タタ奈々と空稲で二次してます。
どちらのジャンルも原作設定をメインとしております。
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リライトなので、連続更新。
あまりお話に変化はない予定で参ります。
こう見ると、ホント蒼太がブルーチームになれたのって、
よほど人員がいなかったのか?!と不安になる展開です(^_^;)
ダメでしょ、笑顔が基本ですよ、笑顔がw
お話は続き記事からです。
あまりお話に変化はない予定で参ります。
こう見ると、ホント蒼太がブルーチームになれたのって、
よほど人員がいなかったのか?!と不安になる展開です(^_^;)
ダメでしょ、笑顔が基本ですよ、笑顔がw
お話は続き記事からです。
◆◆◆
「いいなあ…スゲー可愛いコだったじゃん。お前ツイてるな」
取材が終わって部屋に戻ると、現在5番機のORの平田先輩が声をかけて来た。
今はこんな言葉でも、チクリと突き刺さる有り様だが、決して顔色には出すまいと内心必死だ。
それ故――つい表情に抑揚がなくなる。
ブルーのパイロットは極度に協調性――シンクロする能力とでも言うのか、チームワークを要求される為、休暇以外は皆同じ宿舎で生活をする。
だがこの松島基地第四航空団飛行群第11飛行隊に異動になってから、覚悟の上だったそんな基本的なことも息苦しく感じることがあった。
ブルーのパイロットになる。
それは紛うことなく、確実に幼い頃からの自分の夢だったのに。
手に届かない、それこそ『夢』のままのがいっそ楽だったと思う程だ。
『悲劇のパイロット』
それが父、空井大祐に冠せられた形容詞だった。
父は25歳でブルーインパルスのパイロットの内示を貰い、そして松島基地への異動の直前の休暇中に交通事故に遭い、
P免になった。
以後内勤で各基地の渉外室や空幕、統幕などを廻り、今は空幕の広報室長を勤めている。
本人は『あの事故のお陰で気付いたこと、得たものは沢山あるから、悲劇だなんて思わないよ』と微笑っていた。
けれど父の内心がその笑顔ほど単純なものでないことは、知っている。
自分が小学生の時の運動会で父兄の参加行事だった障害物競争に出た父は、途中どうした訳か転倒して、最後になってしまった。
母は驚いて、いつも冷静な彼女にしては珍しくオロオロしたが、その場では父はいつも通りの笑顔で頭を掻いていた。
だがその日の夜に一緒に入浴していた時だ。
父は膝にある手術痕を眺めてポツリと呟いた。
「……ちくしょう」と。
悔しくなかった筈はないのだ。
夢に手が届いた所で、どんな廻り合わせか、その『夢』をもぎ取られてしまったのだから。
だから父の分も頑張ろうと殊更思って来たのに、自分の立たされた道程は皮肉だった。
「お前、俺の後からでも来いよ。一緒に複座乗ろうぜ」
面倒見のいい先輩だった。
あの日、休暇を代わって貰わなければ、事故に遭ったのは自分だったかもしれない。
夢を絶たれたのは自分だったかもしれない。
ましてやその先輩の代わりに、抜擢されたのが自分だなんて。
『空自でも初の25歳前にドルフィンライダーに選ばれたパイロット』
『父親の夢を背負った幸運な男』
そして『人の不幸をネタに伸し上がったヤツ』
―――そんな称号が自分には付きまとっていた。
一週間後。
また例のファッション雑誌の取材があった。
整備士の田宮ニ曹が笑いながら自分の背中を小突く。
「きちんとメアドなりラインIDなり聞いとけよ。ことに飛行隊は女子少ないんだから、チャンスは逃すな」
「…頭、緩そうでしたよ」
「お前な…」
すると格納庫の入口から小走りに鷹島郁と名乗った、その雑誌記者が後ろにカメラマンを連れてやって来た。
挨拶するかと思いきや、自分を通り越して、ブルーの翼の前に立つ。
「先週来た時も思ったんですが……うわああ、やっぱり綺麗な飛行機ですよね!」
「綺麗に撮ってやって下さい。今日は殊更念入りに整備しましたから」
田宮ニ曹が鷹島郁の横に立って言った。
「ええ、その為にメカ物得意なカメラマンさんにお願いしました」
…撮りに来た被写体は『俺』じゃないのか?
