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タタ奈々と空稲で二次してます。 どちらのジャンルも原作設定をメインとしております。
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すみません^^;コメント、拍手いただいております。
返信は次回更新でさせていただきます。


なんだか原作を忘れそうな展開の空稲SSも
もう12作!?
ちょっと驚いたw
でもまだプロポーズまで引っ張っています。
明確なビジョンなしにお話書いてる私も悪いのだけど、
いつもハッピーな終わりにはなるよう心がけています…
が、ぼちぼち夫婦?ゲンカさせるのも面白いかなと思ったりして。


小説は続き記事からです。


拍手[45回]



◆◆◆




互いに忙しくて、次に会えたのは九月も半ばを過ぎてからだった。
待ち合わせ場所に佇む彼女を見て、速攻抱き締めたくなるものの、
往来でそんなことをしたら、怒ることは明らかだった。
(叩かれるかもしれない)
「今日はウチで夕飯食べるんですよね?」
「うん、材料は買ってきた」
と彼女にスーパーの買い物袋を差し出して見せる。
「いきなりカレー作るからって言うから、何かと思いました」
「たまにはいいかと思って」
夏に彼女が官舎に来た時の印象が強かった。
とても身近にあった存在が帰宅した後は、何も無くなってしまった
――そう感じたくらいだ。
しかしその後は二人して仕事に追われる身となり、
一日一回メールを取り交わすのも難しい程になった。
それでも一日も彼女のことを考えない日はなく、
次に会うときはどうしようかと、そればかり思う日々が過ぎた。
「一緒に作ろう」
「え」
彼女が驚いた表情で、こちらを見上げる。
「…ダメ?」
「そ、そ、そんなことありません!
 ただ前の時は大祐さん、もうオムライス作った後で
 り、料理してる所は見てなかったし、た、楽しみです」
何故か彼女の頬が真っ赤になっていた。
 
 
 
「これ、たまたま見つけたんで、すぐ買っちゃったんだけど」
紙袋ごと彼女に差し出す。
彼女は訝しげな表情のまま、袋を開けて、中身を広げた。
「水色が僕ので、ピンクのが君の」
それはエプロンだった。
胸当ての部分にプロペラのついた飛行機が、小さく描かれている。
それが――。
「T-3に…パイロットが最初に使う練習機に似てたんだ。
 今はT-3は引退してT-7が使われるけど、僕は最初T-3だったんだ」
「ふふっ、カワイイ」
そう言って微笑っている彼女こそ可愛かったが――
「大祐さん、とても嬉しそう。今着替えて来ます」
彼女はエプロンを持つと寝室に向かった。
…今の『カワイイ』はエプロンのことではなかった?
何だか釈然としないまま、こちらもキッチンで材料を広げ、
準備を始めた。
米を研いでいると、彼女がエプロンを締めてやって来る。
然り気無く隣を見ると、少し恥ずかしげに俯く。
「…エプロンしたの久しぶりかも。空井一尉、何を致しましょうか」
「稲葉候補生にはジャガイモの皮剥きを、お願いしても宜しいですか?」
「…わたし候補生ですか」
「え?それは何となく」
ふと彼女の手元を見ると、かなり怪しい手付きで包丁を握っている。
ピーラーがあればその方が安全かもしれないが、彼女の家にはなかった。
「…………」
「……」
肩をいからせて、眉間にしわを寄せて、それでも彼女は10分かけて、
一個のジャガイモの皮を剥いた。
「……空井一尉」
「うん」
「大きさが三分の一になりました」
「…素直な報告ありがとう」
彼女から皮(と言うか実も含めて)を剥いたジャガイモを受け取ると、
次のジャガイモを手渡した。
「剥き方、教えるから」
彼女の背後に回り、包丁を持つ手に自分の手を添える。
「………!」
「そんなに固くなってたら、ケガすると思うけど」
「…カレーに集中します」
「え?」
「次はどうしますか?」
「うん…包丁はこう」
彼女の細い小さな手を支える。
手の大きさに比例した、仄かな温もりが伝わる。
彼女はやはり肩から力の抜けない様子で、それでも先程よりは集中して、
速いスピードでジャガイモの皮剥きを終える。
「さっきよりはキレイに剥けました!
 大きさもあんまり変わってない。…初めてかも」
「リカ、君……」
「だ、だって普段ほとんど食事は局でするから、料理する機会がなくて」
彼女は真っ赤になって言う。
「……さん失格ですか?」
「え?」
「なんでもないですっ。次はどうしますか?」
「じゃあ、玉葱の皮剥きを」
彼女は頷くと、大真面目に玉葱に集中し始めた。
 
