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タタ奈々と空稲で二次してます。 どちらのジャンルも原作設定をメインとしております。
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拍手、コメントありがとうございます。
感想などを読みながら、皆さんが楽しんで読んでくださってることが
伝わって、ホッとするとともにニヤニヤな森伊蔵であります。

さてお返事なんですが、お話が解決編?に入って来てますので、
しかも私の張り巡らした??チャチな仕掛けなんぞ、
QEDファンの皆様はあっさり看破してらっしゃるので、
お話がある程度進んでから、させて頂きたいと思いますm(__)m


昨夜主人に
『殺すつもりがなく誰かが倒れて、それを介抱せずに見捨てたら
 過失致死になるの??殺人かな???』
と聞いたところ
『何だってそんな質問を…』
と聞かれたので
『今ミステリー????小説を書いてるんだけど、犯人とかアリバイとか
これから決めなきゃいけないからさ~』
と答えたら
『普通そういうのは書く前に決めとくのでは?
と突っ込まれました。
こんなユルイ頭で書いています。

小説は続き記事からです。

拍手[11回]


◆◆◆



ミシェルは一人、植物園内の研究室にいた。
あちこちの棚には美しい花々が咲き乱れているが、
それらは皆――毒性の強い植物だった。
それは枝を焼いた煙すら毒だと言われる莢竹桃と同じ、
キョウチクトウ科に属するプルメリアも同じだ。
インドジャボク属に属するプルメリアには、
樹液にアルカロイドが含まれている。
たかが樹液、かぶれるくらいだと甘くみると、大変な目に合うだろう。
「誤算だったなあ…」
ミシェルは明日パーティでお披露目を行うことになるプルメリア、
青いプルメリアの鉢を眺めて呟いた。
「美しい花から毒性を失くしたかっただけなのに」
彼の研究の当初の目的は、毒性のないプルメリアを作ることだった。
青いプルメリアはたまたまその研究の過程で出来ただけなのだが、
マスコミに知られ、披露することになったのだ。
まるでハワイの海を写したような、澄んだ青の香り高い花である。
ただ皮肉なことに毒性が高く、花すら手で触れることはならない。
知人(ミシェルは友人のつもりではあったが)の御名形史紋に言わせると、
この世の生物は毒や灰汁があるからこそ、有益で興味深いのだとか。
毒草について調べる為にギリシャのオデッセイアはもとより、
シーザーのガリア戦記まで読むような男だ。
彼の言葉は決して一般論ではなかった。
「シモンにとっては奈々も同じ興味かな」
先程研究室を訪れた史紋が、最後に一言だけ呟いた。
「彼女に関しては、君の努力は無駄に終わる」
確かに奈々は揺るがないタイプの女性だった。
出会った頃も真っ直ぐな瞳(め)をしていたが、今も変わっていない。
それ故更に魅かれるのではあるが。
その奈々をそこまで魅きつける、『桑原崇』とは何者だろう。
史紋に一体どんな奴かと聞いてみた所「暇人だ」との答えしか
返ってはこなかったが、どうもそれだけではないものも感じる。
子供の頃から信頼しているこのホテルの支配人の話では、
崇の滞在する物置部屋には代わる代わる人が訪れているらしい。
どうやら人徳はあるようだ。



昔、祖母から聞かされた話に、主人公にはなんの能力もないのに、
皆に慕われ助けられる英雄の話があった。
彼はそんな人物なのだろうか?