いつの間にかブルーが主役になってる。
――その方が気が楽か。
割り切って、また彼女を見た。
ふわりとしたショートカットは、何処となくテイストが異国めいている。
そう言えば帰国子女だと父が言っていた。
「ああ、すみませんでした。今日はお天気微妙だし、出来たらこの格納庫で飛行機と一緒に撮影させて下さい。基地の渉外室にも飛行隊の隊長さんにもお話は通してあります。勿論――空幕広報室にも。少し記事の趣をいつもと変えようと思います」
鷹島郁はこれ以上ないくらいの笑顔で、こちらを見た。
「あの良かったら、整備士さんもご一緒に」
「え、自分もですか?」
「ええ、ブルーのパイロットと整備士は任期の間は機体を変更することはなく、その結び付きも強いと聞きました。出来るだけ勤務中の自然な姿を撮影したいので、整備士さんもご一緒の方が」
「うわ、何だか刺身のツマみたいですね」
「まさか!もしこれが上手くいったら、次は整備士さんで特集組もうかと思ってるぐらいです」
お世辞でもなさそうな勢いで、彼女は田宮ニ曹に返した。…ふうん、緩いなりに少しは勉強したんだな。
前回は全くの平地をローヒールの靴で転けてた癖に。
突然振り向いて、丸い大きな瞳がこちらを見た。
「空井蒼太さん、今日は一日よろしくお願いします」
何故か心臓が飛び跳ねたように感じたが…気のせいだと首を振った。
撮影は順調に済んだ。
インタビューも畏まってするような物ではなく、田宮ニ曹と一緒に任務中の話やオフの時どう過ごしているかなど、自然な運びで進んだ。
「そう言えば空井ニ尉が異動してきて、一週間目に面白いことがありましたよ」
田宮ニ曹がポンと肩に手を置いた。
「何せ24でブルーのパイロットでしょ。皆、幸運にあやかんなきゃって、オフの時間帯に覗きに来る他の隊の隊員が多くて。それで自分が『いっそ握手会でもしたらどうだ?』って言ってやったんですよ。それを聞き付けた女性隊員がぶわって並びましてね」
「……モテますね、やっぱり」
「うん、あれは幸運にあやかるっつーよりは、単に握手したかっただけだろうけど、女性たちが並び始めた途端、黒猫の兄弟がズラズラっと空井ニ尉の足元に来て」
「…あれは何日か前から基地の中をうろちょろしてたから、何度も外に出してやってたんです。万が一があったら、嫌だし」
バードストライクを始めとして、航空機に巻き込まれる動物の事故は後を絶たない。
実家でも幼い頃から猫を飼って来た身としては、避けたい事故だった。
「すぐに『黒猫に懐かれた男』ってアダ名がついたよな。確か黒猫は縁起悪いんですよね」
「ええ、まあ。よくそう言いますよね」
「コイツのドルフィンライダー抜擢は、幸運なんかじゃない。間違いなく実力です。偶々チャンスが一、二年早まっただけです。努力家ですよ、空井ニ尉は。空き時間は殆ど無駄にしてないし。皆解ってるんです」
「…………」
鷹島郁は頷いてペンを書く手を止めて、口を開いた。
「そう思います。先日空幕広報室で航空学校の学生がどんな勉強をするのか関心があったので、資料を貰ったんです。たった二年間なのに、すごい量のカリキュラムでした。ましてや戦闘機のパイロットは、身体的にも要求されるものが多いと聞きました」
「宇宙飛行士と同じような難関ですからねー」
「空井蒼太さん」
彼女は向き直ると、真面目な表情でこちらを見る。
「わたし、貴方を尊敬してます。だから良い記事が書けるよう努めます」
あまりにも真っ直ぐで素直な言葉に、どう答えたものか戸惑っていると、ニヤリとして田宮ニ曹がバンと背中を叩いた。
「…痛え」
結局半日以上撮影をして、彼女は帰って行った。
もう〆切まで時間がないので、そのまま東京のオフィスに向かい、原稿にすると言う。