 
 
「君が甘口を選んだと言ったら、
 片山さんや比嘉さんからすごく突っ込まれそう」
「どうせ性格は辛口ですっ」
フォークでフルーツサラダをつつきながら、彼女はあかんべをした。
「なんかこうしてると、毎日一緒にいるみたいだ」
かなり不揃いな野菜を口に入れながら、呟く。
そう――結婚したら、こんな感じ。
片山さんにあれこれ説教をされなくても、もう十分意識していた。
再会してから、他のことなど考えてなかったのだから仕方がない。
それに彼女のことは、誰が、他の何が来ても代わりのものなどない訳だから、
行き着く処は一つだ。
ただ――その答えを切り出すタイミングを見失っていた。
「……毎日大祐さんに作って貰う訳には行きません」
「太るから?」
「なっ!なんでそうなるのっ」
「この間もそうだったけど、外食の時と食べる勢い違うよ」
「―――!それは…だって外のご飯より美味しいです」
彼女のお皿は既に半分しかカレーライスは乗っていなかった。
「じゃ…じゃあ、いいんじゃないかな」
「…そんな簡単じゃないです」
ふと彼女は食べる手を止めて俯いた。
 
 
 
以前、空幕広報室にいた頃、彼女をひどく傷付けたことがあった。
あれは全く自分の過失だったが、責める対象が他人であるにせよ、
自分自身であるにせよ、生真面目で今時本当に希なことに、
真っ直ぐな思考の彼女は、その性質のまま自分の考えの中に
閉じ籠ってしまった。
自分には謝る以上の手段はなかったが、あの時は本当に困ったし、
彼女とはあれきりになってしまうのではと、心配にもなった。
――怒って言い返している内はいい。
幾らでも怒ってくれて構わなかった。
わざとすまして冷たい態度をとっていても構わなかった。
――何故ならそれは照れ隠しだと、今ならはっきり解るからだ。
でも。
思い詰めた挙げ句、決断されてしまうと、
もう二度と彼女に触れることすら、出来なくなってしまうような気がする。
それは――考えたくもない。
 
 
 
片付けを終えると、彼女は伸びをして、エプロンを外し畳む。
「何で『ウチで作ろう』って言ったか解りました。
 とっても気分転換」
「…仕事煮詰まってる?」
「少し。既に年末の番組の企画が進行してるので」
「そうだよなあ」
「大祐さんは?」
コーヒーの入ったマグカップを手渡された。
「地元の幼稚園から社会科見学の申し込みがあってね、
 ついでだから、ニ、三、他の幼稚園や小学校にも企画を
 提出してはどうかって、案があるんだ」
「面白そうですね」
「なかなか細かい調整がいるんだけど」
「そう言えば、震災以来、警察官や救助隊、自衛官になりたいって
 子供たちが増えてるって聞きました」
「君たちのお陰だね」
少し苦味が利いてるコーヒーに口を付ける。
「…何も。松島で別れた時に大祐さんが話してくれたことの、
 十分の一も伝えられてないです」
「十分の一で十分なんだよ。どちらかと言えば絶え間なく
 時間をかけて常に、知らせて行くことが目的なんだから」
ソファに彼女も並んで腰掛けた。
そう言えば今日は珍しくスカートを履いている。
すんなりした白い足が見えた。
「……はぁっ、まだまだだなあ」
「リカは急ぎすぎる。結論なんか出さなくていいんだし、
 出来る範囲で少しずつ、が長続きのコツだよ」
「それ、比嘉さんの受け売りでしょう?」
「…残念でした。鷺坂元室長です」
彼女は目を見開いた。
「鷺坂さん、浜松ですよね?最近メールしてなかったので」
「八月に任務で入間に来たんだ」
相変わらず、明るい軽いノリの元広報室長は別れ際、
こう言っていた。
『何せ稲ぴょんだからね。兎は短期決戦だと跳んで逃げちゃうから、
長期戦に持ち込むに限るよ』とウィンク付きで。
片山さんや比嘉さんにしろ、自分たち二人を馴れ初めから
知っているからではあるけど、
皆お節介な位、気にかけてくれていた。
だから、と言う訳ではなかったが、彼女と自分の間にある、
確かだけど掴みにくい絆を無くすようなことは考えられない。
コーヒーをテーブルに置いた。
「口直ししてもいい?」
「え…?」
「少し苦かった」
「……んっ」
彼女がきょとんとした隙に、頤を捉えて口付けた。
わざと、軽く何度も口付ける。
彼女から求めてくるように。
求めざるを得ないように。
「……っ。どうして…」
深くなりそうな所で、柔らかく離される口唇に彼女も気付いたようだ。
潤んだ瞳がこちらを見る。
「…どうしても君が欲しいから」
かすれて声にならなかった。
本当ならばひと月ぶりの逢瀬だから、自分の気持ちのまま素直に
彼女を求めたかった。
けれども、あまりにも率直に求め続けると、
却って彼女を失くすのではないか?そんな風に感じてしまう。
あの松島で別れてから、互いの距離は変わっても気持ちの上では
もしかしたら何一つ変わっていないのかもしれない。
特に彼女の中では。
 
