調整なら幾らでも効きますから」
空井室長は電話の向こう側で優しい口調でそう言った。
『出来たら戦闘機のパイロットを――』
そんなこちらの要望に、彼は「それなら」と言って、ファイルから一枚の写真を出して来た。
「――今年ブルーインパルスのパイロットになったばかりなんですが、お買い得ですよ。イケメンなのは太鼓判押せます」
「ブルーインパルスって、あの航空祭や東京オリンピックの時に飛んだ、アレですよね」
「そうです。元々空自の広報としての役割がある部隊です」
「そうなんですか…」
最初は一頁だけの小さな企画だったが、好評価を得て先月号からニ頁に増えたばかりだ。
尤も写真が殆どで、あまり内容はないのだけれど。
「あの…失礼かもしれませんが、24歳ってパイロットとしては大変お若いですよね?」
――空井蒼太、ニ等空尉、24歳。
そう書かれたプロフィールを見ながら、わたしは目の前でにこやかに話す、広報室長を見た。
なんでもファッション誌からの取材依頼は初めてとかで、室長自らが営業に当たっているから、驚いた。
どうも一般的なイメージから、自衛隊とて国家公務員、もっと敷居が高いだろうと予想していたのだ。

空井室長は一瞬考えるような表情をしたが頷きを繰り返しながら、こう言った。
「ええ、彼の場合は異例の早さでした。空自でも初です。残念な事に戦闘機のパイロットを志願する人員自体が、近年減少傾向にあることも影響しているのですが……。ただ彼の場合もう一つ理由があります」
「理由?」
「早生れなんです。一月の末の生まれで。生まれる前の晩に東京でもかなりのドカ雪が降りましたが、生まれた日は快晴で、真っ青な空だった。それで母親が蒼太と付けたんです」
この時わたしは新進気鋭のパイロットのプロフィールを見た時に、気が付いたことを尋ねることにした。
「あのう…空井室長と同じ苗字ですが、ご親族ですか?」
「ええ。自慢の息子です」
「息子さん…」
そう言えば姿と言うか、雰囲気は似てる。
顔立ちは息子さんの方が鋭角的かしら。
そんな風に思い、空井室長の顔を見たら、にっこりと微笑み返された。

今年定年だと言う空井室長を紹介してくれた、報道関係の雑誌の記者はこんな風に言っていた。
「『絵空言でも本当に企画にする空井』で有名な人らしいから、頼りになると思う。確かに自衛隊にファッション雑誌はなかなかない企画だろうけど……空井さんなら、もしかしたら」と。
名物広報官として、その筋の記者たちには有名らしい。
「母親似でね、イケメンでしょう。今イチオシです」
「そうですね。ウチの企画にぴったりです。掲載は四月発売の五月号になりますが」
「ええ、結構準備期間が頂ける形ですね。十分です。質問内容などはチェックさせて頂いても?」
「はい。ではなるべく早めに固めておいて、お知らせ致します」
わたしはホッとして、目の前の資料を片付けた。
「後は……槙ニ尉!」
空井室長は振り向くと、デスクに座っていた一人の女性を呼んだ。
「はい」
「此方、ファッション雑誌AZULの記者の鷹島郁(かおる)さん。鷹島さん――これからはこの槙が連絡窓口になります。
 何かありましたら、お気軽にお知らせ下さい」



「驚かれたでしょう」
槙ニ尉はやや苦笑気味で話しかけてきた。
流石に自衛官だけあって、姿勢もモデル並みに良く、背も高いせいか、
歩くのも早かった。
わたしは必死に早足で彼女について行く。
「空井室長の愛妻自慢と息子自慢は、有名なんです。きっと、AZULさんの企画にここぞとばかりに売り込んだに違いないですよ。蒼太は辟易すると思うけど」
「…え?」
槙ニ尉が空井ニ尉をファーストネームで呼んだことに気付く。
「あ、ああ、わたしたち幼馴染みなんです。もう退官してますが、わたしの両親も自衛官で。親ぐるみでお付き合いがあります。何せ飛行機バカなんで、蒼太はファッション誌の取材なんて言ったら、グズるかもしれませんが、室長もああ仰ってますし、大丈夫ですよ。AZULさんの働くイケメン企画の記事はわたしも良く見てます。消防士さんの回なんかは面白かったです」
「あ…ありがとうございます」
あの回は確かに人気があった。
意外に制服のある職種は女性から人気がある。
仕事に対する熱意があるように感じる――編集部に来た感想のメールの中にあった。
「松島でやさぐれてないか、リカおばさんも心配してたけど、…様子見て来てやって下さい」
「…?」
気のせいだろうか?
前を歩く槙ニ尉も先程まで応接室で話していた空井室長も、彼、空井蒼太には随分と気を使っている感じがする。
何故だろう。
この日感じた違和感は、当たっていたのだと後日に解った。
空井蒼太――彼の若くしてブルーインパルスのパイロットになると言う、異例の抜擢には早生れ以外の、当然の理由があったからだ。



