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タタ奈々と空稲で二次してます。 どちらのジャンルも原作設定をメインとしております。
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最終話まで2更新となります。

途中混乱させてしまったかなとも思うのですが、
蒼太や郁がアルやアリサと話す時は英語、蒼太と郁、大祐君リカちゃんと
話す時は日本語です。
大祐くんがアルに話す時は英語、当然彼も出来たものと思います。

普天間の滑走路のナンバーが調べてみても分からなかったので、
(まあ米軍内部のことがネットで調べてわかちゃっても、アカンとは
思うのですがw)いい加減な数字を入れてあります。

お話は続き記事からです。



拍手[3回]


◆◆◆


基地から同じ部隊の隊員が車で迎えに来ました。基地内を結構歩く事になるので、妊婦のわたしに配慮してくれたようでした。
後部座席にわたしとリカさん、助手席に義父が座り、義父は運転する隊員に色々質問をしていましたが、アリサがわたしたちに話した以上のことをこの隊員も知らず、義父はお礼を言って諦めたようです。
「郁ちゃん、体調は?エアコンで冷えるかもしれないわね。膝掛けでも持ってくれば良かった」
そう言ってわたしの手を握るリカさんの手の方が、冷たく小さく震えていました。
「リカさん、今夜帰って来たら夕食どうしましょうか?リカさんが作ったプリンがデザートにあれば、彼は喜ぶと思いますけど」
「そ、そうよね。うん、作ろうかな。久しぶりに」
リカさんはふぅっと息を抜いて、座席の背もたれに寄りかかりました。
「うん、それくらいの気持ちでいなきゃダメね。そう言う事もあるって、あのコが航学受けた時から覚悟はしてたんだし」
「……郁さん、今蒼太と一緒に飛んでるのは、海兵隊のパイロットの方なの?」
「いえ――あまり詳しくは知りませんが、アルヴィン・ギルバート少佐はどうも外部から来られた方のようです。基礎訓練の時からずっと蒼太さんの横に付いてますから、恐らく」
「ああ、開発チーム側の…」
義父は運転席を慮り、言葉を濁しました。
既に車は基地の施設内を走っています。
隊舎ではなく、管制塔に来るように指示が出たようでした。



管制塔の下ではアリサが腕組みして待っていました。
「蒼太のご両親?」
わたしは頷きました。
「初めまして。いつも息子がお世話になっています」
「こちらこそ。こんな時ですが、ようこそ普天間へ。わたしは整備チームで代表を務めていますアリサ・スタンレイです。今回は上からの指示で、ギルバート少佐とソウタ・ソライの機体の整備も受け持っていました。どうぞ、こちらへ。詳しくは中で」
管制塔の扉を開けると、アリサはわたしを見ました。
「カオル、かなり階段登るけど、大丈夫?体調良くなかったら、すぐ言って。医療チームにも連絡が付くから」
「ありがとう、アリサ。わたし普天間市内の産院と契約してるから、もし何かの時にはそちらへ運んでくれたら、大丈夫よ」
「わかった。すみません、確かソウタのお父さんはパイロットだったと聞きました」
「はい、途中P免にはなりましたが」
「もう少し南西で発達する予報が出ていたスコールの雲が、思ったより東寄りの地域で急速に発達したようです。今年は台風が少なく、天気が良かったせいか、海水温の上昇が早かったようで…。アル――ギルバート少佐は上手く手前で避けてもうすぐ帰投しますが、どうもソウタはその直前に何かあったようで、連絡が取れません」
アリサの表情は厳しいものでした。
楽観視はまるで出来ないと、良く分かります。
管制室は3階分の階段を登りきった先にありました。
アリサはシーっと指を立てると、扉を開けました。
「Icarus1,Hutenma tower,Go Ahead」
『Confirm,Ranway35L.』
「Affirm」
アジア系の女性の管制官が振り向きました。
「ギルバート少佐、帰投しました。降りたらこちらに状況説明に向かうそうです」
アリサは頷くと、振り向きました。
「一度ここまで登って貰ったのに申し訳ありません。一階に休憩室があるから、そこでアルを待ちましょう」



