タタ奈々と空稲で二次してます。
どちらのジャンルも原作設定をメインとしております。
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いやいや、ちょっと筆が乗ってきました。
鎌倉行く前に、時間が出来たので少し書いてたら1回分になったので、
更新していきます(*^_^*)
全10回は無理っぽい(笑)
12回くらいを目指して頑張りまーす。
小説は続き記事からです。
鎌倉行く前に、時間が出来たので少し書いてたら1回分になったので、
更新していきます(*^_^*)
全10回は無理っぽい(笑)
12回くらいを目指して頑張りまーす。
小説は続き記事からです。
◆◆◆
奈々が連れてこられ――ミシェルは『招待』と言っていたが、
体良く監禁――された部屋はプアラニ・エルガーリゾートホテルの
最上級のスウィートルームだった。
アールヌーボー調のいかにも高級そうな家具が並んでいる。
奈々の通された部屋には天蓋付きのベッドが置かれ、
もしこれが崇と一緒に泊まれるのであれば、
奈々はとても嬉しかった筈だ。
だが目の前で、洒落た植物の描かれた、
優しいグリーンの色合いのソファに腰掛けているのは、
このエルガーリゾートホテルの経営者でエルガーホテルチェーンの会長の
一人息子、ミシェル・エルガーだった。
白人の年齢は見た目では解りづらいが、
ミシェルは恐らく崇か奈々と同じ歳ではないだろうか。
暢気そうにカフェオレを飲みながら、何か本を読んでいた。
「やっぱりホームズは一度行方不明になる前までの話が面白いな」
ミシェルは本を閉じた。
「シャーロック・ホームズですか?」
「僕はポーの方が好きだけどね。バスカヴィルの犬は特別かな」
「わたしも読みました」
そう言えば横浜でシャーロキアンの集まるパーティに行ったあの時も、
事件現場にいて奈々の職場のホワイト薬局まで、
警察が事情聴取に訪れたのだった。
―――崇はどうしているだろう。
まさか留置所に入れられたりしているのでは?
事情を知りたくても、話が出来るのはミシェルだけであり、
そして彼はにこやかでありながら、
中々こちらのペースに会話を持って行きにくい相手だった。
その上奈々の名前を知っていた。
ホテルのオーナーだからではない。
奈々の旧姓を知っていたのだ。
「棚旗奈々さん」
彼はいかにも好奇心の強そうな瞳を、奈々に向けた。
「なんでしょう、エルガーさん」
「あー、それやめて下さい。ミシェルでいいです。
ホテルの支配人ですら、名前で呼んでるんだから。
滞在は長くなるかもしれないし、リラックスだよ」
と、ウィンクする。
こんなときでなければ、人懐こい性格のミシェルに、
奈々は好意的な印象を持っただろうが、
崇の心配と今の状況から奈々は警戒心で一杯だった。
「僕も奈々、って呼びます。君の――君が結婚してたのは残念だけど、
まあそれも場合によってはそれほど問題じゃないからいいとして、
あのボサボサの案山子(かかし)男の心配はいらないよ」
「何故ですか?」
「ハワイの州警察もバカではないですからね。
じきに彼が無関係であることが、わかるはず。
それにしても――第一印象でもそう思ったが君は理知的な女性だね。
大抵女性は感情に左右されやすいが、君はこんな場面でも落ち着いている。
なのに堅苦しさはない。理想的だな」
「…なんのお話ですか」
「当然、僕らの未来の話です」
「さっきからなんのお話なのか、わたしには解りません。
タタルさんが戻って来たらわたしたち新婚旅行の最中ですし、
元のお部屋に戻ります!」
電話の呼び出し音が鳴った。
ミシェルは電話を取り、しばらく真面目な表情で電話の相手と話していた。
「亡くなったそうです」
「え?!」
「ダテ…と言いましたか。植物園で倒れていた男」
「亡くなられたんですか?」
「ただ、まだ殺人か事故かは解らないようですが、
彼から強心配糖体の一種が検出されたとか」
「ええ!」
