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タタ奈々と空稲で二次してます。 どちらのジャンルも原作設定をメインとしております。
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少し短くなりましたので、間奏曲ってことで(^_^;)

土曜日に『王様のブランチ』でドラマ最終回の映像がちらっと
出ててやっぱり凝視しちゃったんですが、
やっぱりアレは遠距離夫婦で行くってことなんだよな~と
思って見てました。
せめて新婚旅行ぐらいは一週間ぐらい、どかっ行かせてあげたいなあって
見てたんですが、二人とも変な所で真面目そうで、新婚旅行中も
仕事の話してそうだな…それがラブラブの秘訣なんかな?
などと色々考えちゃったw


ドラマは初めの回を何回か見ていないので、
早く再放送しないかな~DVD買っちゃおうかな~と
思っています。
ブックカバーやドラマ全体のデザインも爽やかで、好きでした。

※織姫の衣~前篇~に挿絵追加~^^リカちゃんの浴衣姿でっす。


小説は続き記事からです。

拍手[22回]


◆◆◆



「リカさん、こっち!ぜっったいこっちの浴衣のが、デートにもオススメっ!」
入間川の七夕祭に行くことになって、浴衣を着て行こうと思い
――正直浴衣の着付けなどしたことがないわたしは、
局の衣装部の知り合いに声をかけてみた。
出来たら教えて貰おうと思ったのだ。
そしたら…。
若いアルバイトに捕まって、明らかにわたしの年齢ではどうかと思う
紅から薄紅の、グラデーションがかった染めに、撫子の模様が白く抜いてある、
随分と可愛いデザインの浴衣を勧められた。
彼女が言うにはわたしの選んだ藍染のものより、
撫子柄の方が男性から見たら脱がせたくなるデザインだ、と言うのだ。
…折角着るのに、何故脱がせる事を前提にしなければならないのだろう。
それであっちがいい、こっちがいいの押し問答になりかけていた所、
衣装部のチーフの年輩の女性が、奥から出てきた。彼女は微笑っていた。
「稲葉さんは、もう少し大人っぽい方が似合うかしらね?
 かと言って藍染だと若奥様風で、まだお付き合いのカップルには
 落ち着き過ぎないかしら?」
「わ、わ、わ、若奥様?」
「こちらの桔梗の柄のはどう?生地は落ち着いてるけど、柄は華やかよ」
彼女が出して来たのは、辛子色の地に桔梗を中心とした秋草が描かれた、
すっきりとしたデザインの浴衣だった。
「この浴衣、ある大物女優さんが着てから、誰も着ていないのだけど、
稲葉さんが私用で着るなら構わないでしょ。
クリーニングして返してくれればいいわ」
そう言って彼女は当日の着付けも自分がすると言ってくれた。
この浴衣は中途半端な着方はして欲しくない、と言う。
 
 
 
――しかし、着付けを覚えないまま行く、と言うことは、
その夜のうちに帰らねばならなくなるだろう。
彼はどう言うだろうか?
二人で会うようになって、初めての二日続いた休みだ。
でも何気にわたしに浴衣を着て来るように、ねだったのは彼なのだから…。
 
 
 
当日何故かメイクの担当者まで待機して、わたしは万全の準備で浴衣を着付けられた。
「スッゴい綺麗ですよ!リカさん。これなら自衛隊の彼も惚れ直しますねっ。
 すぐプロポーズされますっ」
「えっ!?」
どう言う意味?
わたしが振り向くと、アルバイトの彼女はしまったと口許を押さえた。
何故普段は関わりの薄い部署にまで、『彼』のことが知られているんだろう。
「お喋りね、アナタ」
チーフの女性はため息をつきながら言った。
「阿久津さんから、少し聞いてたのよ。
 …何年か前に局に売り込みに来てた、空自のコでしょう。あの姿勢のイイ人」
「…ハイ」
今回の件では阿久津さんはかなりお節介だ。
ぎりぎり入りそうになった企画を、目前で他のディレクターに振り分けたりして
「誤解するなよ、稲葉」なんて言ったりする。
しかも「たまには溺れて来い」なんて言う意味不明のひとことまで付けて。
 