 
 
次に口唇を離そうとしたら、彼女の細い指が髪をまさぐり、
首筋を両手が掴んだ。
彼女が口付けてくる。躊躇いなく。
「………っ」
どちらとも解らず吐息が漏れた。自分も彼女の背に腕を回し、
ゆっくり身体の重みを移す。
待ち兼ねたように彼女の口唇が開き、舌先がこちらの舌先を捉えた時に、
深く彼女に口付けた。
びくりと彼女の身体が跳ねるのが解る。
腰に滑らせていた手を脚に移すと、彼女はもう受け入れられる状態だった。
そっと触れると身動ぎはしたけれど、逃げなかった。
 
 
 
「朝御飯作ります」
翌朝ピンクのエプロンをしめて、彼女はキッチンで仁王立ちしていた。
「………」
「め、目玉焼きです」
卵、きちんと割れるんだろうかと危惧しながらも、
大人しく座って待っていた。
座って待つしかなかった。
しばらくすると、キッチンから焦げたような臭いがして、
どうしようかと思っていたら、彼女がお盆を持ってやって来た。
「………」
「サラダは昨日の残りの野菜を使いました」
かなり通常よりは色黒?の目玉焼きに、
不器用な形にカットされたトマトが添えられている。
「…わたし、これじゃあ『奥さん』の資格ないです」
「え…」
「朝御飯もきちんと作れないんじゃ、いざと言う時に出動する立場の
 旦那さんが可哀想で…」
「そんなことは」
もしかして彼女が気にしてるのは『こう言うこと』だったんだろうか?
少し勇気を出して、目玉焼きをつつく。
昨夜のコーヒーよりも苦味の増した味がする。
目の前の彼女は、じっと、すごい集中力でこちらを見守っていた。
「………」
「美味しいよ」
「嘘!」
「嘘じゃないよ」
「すっごい焦げてます」
「うん」
「じゃあ、なんで!大祐さんにばっかり無理させるの、わたしは…」
「昨日のカレー美味しかったでしょ」
「そ、それは…」
「何か特別なことをした訳じゃない。
 『一緒』に作って『一緒』に食べただけ」
「……」
「多分、一緒の家に住んでも一緒にいられる時間は短いだろうと思う」
『結婚したら』と言う言葉はまだ使えなかった。
「それなら――一緒にいる時間をもっと楽しむようにしても
 いいと思う」
彼女を得てから、ずっと考えてきたことが、
ようやく言葉になった気がした。
「飛行機だってパイロット一人の力で飛ぶ訳じゃない
 …広報に来てから、尚更そう思ったけど」
「……」
「だから――」
「待って!」
彼女は困ったような、それでも真剣な眼差しでこちらを見た。
「そ、そのあとの言葉は次の機会に改めて言って下さい。
 こ、この目玉焼きを前にして言われたら、あんまりです」
「…っ。確かに」
思わず吹き出した。
「あ、ひどい。やっぱり不味いって思ってたんだ!」
「確かめてみる?」
彼女の腕を引いてキスをした。
今度は率直に。
「……苦い」
口唇を離すと、彼女は眉をしかめた。
「よく食べましたね」
「君が初めて作ってくれた訳だし」
「…でも」
「真夏に基地外周を何周もランニングするよりは、ずっとマシ」
「わ、わたしの料理は夏の特訓と同じ?!」
「あ…」
失言に気付いて、慌てて二度目のキスをする。
彼女はすっぼり腕の中に入った。
今感じてるこの気持ちを、そのままに。
「僕はいざと言う時に君の側にいられない。
 それでも他の時は側にいさせて欲しいから…」
「そうしたらわたしは、目玉焼き作って待ってます。
 今度は苦くないやつ」
「今してるキスは甘いよ」
低い声で囁いて、抱き締めた。
カーテンの向こうは朝陽が眩しく輝いていたけど、
抱き締めた柔らかな存在に抗えず、そのままベッドに戻った。
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次女妊娠中にQEDにはまりました。
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……なんじゃ!このネタ!?と
思ったら、目をつむって十数えてなかったことに
して欲しいです^^;
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