「まさか」
ミシェルは皮肉げに微笑して、研究室を立ち去った。



「つー訳だ、タタル。秋月さんは成田空港に来る前に、
 養蜂家の祖父の元に寄って来たみてえだ…聞いてるか?」
「……………」
「桑原サン、動いちゃダメ」
美容師にあまり生えていない髭を剃られながら、
崇は小松崎からの報告を聞いていた。
もうほとんどのデーターは自分の元に集まっている。
「男とは言え、フェイスマッサージくらいしなさいよね~。
 親から貰った天然資源は無駄にしちゃダメよ」
「男も化粧すんのかよ」
うんざりしたような小松崎の声に、美容師ヒトミちゃんは
真剣な眼差しで振り向いた。
「何言ってんの、この熊。これからの時代、男は美しく
 なければいけないのよ!」
そこへ彩子が部屋へ入って来た。
彩子がホテルの男性スタッフを口説き落とし、
パウダールームを一室貸し切ることが出来たのである。
朝からがんじがらめにされ、拉致された崇は、
深い溜め息と共にされるがままになっていた。
東京郊外の奈々と住むマンションが、
これ程懐かしく感じたことはないだろう。
「さっきお母さんから電話が来ましたよ。
 桑原さんの準備がちゃんと出来てるか、
 心配していたから、大丈夫って言っておいた」
「………」
「桑原サンっ、動かないの!」
ぐいっと首を前に向けられ、崇は無抵抗のまま、タオルで顔を拭われる。
今夜パーティ会場に行けば奈々に会えるだろう。
今一つ奈々がこちらに帰って来られる条件がよく解らない
駆け引きではあるが、奈々は必ず帰って来る。
そのことを崇は微塵も疑ってはいない。
いつも崇が奈々のことを考える時、思い浮かべるのは大抵は
あの奈々らしい優しさに溢れた笑顔だったが、
今回は何故か眉を八の字に下げてしかめた、
困り顔がよく思い浮かんだ。
奈々は人前ではあの表情は滅多にしない。
ある意味、奈々をあんな風に困らせることが出来るのは自分だけだ。
あの表情は――誰にも――どんな男にも見せたくない。
新婚旅行は六日間の予定だった。
当初の予定では明後日の朝にはハワイを経つことになっていたのだ。
新婚旅行どころか一緒にもいられなかった。
生活を共にするようになって、当たり前になっていた奈々の存在が、
こんなに自分にとって必要に感じたことはない崇だった。




奈々が部屋に戻ると、ドレスが用意されていた。
スカイブルーからマリンブルーへとグラデーションがかった生地の
シルクの、ミニドレスである。
上半身はビスチェ風の、身体のラインにピッタリとしたデザインで、
肩は丸きり開いている為に、露出度が高かった。
スカート部分には小さな真珠があちこちに縫い付けられ、
光る素材の糸で細かく花模様が刺繍されている。
「…………」
これを着れば崇に会える。
奈々はもう覚悟を決めていた。
流石に一人で着ることは出来ず、スタッフに手伝って貰う。
そして――鏡の前に立った。
思ったより悪くない。
奈々の白い肌に、まるでハワイの空と海のようなドレスが綺麗に映えた。
するとこちらもすっかり正装したミシェルが、
手袋をした手でコサージュを片手にやって来た。
「……まさにマイ・フェア・レディですね。想像以上です、奈々。
 これではとても手離せないな」
ミシェルは今まで見せなかった、何かを懐かしむかのような眼差しで
微笑んだ。
「奈々、これを」
「……プルメリア?」
「ええ、そうです。特に真ん中の青いプルメリアは、
 僕が品種改良したもの。特殊な加工はしたけど、
 決して直には触らないで」
「これが…」
奈々がハワイに来る前に、噂で聞いた青いプルメリアだった。
まるで宝石のように輝いて見える。
青い花はない訳ではないが、ここまではっきりと青と主張出来る花は
少ないのではないか?
「青の色素を花に反映させるのは、なかなか難しくてね。
 尤もこのプルメリアはただの偶然――神の恵みから出来た
 ようなものだけど――手に触れ難い高貴さがあるでしょう?
 今夜はこれを奈々に」
「…………」
ミシェルは奈々の複雑に結い上げられた髪に、コサージュを付ける。
「グラン・マの話をしたでしょう。彼女は僕が十歳の時に植物性の
 アルカロイドによって、毒殺されたんです。
 それも恐らく僕を庇って…。僕が植物から毒性を無くす研究をするのは、
 グラン・マの仇討ちなのかもしれない」
「ミシェルさんにとって…とても大切なお祖母様だったんですね」
「そうだね。僕の周りでは彼女だけが、僕を普通の子供として
 扱ってくれたから――奈々、君もこの四日間僕を特別視しなかった。
 大抵の女性はエルガーホテルグループの会長の息子で、
 MITの研究員の僕を、何やらスターの様に扱うけれど」
ミシェルは手袋を脱ぎ、そっと奈々の頬に手を置く。
「わ、わたしは…わたし、ミシェルさんのこと、
 嫌いではありませんでした。色々と普段ならば出来ない経験が出来たし。
 でもわたしにとってタタルさん…た、崇さんは特別なんです。
 毎日夕方この部屋の窓から見えた一番星のように
 ――必ず探してしまうような」
「しっ…」
ミシェルは淋しげに微笑い、奈々の口唇をそっと人差し指で触れた。
「もう少し夢を見させてくれるかな?後少しだから」
「………」
奈々がミシェルを見上げた時、扉からノックの音がした。
「準備が整いました」
「解った。ゲスト――ホノルル警察署の方々もいるから、
 丁寧に案内して下さい」
ミシェルは奈々がやっと聞き取れるくらいの、早口の英語で答え、
奈々に手を差し出した。
「行きましょうか、奈々。今日のヒロインは貴方です」