他の仕事をこなしながら、わたしはブルーインパルスや航空自衛隊自身について、調べ始めた。
消防士を取材した時も、下調べが功を奏して短くとも内容のある質問が出来て、
反響のある記事が書けた。
だが航空自衛隊ともなると、学生と名が付く間は両親の仕事の都合でずっと海外にいたわたしには、まるで未知の世界だ。
自衛隊―――
他国では軍隊とはっきり称される組織に当たるが、日本では『専守防衛』を掲げて『自衛』隊と書く。
難しい位置にある組織で職種だろう。
彼らの広報活動に当たる航空祭も、わたしは一度も見に行ったことがない。
パソコンの画面に映し出されたブルーの鮮やかなペイントのT―4は、飛行機のことなどまるで知らないわたしにも美しく見えた。
第11飛行隊の歴代隊員は三十前後の人物が多いから、確かに空井蒼太の24歳は若い。
普通の戦闘機を扱う部隊より、協調性とやはり広報活動に従事する為か社交性を要求されると説明には書かれている。
「それなら…」
読者受けしそうな写真が撮れそうかしら?
そう思ったが――考えが甘かった。



四月。
結局雑誌側の編集の都合で、記事の掲載自体がひと月延期になり、わたしは桜前線と一緒に北上する形で松島基地へ向かった。
松島でも空井室長の口利きが効いているのか、渉外室の室長も第11飛行隊の隊長もわたしを歓迎してくれた。
「まだ着任したばかりだから、これからの奴なんですが、オススメですよ」
精悍な顔付きの隊長は微笑って、わたしを案内した。
「SKY!」
すると部屋の奥から、やや細身の青年がつかつかと歩いて来て敬礼した。
「月刊誌AZULの記者の鷹島郁さんだ。今日はお前の取材の為に来た」
すると空井二尉の背後にいた、もう少し背の低いいかにもパイロットらしい明るさを持った青年が、空井二尉にウィンクして声を掛けた。
「SKY!やるじゃん。AZULって若い女の子向けのファッション雑誌だろ?
 いっそモデルにでも転職か?」
「…まさか、無理です」
揶揄する先輩パイロットにやや皮肉げな笑みを向けながら、此方を向いた。
「空井蒼太です。よろしくお願いします」
カメラのファインダーを覗きながら、つくづくと思ってしまった。
こんな綺麗な男の人もいるんだなあと。
パイロットスーツを着ていても、彼がすんなりと細身なのが解る。
男性としては色白で目許などは恐らく母親似なのだろうか、優しく柔らかな印象を受ける空井室長とは違い、切れ長の眦が綺麗なラインを描いて、彼独特の雰囲気を持つ眼差しがあった。
そう。
少し繊細で神経質な感じがする。
表情の動きからもそれを感じるが…。
「空井ニ尉…あのうもう少し微笑ってくれませんか?」
これは女性向けファッション誌の記事なのだ。
一見緊張感で張り詰めた表情も悪くはないけど。
それでも彼は表情を崩さなかった。
社交性は何処にいったんだろう。
それも見込まれて、彼はこの隊にいるんだよね?と考え始めた頃、幼馴染みだと言っていた槙ニ尉の言葉を思い出した。
もしかしたらわたし歓迎されてない?
――そうかもしれない。
普段から命のやり取りを義務づけられている職種の人に、『好きな食べ物は?』とか『休暇の過ごし方は?』とか『好きなタイプの女性は?』なんて質問をぶつけるのだ。
失礼でない筈がない。
つい窓口になった空幕広報室の応対が柔らかかったので、失念していたのだ。
今日は仕方ないかな。
そんな風に思いつつも、コクピットに座る姿を撮りたいからと言って、頼んで見るとあっさりと頷いてくれた。
「隊長から許可は出てます」
あ、今微笑った?
ヘルメットは顔が隠れるからとそのまま乗って貰う。
やっぱり少し嬉しそうだ。
シャッターを続けて切った。
家に戻って画像を早速パソコンに出してみる。
戦闘機のパイロットなんて、なかなか出会える職種ではないから
元々興味はあったが、彼本人に会ってみたら尚更関心が増した。
何故だろう?
