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タタ奈々と空稲で二次してます。 どちらのジャンルも原作設定をメインとしております。
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いよいよ大詰めを迎えています。
今回は謎解き?準備編なので、少し短めになっちゃいました。

いつも拍手して下さる方々、本当にありがとうございます。
QEDの格調の高さを、ぶち壊してないか心配ですが
娯楽エンタテイメントとして楽しく!をモットーに頑張ってます。


小説は続き記事からです。

拍手[4回]


◆◆◆


ネイルアートなんて、初めてした。

確か事務員の相原美緒がネイルアートをしてきた時、
外嶋がすごい勢いで美緒を叱っていたことがあった。
医療に関わる者が爪を伸ばすのは厳禁だ。
だから奈々の爪も短めに切られている。
だが、今日のエステの最後にネイルアーティストが来て、
奈々に綺麗な付け爪を施した。
マリンブルーのマニキュアをベースに、爪の上部はくっきりと白く、
爪にはスワロフスキーだろうか、光る宝石のようなものが散りばめられている。
何度眺めても見慣れないが、でも素敵だなと奈々は素直に思った。
今日は入浴から始まり、英国式のアロマテラピーを受け、
髪の徹底したトリートメント、全身のパックと一日、
自分自身の身体をケアされた。
これらは全てミシェルからの指示が出ていたようで、
スタッフは奈々の好みや必要は一切尋ねなかった。


それ故、だろうか。
普通、女性ならばこう言った扱いを受けたら、喜ぶものなのだろう。
なのに奈々は何処かリラックスからは遠い心境だった。
そして多分これがミシェルと――崇の個性の差かもしれない。
ミシェルは奈々に合うもの、服も食べ物も全て奈々に聞かずに
出して来た。
確かにそれは奈々の好みから外れてはいない。
しかしやはり自分から何も選ばずに差し出された物には、
なかなか愛着を感じられない自分がいた。
崇もカクテルは奈々に聞かずに、奈々の分まで注文することが度々あったが、
それには然り気無い配慮と不器用な優しさが感じられた。
奈々が自分の選んだものを受け入れてくれるかどうか、
それとなく見つめている崇の視線をいつも感じるのだ。
奈々の選んだものに対しては、崇が何か不満を言ったことは一度もなかった。
もう少し色々言ってくれても、奈々としては嬉しかったのだが、
多分――不可のない状態だから、何も言わないのだろうと判断していた。



「明日も朝から、ご入浴が済みましたらマッサージを受けて頂きまして、
 スタイリストによるメイクを行います。
 不都合がございましたら、お申し出下さい」
寸分の隙もない挨拶をして、ホテルのスタッフは下がっていった。
今日はミシェルも史紋も一度も姿を現さない。
バルコニーのテーブルに置かれた、ダージリンのアイスティーを一口飲んで、
奈々はため息をついた。




「貸し衣装だとこんな感じですね~。でも流石ハワイ!ハリウッドの
 俳優やセレブが来るから、レンタルでも、アルマーニやゼニアの
 スーツまで揃ってるの!」
青山のカリスマ美容師と半日かけて、ホノルルの貸し衣装屋まで
出掛けていた彩子は、破れたソファの上に何着かのスーツを出した。
「このスタンドカラーのスーツも悪くないけど…桑原さん、どれにします?」
すると崇が口を挟むまでもなく、カリスマ美容師がずいっと出てきて言った。
「桑原サンは意外としっかりしたフォーマルの方が、
 きちんと見えていいわ。パーティは夜だし、タキシードがイイでしょ」
「そうかなー」
「それにアタシ、さりげなくホテルのスタッフに聞いて来たんだけど、
 このパーティ、今お忍びで来てるアメリカ国務長官夫人や、
 ジャニー・デェップも招待されているとか」
「ええ~!ジャニデも?!」
「ここのオーナー、あまり人前に姿を現さないけど、
 有名人だしね。ヨーロッパの社交界にも顔が利くみたいヨ~。
 今回のパーティは婚約者を披露するらしいって噂みたいだけど」
「……それって、奈々さん?」
流石に小さな声になって、彩子は崇を伺った。
「情熱的ネェ~。人妻でも気にしないなんて」
「野守は見ずや 君が袖振る…か」
二人には聞こえない声で崇は呟いた。
「袖を振ったところで、彼女が見ていなければ仕方がない」
崇は立ち上がり、スーツケースからノートを取り出す。
「桑原サン、明日は徹底して貴方を磨くから途中で逃げないで頂戴よ。
 結婚式の時は98%で終わっちゃったけど、今回誤魔化しは効かないわ」
「……98%でも十分な効果があったけど」
彩子はつい一週間前に行われた結婚式を、思い出しながら言った。
「今回はオーディエンスが最高級なのよ。手は抜けないワ」
「ヒトミさんの腕が試されますね!」
彩子と美容師はバチンとハイタッチで、盛り上がっていた。