「致死量かどうかは確定していないようです。
こんなとき、シモンがいたら…そもそもダテを発見したのが僕ではなく、
彼だったら、ダテは死なずに済んだかも」
「?」
「今日此処に来ますから、紹介しましょう。変わった人物です。
だが奇妙な所で頼りになる」
「………ミシェルさんはどうしてわたしの名前を知っているんですか?」
「宿泊客の名前を暗記するくらいは、容易いことですが、
君の名は特別です」
「え?」
「…覚えてないんですね」
目の前の金髪の青年は微かにため息をついた。
奈々がその意味を考える前に、また電話のベルが鳴った。
今度は短く済ませ、ミシェルは奈々を見つめた。
「噂をすれば、ですよ」
十分後、スウィートルームに現れたのは―――
「御名形さん!」
自称毒草師の御名形史紋だった。
相変わらずと言うべきか。
白のサマースーツに黒地のサマーセーターを着ている。
そしてどう考えても意外な場所で奈々に出会ったと言うのに、
少し眉を動かしただけで、全くいつもの彼のままだった。
「やあシモン」
「ミシェル。久しぶりだ。五年と三ヶ月ぶりか」
「まだ頑固に毒草師なんて言う仕事についているのか」
「君は相変わらず毒草の品種改良に励んでいるのか」
全く表情を変えない御名形史紋と、いつも笑顔のミシェル。
しかし二人は波長と言うか、醸し出す空気と言うか、
何処か似た雰囲気があった。
「とうとうプルメリアから毒性を無くしたと聞いた」
「ああ~、それ、逆、逆。色を青くしてみたら、却って強くなってしまって。
他のキョウチクトウ科の植物と違ってプルメリアは樹液にしか、
毒性はないけど、あれこれ組み換えてたら、
花にも毒性が出てしまってね。なかなか儘ならないよ」
「自然が生み出したものは、そう人の手で変えられるものではない」
「それは君たち日本人の宗教かい?」
「あの…」
このままだと奈々の話す余地は全くなくなりそうだ。
奈々は敢えて口を挟んだ。
「御名形さんとミシェルさんはお知り合いなんですか?」
二人は同時に奈々を見た。
なんだか無闇に圧迫感がある。
「…学生時代の知り合いだ」
「また~。シモンは素っ気ない。僕のお祖父さんはイギリス系の移民でね。
まだイギリスに本宅があって、そこにシモンがハイスクールの頃、
一月程ホームステイしてたんです。それより…奈々とシモンこそ、
どういう知り合い?」
「え?!」
予測しなかった質問に奈々は戸惑ってしまった。
御名形史紋と奈々の関係は、出会いから言っても特殊だ。
強いて言えば、奈々の知り合いの薬剤師、神山禮子の幼馴染みだろうか。
「先日彼女の結婚式に出席した」
史紋はあっさり説明した。間違ってはいない。
「ふうん…。シモンにしては珍しいことだね。それより…」
すると三度目の電話のベルが鳴った。
ミシェルは電話を切るとため息をついて言う。
「これだから、事件が起きると面倒なんだ。
研究の最中だったら断ってるね」
ミシェルはいかにも面倒くさいと言う態度で、
扉に向かうと奈々の方を振り向いた。
「奈々、また後でゆっくり話そう。君と僕の縁について」
扉が閉まると、奈々は史紋と二人で取り残されてしまった。
「事件?」
史紋は無表情のまま、奈々に問い掛けた。
「あ、あのっ。わたしとタタルさん、新婚旅行の最中で
…同じ飛行機に乗っていた男性の方が、倒れてる所に
かち合わせてしまって。その方さっき亡くなられたそうなんです」
史紋は奈々を見つめると、やれやれと言ったようにため息をついた。
「貴方たちはてっきり九州にでも行ったのかと思っていました。
だから九州方面には近付かないようにと、用心していたのですが。
こう言う偶然ばかりは僕にも予測不能です。――では桑原くんは警察に?」
「は、はい。重要参考人とかで連れてかれてしまって…」
奈々はやっと苦境を訴えられる人物に出会ったと思ったが、
何せ、職業からして何をしているのか解らない男性である。
一体何処まで話したら良いものだろう。
「桑原くんならば大丈夫でしょう。貴方と結婚した時点で、