決して愛想は良くなかった。
いや悪いとも言えた。
帰り際基地の門で転びそうになった時は支えてくれたが、ーーやや呆れた表情だったし。
イケメンだから?
でもただ美形なだけなら、取材で俳優やモデルに会うこともあるから、わたしにとって珍しい訳じゃない。
辛うじて彼が笑顔になったのは、ブルーインパルスのコクピットに座った時だ。
あの時はドキリとした。
外にまで心臓の鳴る音が、聞こえたんじゃないかと思う程。
本当はあの表情が彼の本質なんじゃないかと感じた瞬間。
そこまで考えてモヤモヤしてしまい、パソコンを閉じた。
翌日、わたしは空幕広報室に出向いた。
予定を聞いて見ると空井室長も在席していると言う。
用件は槙一尉でも足りるだろうが、空井蒼太の父親である空井室長に、先日撮影した写真を見せてみたかった。
スナップだが、簡易アルバムの頁を捲りながら、空井室長は苦笑気味の笑顔を向けた。
「やれやれ、愛想がない…おや」
わたしの予想通りの場所で、空井室長はアルバムを捲る手を止めた。
「蒼太の奴、ゲンキンだなあ…。コクピットに座った時だけこんな表情(かお)して」
空井室長はしばらくその頁の写真をじっと見つめていた。
「鷹島さん、ありがとうございます。アイツの微笑う顔、久しぶりに見ました。父親として御礼を言います」
「え…」
驚いてしまった。
空井室長は綺麗に深々とお辞儀をしている。
これは松島基地でも気付いたことだが、自衛隊員の人は皆、お辞儀が綺麗だ。
「どういうことでしょうか?確かに空井ニ尉はなかなか笑顔にならない方だとは思いました。でもそれが彼の本質ではないような気もして。だって、若くして厳しい訓練に耐えて、やっと入れた部隊なんですよね。もう少し嬉しそうにしてもいいんじゃないかと」
わたしは彼に会って感じた、そのままの感想を告げた。
「貴方は素直な方ですね、鷹島さん」
空井室長はひと呼吸置くと、また言葉を続けた。
「蒼太の笑顔を逃さず撮って下さった貴方だから。…確かもう一度取材しに行かれるんですよね?」
「は、ハイ。今度は本職のカメラマンが来ます。頁を半分埋める写真になるので――出来たらブルーインパルスと空井ニ尉を一緒に撮りたいと」
「いいですね。こんなことでアイツも、少し心を開いてくれればいいんですが」
「え?」
「前に話しましたよね。蒼太がドルフィンライダー、…ブルーのパイロットに選ばれたのは異例だと」
「そう言えば…」
「本当は蒼太の同じ隊にいた二年上の隊員が抜擢されて、内示も出ていました」
「……」
空井室長は先程槙ニ尉が運んできたコーヒーを、どうぞと勧めた。
プラスチックのカップをそっと口許に運ぶ。
「ところが休暇中に交通事故に遭い、一週間後に亡くなりました」
「………!」
「その抜擢された隊員の年代はたまたま彼らが航空学校を受験する高校生の時に、大きな航空機の事故が続いた影響で、学生も人材不足でね。下の代に抜擢の機会が回って来たんです」
「それが蒼太さんだったんですか…」
「そうです」
それは――素直には喜べないかもしれない。
「わたしの影響もあって、蒼太の夢はほんのチビの頃から、『ブルーのパイロットになる』ことでしたが、素直に喜べなくなってしまった。本来なら広報活動の為、社交性もかなり重要視される部隊なので、あんな表情(かお)してちゃ不味いんですが、隊長も事情を知っていて、今年一年様子を見てくれるようです」
「そう…だったんですか…」
彼には笑いたくない、笑えない理由があったのだ。
編集部に戻ると記事をまとめ始めた。
来週、また松島に行く。
わたしはパソコンのキーボードを打つ手を止める。
空井蒼太――彼から笑顔を引き出す術。
そんなものあるのだろうか?
何か重い荷物を引き渡されたようで、ため息が出た。


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