御名形史紋は携帯電話で、秘書件助手の神凪百合に定時の連絡をしていた。
「もし今君が此処にいたら、すぐにでも死因が判明しただろうが」
電話の向こうの神凪百合は、少し照れたように微笑った。
「それは…どうでしょうか。御名形さんの見立てにはまだ叶いません」
「そんな訳だから、今少し植物の世話と隣人のケアを頼む」
「はい。西田さん、毎日お元気そうですよ。
 昨日は有機野菜を使ったパスタを、お手ずから作って下さいましたし」
「………」
「西田さんちの植物たちも、虫一つ付かず生き生きしてます。
 本当に良い方がお隣で良かったですね」
「今、彼に預けている植木鉢は育成の微妙なものが多い。
 よろしく観察を頼む」
「了解しました」
百合の落ち着いた声音が、消えるか消えないかのうちに史紋は電話を切った。
「オレアンドリンか…確かプルメリアの毒は」
あの質問を投げ掛けて来た所を見ると、崇はすでに毒の正体を
特定していると思われた。ただそれが死因に繋がるのかどうか―――。
「全く余計な時間を取られたが、あの二人に関わった以上仕方がない」
史紋は空を見上げた。
既に夕陽は水平線の彼方に沈み、瑠璃色が空を支配している。



「マジか、沙織ちゃん」
「うん、頑張っちゃったよ~。何せ姉の貞操の危機とあってはねー」
一方小松崎も東京の沙織と、国際電話で連絡を取っていた。
「世田谷区の薬剤師会の会長から、姉が『不甲斐ない男』に嫁いだって
 愚痴を三時間聞いて、得た情報なんだけど」
いつも元気いっぱいの沙織の声に、小松崎は一瞬複雑な気持ちになりながら、
先を促した。
「確かに伊達さんの世田谷の事務所近くの病院に、伊達さん、
 アレルギーで通院してたみたい。
 初め耳鼻科だったんだけど、症状が多岐に渡るんで、
 総合病院のアレルギー科に来てたみたいよ」
「で、何のアレルギーなんだ?」
「シラカンバは確実みたい。ただ秋にも通院してきたって言うから、
 もしかしたらブタクサじゃないかって、会長さんは言ってた」
「ふうん。で、食べ物なんかはどうだった?タタルはその辺を気にしてたぜ」
「特には聞かなかったけど――あ、一度輪ゴム触ったら蕁麻疹出たとかで、
 薬局でもうるさく言ったみたいよ。
 この伊達さんって、いつもイライラして少し付き合い辛い人だったみたいね」
「…成程」
「それにしても、エルガーホテルグループの社長の息子を虜にするとは、
 我が姉もやりますな~」
「…沙織ちゃんはそれでもタタルの味方なんだな」
小松崎は鼻の頭をぽりぽりと掻いた。
「うーん、タタルさんて何気に人嫌いするでしょ。
 でも初めて会った時から、わりとわたしには良くしてくれたんだよね。
 それにウチの姉の『苦節13年の片想い』を崩せる人間が、
 この世にいるとは思えないな」
「了解」
小松崎は思わず口許に笑みを浮かべた。
自分もそう思うから、この二人にはつい手を貸したくなる。
それに苦節?13年は崇も――もしかしたら同じかもしれない。
小松崎は電話を切ると、ホテルの玄関に向かった。
今の情報を崇に伝えなくては。
きっと崇の「証明終了(Q.E.D)」を明日は聞くことが出来るはずだ。



翌朝、奈々が目覚めると同時に、昨日のスタッフがやって来て、
バスルームに案内される。
今日は何かのオイルが入っているようで、バスルーム中芳香が漂っていた。
「ご入浴の後は全身マッサージを。そしてメイクアーティストによる
 フェイスマッサージを受けて頂きます」
「……はあ」
子供の頃に親しんだ、童話のお姫様たちも、
実はこんなに大変だったのだな。奈々はそんな風に思った。




※エステも無経験なためw表現力に限界が(^_^;)
取材してみたかったな~。
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次女妊娠中にQEDにはまりました。
当然ですが、原作者および版権元様とは
一切関係がありません。
閲覧に関しては、個人で責任を負ってください。
著作権も一応手放してはいないので、
ご利用の際はご一報下さい。

……なんじゃ!このネタ!?と
思ったら、目をつむって十数えてなかったことに
して欲しいです^^;
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