彼は今の出来事は予想の範囲で受け入れている筈です。それより」
史紋が一歩奈々に近付いた。
「貴方は大丈夫ですか?ミシェルは悪い人間ではないが、
一度思い込むと中々厄介な人物です」
「そうなんです!困ってます。
わたし、彼に此処に閉じ込められてしまって…」
「…彼の研究の成果を見に来たのだが、あてが外れたようですし、
しばらく貴方の手助けをしましょう。
最近は珍しいことではないので。
良く美しき災いに巻き込まれる隣人がいるので、慣れています」
「まあ…」
「まずは事件で貴方の気になったことを、話して下さい」
「はい」
今まで近寄りがたいと感じていた史紋だが、
奈々は急に目の前の男が頼もしく見えて来た。
崇が警察の取り調べから解放されると、
警察の玄関に小松崎良平が立っていた。
「熊…」
「まさかお前らの新婚旅行先がハワイだとはな。
てっきり九州の名前も聞いたことのない神社に、
行ってるんだとばかり思ってたぜ」
「熊こそ、パリに帰ったんじゃなかったのか?」
「パリで起きた骨董品の贋作事件の関係者が、
ハワイに来てるらしくてな。
追いかけて来たら…なんだお前らまさかまた巻き込まれてんのか?」
「…………」
「奈々ちゃんは?」
「彼女はエルガーホテルにいるはずだ」
「まあ、いい。タタル、ちょっとその非常識な頭貸せ。
上手く行けば、お前らも自由になるんじゃないか?」
「それは構わないが…」
二人は警察署前に偶然通りかかったタクシーを止め、乗り込んだ。
奈良の月修寺は新緑に包まれ、今日も穏やかな佇まいだ。
唯一外部との接触を許されている部屋で、
玄鳥尼――五十嵐弥生は娘の彩子と対面していた。
「奈々さんが?」
「正確には桑原くんよ。多分今回は厄介な巻き込まれ方を
していると思うの。本当ならわたしが行くべきかもしれないけど、
明日から京都で法話の会があって、動けないから貴方にお願いしたいのよ」
「…ハワイかあ。ウフフ、奈々さんとハワイで会えるなんてステキ」
「遊びに行く訳ではないから、慎重にね。
教団の支部がホノルルにあるのだけど、
そこに入った情報では桑原くんは最初、容疑者として
連れて行かれたそうよ。
同じ飛行機に乗っていた人で同じ日本人だったと言う程度の
疑いだったそうだけど」
「じゃあ桑原さんは留置所にいるの?」
「それはどうかしら?とにかく現地での様子を知らせて頂戴、彩子」
奇妙にウキウキしている娘に釘を刺しながら、弥生は慎重に話しはじめた。
※タタルさんの味方?が熊さんだけじゃ足りないと感じ
遠隔操作で弥生先生登場!
しかし娘の彩子ちゃんはトラブルメーカーだから、
タタルさんの先行きは暗いw
奈々が連れてこられ――ミシェルは『招待』と言っていたが、
体良く監禁――された部屋はプアラニ・エルガーリゾートホテルの
最上級のスウィートルームだった。
アールヌーボー調のいかにも高級そうな家具が並んでいる。
奈々の通された部屋には天蓋付きのベッドが置かれ、
もしこれが崇と一緒に泊まれるのであれば、
奈々はとても嬉しかった筈だ。
だが目の前で、洒落た植物の描かれた、
優しいグリーンの色合いのソファに腰掛けているのは、
このエルガーリゾートホテルの経営者でエルガーホテルチェーンの会長の
一人息子、ミシェル・エルガーだった。
白人の年齢は見た目では解りづらいが、
ミシェルは恐らく崇か奈々と同じ歳ではないだろうか。
暢気そうにカフェオレを飲みながら、何か本を読んでいた。
「やっぱりホームズは一度行方不明になる前までの話が面白いな」
ミシェルは本を閉じた。
「シャーロック・ホームズですか?」
「僕はポーの方が好きだけどね。バスカヴィルの犬は特別かな」
「わたしも読みました」
そう言えば横浜でシャーロキアンの集まるパーティに行ったあの時も、
事件現場にいて奈々の職場のホワイト薬局まで、
警察が事情聴取に訪れたのだった。
―――崇はどうしているだろう。
まさか留置所に入れられたりしているのでは?
