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タタ奈々と空稲で二次してます。 どちらのジャンルも原作設定をメインとしております。
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これで最終話となります。

すみません、駆け足の更新になってしまいました。
終わりが見えちゃうと、ぱーっと出来てしまうので、なかなか
ペースがつかめなくて難しい(^_^;)

タイトルはBeatlesのナンバーからで、「僕の想いの全て」とか
「ありったけの愛」とかそんな意味になるようです。
明るめのサウンドでBeatlesのナンバーの中では一番好きな曲です。

このあと以前書いたFool on the planetを少しリライトして、一旦終了となります。

コメント、拍手などありがとうございます。
返信は次回記事でさせていただきます。

お話は続き記事からです。


拍手[3回]


◆◆◆



機体を墜としても安全な位置まで来たこ事を確認した。ベイルアウトするには、ギリギリの高度だろう。
もう一度確認して、緊急脱出用のレバーを引いた。



雨足は大分弱まったものの、風は強かったせいか、恐らく着水の際に、海水面に叩きつけられたに違いない。
後から考えても思い出せたのは、意識がなかったと思われるあの時に、ブルーの5番機の尾翼が見えたような気がした事だ。
子供の頃、航空祭に行く度に見上げた機体。
手を振って自分の位置を知らせないと、と何故か必死だった。
後に話を聞いたアルヴィンは、一瞬真顔になったが、その後面白くなさそうに言った。
「なんだよ、お前、オレの機体見つけて知らせたんじゃないのか?」
「…メディックにホイストされて、ロクマルに乗り込んだ所は薄っすらと覚えてるんですけど」
「悪運強ぇヤツだな。オレは先にお前の乗ってた機体が洋上で煙上げてんの見つけたんだ。キモが冷えたぜ」
「まあ――無駄かと思ってたけど、尾翼のペイント、役に立って良かったですね」
「生意気言いやがるぜ、コイツ!」
打ち身以外、差し当たり怪我もなく、まずは一週間の検査入院を強いられてる間、アルヴィンは何度か病室にやって来て、これからのミッションについて話して行った。
彼は元は海兵隊の出身ではあったが、新型機の開発が日米で始まってからのテストパイロットだった。
彼はテスト機に乗り込むパイロットのアテンドとして、F-35でデュアル飛行をする為の人員として参加していたが、目の前で堕ちていくテスト機を見てから、二度と同じ事故は起こすまいと、エンジニアやメーカーとの交渉やパイロットの選抜も引き受ける立場になったのだそうだった。
「だから――まあ、訓練とは言いつつ、お前のパイロットとしての資質を見てたんだよな。諦め悪くて、多少可愛げが無くて、でも任務には真面目なヤツを探してたから」
「合格って訳ですか?」
「まあな、95点て所だな。エンジニアのバックにいるメーカーのお偉方や中身なさそうな政治家たちを、騙くらかして交渉するのが主な任務になるだろうから。やっぱどんな高性能でも、飛行機は飛んだらちゃんと着陸するヤツに乗りたいだろ?」
「見に染みました」
二人で顔を見合わせてバカ笑い出来たのは、本当に運が良かったと思う。



連日の訓練の疲れもあっただろう。
メディックのUH-60に普天間基地まで運ばれて、即刻基地内の病院に入院になったが、意識は翌日昼まで戻らなかった。
驚いたのは、目を覚ました時に最初に見るのは妻の顔かと思っていたら、いたのは幼馴染の槙由梨花だった事だ。
「何でお前がいんだよ!?」
「何よ、わざわざ那覇出張のついでに見に来てやったのに」
かなり心臓に悪かった。
「幕僚長も報告を受けて、かなり心配していたわ。だから那覇に来てた私に様子見て来いって指示が来た訳」
由梨花は親同士が仲良く、双方赤ん坊の頃から付き合いがある。
彼女の方が半年程早く生まれたせいか、子供の頃から勝てた試しがなかった。
「――郁は?」
そう言えば一人息子が墜落しかけて、入院してるのに、此方に来てる筈の親の姿もない。
「実は昨夜までは蒼太の脇にずっと着いてたんだけど、出血があったとの事で、大祐おじさんとリカおばさんも一緒に産院に着いて行ったの。バカ息子は助かったから、病院に任せれば大丈夫、だそうよ」
「……」
あまり信頼があり過ぎるのも、どうかと思う。
「スマホ、あるかな。お袋にかけるから」
差し出されたスマホを受け取って、連絡先から母を探した。



結局自分が入院している間、妻も産院に一時入院となった。
お互い顔が見れたのは、事故から10日経ってからだった。
「ごめんな」
つくづくと妻の顔を眺めた。
「いいえ、だって蒼太さんはちゃんと此処にいるから」
「カミサマってヤツは中々意地悪だよな。本当思ったようには進まないもんだと思った。301飛行隊の部隊マークが蛙なのは、深い意味があるなって悟ったよ」
「意地悪じゃないですよ」
隣に寝ていた彼女は、ゆっくりとこちらに体を預けた。
かなりお腹の辺りが目立って来ている。
「ちゃんと蒼太さんをわたしの元に返してくれました」
「それなんだけど…」
ベッドサイドに置いた飛行神社のお守りを手に取った。
「いつもパイロットスーツの左胸のポケットに入れてた。そしたらさ…」
事故後、自分の着ていたパイロットスーツを確認してお守りを取り出して、気が付いた。
「本当にごめんな…、これ郁のお祖母さんの形見だって言ってただろ?」
自分の手のひらの上に乗せたのは、以前彼女から貰ったアクアマリンのピアスの片方だった。石の部分が、宝石だからあり得ないのに、粉々に砕けていた。
「……」
彼女の沈黙が少し怖かった。
やはり怒っているだろうか?
滅多に怒らない彼女ではあるが。
「…郁?」
そっと伺うと、彼女は両手で顔を隠してしまったので、そっとよけた。
彼女は顔をくしゃくしゃにして泣いていた。
――驚いた。
こんな風に彼女が泣いたのは初めてだ。
「よ、良かった。本当に良かったと思って。砕けたのが石の方で」
「ごめん」
そっと、壊れ物を扱うように抱きしめるしかなかった。
もう二度と、こんな風に泣かせたく無いと思う。



翌9月になると、妻は東京に戻った。
毎日帰宅すると彼女がいる日々は幸せだったけど、これも仕方なかった。
アルヴィンはクラブで、彼女の歌が聴けない事を大層残念がっていた。
「何処かで聞いた事ある曲だと思ったら、昨年ハリウッドで公開されてた映画の主題歌じゃねーか。有名人だったんだな、カオル」
まあね、と肩を竦めたら、ポカリと殴られた。馴染んでみたら、かなり面倒見の良いアルヴィンはやりやすい上官で、これから先の任務にも不安はなかった。
11月半ば、朝まだ起床時間に届かない時間帯に母からのけたたましい電話で起こされた。
朝4時に無事男の子が産まれた、との報告の電話だった。
後にラインで送られて来た写真を見ると、自分よりは妻に似ているような気もした。
早速クリスマスに休暇が取れるか、申請してみよう。
プレゼントはやっぱり飛行機のおもちゃが良いのかな?
写真を見ながら、すぐに来る未来に想いを馳せた。
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