パーティ会場はホテルの二階のかなり広いホールだった。
「お飲物は何になさいますか?」
ボーイが英語で尋ねてくる。
「ぶ、ブルームーンを」
奈々は今日のドレスに合わせて、青いカクテルを注文した。
ミシェルはシャンパンの入ったフルートグラスを片手に、
奈々の側に来ると奈々に手を差し伸べ、
会場中央に置かれたビクトリアン風の肘掛け椅子に、
奈々を座らせた。
白いスタンドカラーのスーツを、すっきりと着こなした御名形史紋が、
そっと奈々の側にやって来た。
手にはリキュールのベネディクティンのロックが入ったグラスがある。
「桑原くんは少し遅くなるようです。桑原くんに付いてる美容師が、
 最後の仕上げに納得がいかないようで」
「まあ…」
集まっている紳士、淑女はまるでアカデミー賞の授賞式かと思う程、
高価な正装をしていた。
奈々は果たして崇がこの場に相応しい格好で現れることなど出来るのか、
疑問に感じたが、とにかく今は信じて待つことにした。
普段は奈々がなるべく崇の負担にならないよう髪を整えてあげようと、
万全の準備をしても、逃げてしまう崇なのだが。



「今日は僕の品種改良した『青いプルメリア』の披露にお越し下さり、
 誠にありがとうございます。ただ残念なことに、僕の研究の為に
 作った――プアラニ・エルガー植物園内で、
 宿泊客が死亡する事件が起きました。
 今夜は警察の方々もお招きして、この事件の不可解な部分を
 解明することから始めさせて頂きます」
ミシェルは一口シャンパンを含むと、奈々をちらりと見た。
「まずはスティーブン警視から事件の概要を」
紳士の列から進み出た恰幅の良い白人の男性が、
ファイルを片手に話始めた。
早い英語は全く聞き取れない奈々の為に、史紋は静かに同時通訳をした。
「四日前にこのエルガーホテルの宿泊客、
 ミスター・ノブヒコ・ダテがプアラニ・エルガー植物園内で
 倒れているのを、植物園の経営者ミスター・ミシェル・エルガーが
 発見しました」
「僕は携帯電話を部屋に忘れた為に、慌てて管理事務所まで戻った。
 そしてレスキューと…状況が状況だったので、警察に連絡をしました」
その時微かに会場の入口がざわめいたが、ミシェルは気付かないようで
話を続ける。
「ミスター・ダテは僕が発見した時は、顔が真っ赤になってかなり
 呼吸が荒かった。何かで発作を起こしたようなので、
 知識のない者が応急処置を施すのは危険と感じたのです」
奈々はひたすら入口を見つめていた。
崇はきっと来る。多分事件の確信を掴んで。
奈々は手元に来た青いカクテル――ブルームーンをじっと見つめていた。




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趣味:
読書・お絵かき・料理
自己紹介:
次女妊娠中にQEDにはまりました。
当然ですが、原作者および版権元様とは
一切関係がありません。
閲覧に関しては、個人で責任を負ってください。
著作権も一応手放してはいないので、
ご利用の際はご一報下さい。

……なんじゃ!このネタ!?と
思ったら、目をつむって十数えてなかったことに
して欲しいです^^;
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