事情を知りたくても、話が出来るのはミシェルだけであり、
そして彼はにこやかでありながら、
中々こちらのペースに会話を持って行きにくい相手だった。
その上奈々の名前を知っていた。
ホテルのオーナーだからではない。
奈々の旧姓を知っていたのだ。
「棚旗奈々さん」
彼はいかにも好奇心の強そうな瞳を、奈々に向けた。
「なんでしょう、エルガーさん」
「あー、それやめて下さい。ミシェルでいいです。
ホテルの支配人ですら、名前で呼んでるんだから。
滞在は長くなるかもしれないし、リラックスだよ」
と、ウィンクする。
こんなときでなければ、人懐こい性格のミシェルに、
奈々は好意的な印象を持っただろうが、
崇の心配と今の状況から奈々は警戒心で一杯だった。
「僕も奈々、って呼びます。君の――君が結婚してたのは残念だけど、
まあそれも場合によってはそれほど問題じゃないからいいとして、
あのボサボサの案山子(かかし)男の心配はいらないよ」
「何故ですか?」
「ハワイの州警察もバカではないですからね。
じきに彼が無関係であることが、わかるはず。
それにしても――第一印象でもそう思ったが君は理知的な女性だね。
大抵女性は感情に左右されやすいが、君はこんな場面でも落ち着いている。
なのに堅苦しさはない。理想的だな」
「…なんのお話ですか」
「当然、僕らの未来の話です」
「さっきからなんのお話なのか、わたしには解りません。
タタルさんが戻って来たらわたしたち新婚旅行の最中ですし、
元のお部屋に戻ります!」
電話の呼び出し音が鳴った。
ミシェルは電話を取り、しばらく真面目な表情で電話の相手と話していた。
「亡くなったそうです」
「え?!」
「ダテ…と言いましたか。植物園で倒れていた男」
「亡くなられたんですか?」
「ただ、まだ殺人か事故かは解らないようですが、
彼から強心配糖体の一種が検出されたとか」
「ええ!」
「致死量かどうかは確定していないようです。
こんなとき、シモンがいたら…そもそもダテを発見したのが僕ではなく、
彼だったら、ダテは死なずに済んだかも」
「?」
「今日此処に来ますから、紹介しましょう。変わった人物です。
だが奇妙な所で頼りになる」
「………ミシェルさんはどうしてわたしの名前を知っているんですか?」
「宿泊客の名前を暗記するくらいは、容易いことですが、
君の名は特別です」
「え?」
「…覚えてないんですね」
目の前の金髪の青年は微かにため息をついた。
奈々がその意味を考える前に、また電話のベルが鳴った。
今度は短く済ませ、ミシェルは奈々を見つめた。
「噂をすれば、ですよ」
十分後、スウィートルームに現れたのは―――
「御名形さん!」
自称毒草師の御名形史紋だった。
相変わらずと言うべきか。
白のサマースーツに黒地のサマーセーターを着ている。
そしてどう考えても意外な場所で奈々に出会ったと言うのに、
少し眉を動かしただけで、全くいつもの彼のままだった。
「やあシモン」
「ミシェル。久しぶりだ。五年と三ヶ月ぶりか」
「まだ頑固に毒草師なんて言う仕事についているのか」
「君は相変わらず毒草の品種改良に励んでいるのか」
全く表情を変えない御名形史紋と、いつも笑顔のミシェル。
しかし二人は波長と言うか、醸し出す空気と言うか、
何処か似た雰囲気があった。
「とうとうプルメリアから毒性を無くしたと聞いた」
「ああ~、それ、逆、逆。色を青くしてみたら、却って強くなってしまって。
他のキョウチクトウ科の植物と違ってプルメリアは樹液にしか、
毒性はないけど、あれこれ組み換えてたら、
花にも毒性が出てしまってね。なかなか儘ならないよ」
「自然が生み出したものは、そう人の手で変えられるものではない」
「それは君たち日本人の宗教かい?」
「あの…」
このままだと奈々の話す余地は全くなくなりそうだ。
奈々は敢えて口を挟んだ。
「御名形さんとミシェルさんはお知り合いなんですか?」
二人は同時に奈々を見た。
なんだか無闇に圧迫感がある。
「…学生時代の知り合いだ」
「また~。シモンは素っ気ない。僕のお祖父さんはイギリス系の移民でね。
まだイギリスに本宅があって、そこにシモンがハイスクールの頃、
一月程ホームステイしてたんです。それより…奈々とシモンこそ、
どういう知り合い?」
「え?!」
予測しなかった質問に奈々は戸惑ってしまった。
御名形史紋と奈々の関係は、出会いから言っても特殊だ。
強いて言えば、奈々の知り合いの薬剤師、神山禮子の幼馴染みだろうか。
「先日彼女の結婚式に出席した」
史紋はあっさり説明した。間違ってはいない。
「ふうん…。シモンにしては珍しいことだね。それより…」
すると三度目の電話のベルが鳴った。
ミシェルは電話を切るとため息をついて言う。
「これだから、事件が起きると面倒なんだ。
研究の最中だったら断ってるね」
ミシェルはいかにも面倒くさいと言う態度で、
扉に向かうと奈々の方を振り向いた。