 
 
彼は始め、少し距離をおいて歩いていた。
それでも優しい彼らしく、ゆっくりと歩いている。
でも混み合って来ると、指先が微かに触れたので、
そのまま握り返したら、少し眩しげな眼差しでこちらを見た。
そんな彼の視線にこそばゆさを感じながらも、
二人でお祭りの会場をゆっくり歩いた。
そして。
突然の雨がなければ、今わたしはこの部屋にはいなかっただろう。
初めて来る彼の部屋。
もう築20年にはなるだろう官舎で1LDK。わたしの部屋より少し狭い。
本棚は航空機関連の本が沢山並んでいたが、
中に混ざってマーケティングや広告関連の本も置かれていた。
のんびりしているようだけれど、本気を出した時の彼をわたしは知っている。
シャワーから出ると脱衣籠には、きちんと畳まれた白いTシャツが置かれていた。
彼もずぶ濡れだったのに、さっさとわたしをシャワー室に押し込んだ。
「浴衣は…名残惜しいけど」
それまでわたしの浴衣に何も言わなかった彼が、微かに頬を染めて言った。
「君らしくて。隣で歩けて良かった」
同時にわたしも恥ずかしくなって俯く。
シャワーを浴びている間も彼の眼差しが焼き付いて離れなかった。
だから、シャワーから出た時にこちらがびっくりする程、
強い視線が向けられてわたしは身の置き所がないような気がした。
「見ないでっ!」
なんてまるで子供の言い分みたいだ。
彼もおあずけされた子供のような視線の反らし方をしている。
二人並んでベッドに腰掛けた。
彼の匂いがする。
それだけで、何を意識したのかドキリとする。
彼に引き寄せられ、口付けられると、頭の何処かで「溺れて来い」と
阿久津さんが言った言葉が響く。
いつも、いつも。
彼に会うたび、わたしは何処かで自制していたから。
だって彼は三年は同じ場所にいられないのだ。
わたしは今抱き締めている、これ以上ない存在をまた失うことに、
きっと耐えられない。
失いたくない。
でもそのことであがいて彼を困らせること――彼の人生を縛り付けることも
したくなかった。
うっすら瞼を開けると、いたずらな表情の彼がこちらを見ていた。
「……今夜は覚悟してくれるかな?流石に抑えられそうにないから」
「え…」
「こう言うこと」
「やっ…」
下着も濡れていたから、仕方なくブラはつけていなかったけど、
ふいに彼の手が直に胸に触れて、びくりとしてしまう。
「………っ」
優しくわたしを寝かせながら、Tシャツの裾を捲り、肌に口付ける。
いつもより性急な手の動きに少し驚きながらも、
身体は既に逆らえないくらい反応を返し始めていた。
 
 
 
「リカ…」
彼の声が耳許でした。
低いかすれた声。
ゆっくり瞼を開けると、心配そうな表情が覗いている。
「ごめん…少し夢中になりすぎた」
「……」
何と言って返したらいいか解らず、指先で彼の額に触れた。
「その…君があんまり…」
「やっと解りました」
「え?」
「溺れること」
「………」
ただ一つのことに惑溺していく、その感覚が。
今まで辛うじて止めて(とどめて)いた気持ちが。
例えば今もし緊急で職場からのメールが来ても、わたしはこの彼の腕の中を離れられるだろうか?
彼がここから離れて行ったら?
「溺れてるなら、人工呼吸がいるかな?」
いかにも大事そうな手付きで、わたしの頬に触れ、彼がキスをする。
彼の口唇が離れる前にわたしもキスを返す。
 
 
 
天の川を隔てた恋人たちのデートは、年に一度だ。
でもわたしはまだ彼の腕の中にいる。
小さな窓から夜明け時のまだ薄暗い空に、薄い三日月が貼り付いて見えた。




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次女妊娠中にQEDにはまりました。
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著作権も一応手放してはいないので、
ご利用の際はご一報下さい。

……なんじゃ!このネタ!?と
思ったら、目をつむって十数えてなかったことに
して欲しいです^^;
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