「待たせたな」
いつもと全く違う、厳しい表情のアルヴィンが救命具を着たまま、部屋に入って来ました。
「また出るつもりだ。ただ目星は付けて行かないとと思って一度退避した。カオル、心配すんな。アイツ結構根性ある。最後まで諦めるヤツじゃないから、必ずアンタの元に連れ戻すから」
わたしはアルヴィンを見上げて――ゆっくり頷きました。どうしても言葉が出ませんでした。
「ギルバート少佐、私はもう退官しましたが航空自衛隊で一時期パイロットを務めていました。スマホのアプリではありますが、雨雲のレーダーの付いているものを先程確認してみたのですが、息子が巻き込まれた雨雲は、竹富島やや東寄りの海域に発生している雷雲ですか?」
「そうだろう。管制からの連絡でその雨雲を避ける為、早めの帰投を指示されてた。ただソウタは機体に何かあったのか、その指示も入ってなかったんじゃないかと思う。何せ――アイツのフライトってトレースしたようにキッチリ指示通りなんだ、いつもは。緊急対応にもしっかりマニュアル通りに判断して来るし、可愛げないくらいなんだが、今回それがなかった」
「バードストライクか何かで機体に何かあって、指示を聞き逃して雨雲に突っ込んでいたとして、上手くベイルアウト出来てる可能性は?」
「既に自衛隊の那覇のメディックが出動してるが、俺がもう一度行った方が早いだろう。ベイルアウト出来ても意識があれば良いんだがーー天気が味方になってれば」
「アル、準備出来たわよ」
先程まで帰投した機体の整備に向かっていたアリサが、扉を開けて言いました。
「少佐、息子をよろしくお願いします」
義父が深々と頭を下げるのを見て、隣にいたリカさんも頭を下げました。
アルヴィンはにっこり笑って、部屋を出て行きました。
わたしはただ――祈るしかありませんでした。



しばらくは休憩室のソファで、ただ座っているしかありませんでした。
最初無口だったリカさんですが、すっとわたしの手を握って話し始めました。
「あのね……蒼太の生まれた時のことなんだけど」
リカさんはわたしを見て、あのいつもの笑顔でにっこりとしました。
彼に良く似た――でも彼が滅多にしない表情。
「前の日に大雪が降ってね、とんでもなかったの。大祐さんは当時入間に勤務してたから、基地の雪かきで出勤しててね。なのに、1カ月も早く破水しちゃって……タクシー呼んでもなかなか来なくて、本当どうしようかと思った。そうしたら偶々集金に来た新聞屋さんが、お隣に掛け合ってくれて、お隣の方が大変な中チェーン付けて産院まで運んでくれたのよ」
「リカ――それ、俺知らなかったけど」
「そう言えば話してなかったかも。大変過ぎて、産まれたら、ああ良かったって気持ちでいっぱいになっちゃって。結局破水しても、まだ羊水が半分以上残っていて、あのコ普通の出産でヌケヌケと産まれて来てるし、お産の翌日は抜けるような青空だった」
「それで蒼太さんの名前がついたんですよね」
以前義父から聞いた話を思い出した。
「あのコがTRでブルーを操縦してた頃、他の理由はともかく天候不良でフライト中止になったこと、なかったでしょ。割とお天気の神様には好かれてると思うのよね。少々わたしに似てトラブル背負い込み屋だけど」
「確かに…」
深く頷く義父をリカさんは睨みましたが、二人がわざと――わたしをリラックスさせようと気を遣っているのが分かります。
彼の親である二人こそ、心配でたまらないでしょうに。
すると部屋の外からカツカツと靴音がして、扉が開きました。
「カオル!ソウタ見つかった!アルから『I found,Icarus2』って。何でも照明弾打ち上がるのを見つけたそうだから、ソウタは意識もしっかりしてるわ」
「……ほん、と」
「大丈夫。アルから那覇のメディックにも位置の連絡が行ってるから、ちゃんとソウタは助かる。まあ、しばらく検査で入院は仕方ないわね」
アリサはパチンとウィンクしました。
けれどもこの部屋に入るまでに、彼女も大きく息をついたのが分かります。
整備士としてどれだけ不安だった事でしょうか。
彼、彼女たちの任務はパイロットが帰投する確率を限りなく100%に上げる為、日々厳しいチェックや任務への真面目な姿勢が問われます。
以前ドルフィンキーパー…ブルーインパルスの整備士を取材した頃に、その仕事の細やかさや責任の重さに、大層驚かされました。
恐らく整備した機体に、一番無事に帰投して欲しいと祈っているのは、整備士なのではないかと感じた程。
彼も一人きりで空を飛ぶ訳ではなかったのです。
わたしが大きく呼吸すると、今までじっとしていお腹の中からポコンと蹴られた感触がありました。
「…貴方のパパ助かったよ」
涙が零れました。
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思ったら、目をつむって十数えてなかったことに
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