「奈々、また後でゆっくり話そう。君と僕の縁について」
扉が閉まると、奈々は史紋と二人で取り残されてしまった。
「事件?」
史紋は無表情のまま、奈々に問い掛けた。
「あ、あのっ。わたしとタタルさん、新婚旅行の最中で
…同じ飛行機に乗っていた男性の方が、倒れてる所に
かち合わせてしまって。その方さっき亡くなられたそうなんです」
史紋は奈々を見つめると、やれやれと言ったようにため息をついた。
「貴方たちはてっきり九州にでも行ったのかと思っていました。
だから九州方面には近付かないようにと、用心していたのですが。
こう言う偶然ばかりは僕にも予測不能です。――では桑原くんは警察に?」
「は、はい。重要参考人とかで連れてかれてしまって…」
奈々はやっと苦境を訴えられる人物に出会ったと思ったが、
何せ、職業からして何をしているのか解らない男性である。
一体何処まで話したら良いものだろう。
「桑原くんならば大丈夫でしょう。貴方と結婚した時点で、
彼は今の出来事は予想の範囲で受け入れている筈です。それより」
史紋が一歩奈々に近付いた。
「貴方は大丈夫ですか?ミシェルは悪い人間ではないが、
一度思い込むと中々厄介な人物です」
「そうなんです!困ってます。
わたし、彼に此処に閉じ込められてしまって…」
「…彼の研究の成果を見に来たのだが、あてが外れたようですし、
しばらく貴方の手助けをしましょう。
最近は珍しいことではないので。
良く美しき災いに巻き込まれる隣人がいるので、慣れています」
「まあ…」
「まずは事件で貴方の気になったことを、話して下さい」
「はい」
今まで近寄りがたいと感じていた史紋だが、
奈々は急に目の前の男が頼もしく見えて来た。
崇が警察の取り調べから解放されると、
警察の玄関に小松崎良平が立っていた。
「熊…」
「まさかお前らの新婚旅行先がハワイだとはな。
てっきり九州の名前も聞いたことのない神社に、
行ってるんだとばかり思ってたぜ」
「熊こそ、パリに帰ったんじゃなかったのか?」
「パリで起きた骨董品の贋作事件の関係者が、
ハワイに来てるらしくてな。
追いかけて来たら…なんだお前らまさかまた巻き込まれてんのか?」
「…………」
「奈々ちゃんは?」
「彼女はエルガーホテルにいるはずだ」
「まあ、いい。タタル、ちょっとその非常識な頭貸せ。
上手く行けば、お前らも自由になるんじゃないか?」
「それは構わないが…」
二人は警察署前に偶然通りかかったタクシーを止め、乗り込んだ。
奈良の月修寺は新緑に包まれ、今日も穏やかな佇まいだ。
唯一外部との接触を許されている部屋で、
玄鳥尼――五十嵐弥生は娘の彩子と対面していた。
「奈々さんが?」
「正確には桑原くんよ。多分今回は厄介な巻き込まれ方を
していると思うの。本当ならわたしが行くべきかもしれないけど、
明日から京都で法話の会があって、動けないから貴方にお願いしたいのよ」
「…ハワイかあ。ウフフ、奈々さんとハワイで会えるなんてステキ」
「遊びに行く訳ではないから、慎重にね。
教団の支部がホノルルにあるのだけど、
そこに入った情報では桑原くんは最初、容疑者として
連れて行かれたそうよ。
同じ飛行機に乗っていた人で同じ日本人だったと言う程度の
疑いだったそうだけど」
「じゃあ桑原さんは留置所にいるの?」
「それはどうかしら?とにかく現地での様子を知らせて頂戴、彩子」
奇妙にウキウキしている娘に釘を刺しながら、弥生は慎重に話しはじめた。
※タタルさんの味方?が熊さんだけじゃ足りないと感じ
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しかし娘の彩子ちゃんはトラブルメーカーだから、
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森伊蔵
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非公開
職業:
主婦
趣味:
読書・お絵かき・料理
自己紹介:
次女妊娠中にQEDにはまりました。
当然ですが、原作者および版権元様とは
一切関係がありません。
閲覧に関しては、個人で責任を負ってください。
著作権も一応手放してはいないので、
ご利用の際はご一報下さい。
……なんじゃ!このネタ!?と
思ったら、目をつむって十数えてなかったことに
して欲しいです^^;
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一切関係がありません。
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思ったら、目をつむって十数えてなかったことに
して欲しいです^^;
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