「つい調べ始めたら面白くなってしまって、調べごとに時間をかけすぎました。実は取材をひと月遅らせて頂いたのも、その影響で。お手数をおかけしますが、写真のチェック、明日にはして頂きます。メールで渉外室宛に送りますのでよろしくお願いします」
「…蒼太でいい」
何故かバカ丁寧にお辞儀をする彼女を見ていたら、そんな言葉が出た。
「え?」
「フルネームもなんか…まどろっこしいから」
「……」
彼女のまるでラムネの瓶に入ったビー玉みたいな質感の瞳が、しばらく此方をじっと見つめた。
何処かで見た瞳(め)だなと思ったら、ウチの猫、イーグルに似てる。
何となく気恥ずかしくなって、俯く。
「じゃ、じゃあ、蒼太さん。写真のチェック、よろしくお願いします」
彼女はもう一度お辞儀をすると、コートを翻して基地を後にした。
翌日、クリアファイルにレーザープリンターで出力された写真が、何枚か入れられて、宿舎に届いた。
短い昼休みの最中だ。
そっと取り出して見た。
「………」
写真の中の自分は笑っていた。
意外だった。
もうこんな表情出来ないと思っていた。
特に此処にいる間は。
「へえ…いつもより五割増しに撮って貰ったじゃないか」
振り向くと写真を覗き込んでいたのは隊長だった。
「あのな、コレ」
大きめの雫形のアクアマリンと覚しき石のぶら下がったピアスが、差し出された。
「お前、GW前に休暇があるだろ。一度東京帰れ。松島に来てから、一度も帰ってないって聞いたぞ」
「…はい」
何だか『あの事』以来、父にも母にもどんな顔をしていいか、何を話していいか解らず、松島に異動になってからは、一度も顔を合わせていなかった。
「親不孝だぞ。あとな、このピアス、昨日の美人記者さんがしてた物だろ。さっき整備士の田宮ニ曹から渡されたんだ。お前、届けてやれ」
「え、何で俺、いや自分が?」
「あの雑誌の仕事引き受けたのお前の親父さんだろ?東京帰ったついでに、親父さんに場所聞いて届けてやれば」
「……名刺貰いましたから郵送すればいいんじゃ」
「バカだな、高いもんだったらどうする。それに――こんないい写真撮って貰った礼代わりだ。これも広報活動の内の一つだと思え。親切、かつ丁寧に。命令だ」
「…………」
有無を言わせず手渡され、受け取るしかなかった。
久しぶりに東京に帰ると、かなり珍しく母が手料理を作って待っていた。
メニューは父も自分も好物のベルギー風鶏肉の煮込み。
母が失敗しないで作れるメニュー、その1だ。
「AZUL編集部?」
早速父に聞いて見た。
「この名刺の住所だと、御茶ノ水と水道橋の間のような気がするけど」
「神保町の方が近いわ」
すいっと名刺を取り上げると、母が言った。
「この人が、この前見せて貰った蒼太の写真を撮った人?」
「なかなか優秀なお嬢さんだよ。ファッション雑誌の企画に必要とは思われないけど、航空自衛隊…特に戦闘機の飛行隊の資料を山程コピーして、持って行った。丁度昔のリカを見てるみたいだったな」
「…もうっ」
「………」
母の仕事も忙しいらしく、夫婦が食卓で向かい合うのは久しぶりらしい。
そっとポケットから、預かったピアスを取り出して見た。
蒼い透き通った色が、幼い頃ブルーが飛ぶのを初めて見た空の色を思わせた。
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次女妊娠中にQEDにはまりました。
当然ですが、原作者および版権元様とは
一切関係がありません。
閲覧に関しては、個人で責任を負ってください。
著作権も一応手放してはいないので、
ご利用の際はご一報下さい。
……なんじゃ!このネタ!?と
思ったら、目をつむって十数えてなかったことに
して欲しいです^^;
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