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タタ奈々と空稲で二次してます。 どちらのジャンルも原作設定をメインとしております。
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拍手ありがとうございますm(__)m
益々調子に乗って頑張っています。
明日から鎌倉に行くので、今日頑張って三話目。

事態は急展開中です。

お話は続き記事からです。

拍手[4回]


◆◆◆



色とりどりのハイビスカスの花が咲き誇っている。
園芸品種として、よく見かける花だから、珍しい訳ではないが、
これだけの数が咲いていると圧巻だ。
奈々はうっとりした。
南国の花々の色合いは、鮮やかだが何処か陽気で、
見ているだけでリラックスする。
香りの高い、官能的な花も多い。
崇はあまり興味はなさそうだが、時々英語で書かれた説明のボードを
立ち止まって見ていた。


「あちらはデイゴなんかのマメ科の木らしいな」
「デイゴ?」
「どちらかと言えば沖縄のものが有名だね。
 中国の海紅豆なんかも同じ種類だ」
「よくテレビに映ってる、赤い花ですか?」
「ああ、どうもこの植物園は分類はきちんとしてるけど、
 気候が合えば、土地柄は構わず植えてるのかな?
 どうも製作者のコンセプトが解らない」
ハイビスカスの花の群れを抜けると、バナナの木が立ち並び、
その向こうには赤いデイゴの花が満開だった。
「なんでもこのリゾート施設の経営者が、趣味で作った研究所が
 元だそうですよ」
「エルガーホテルの経営者と言えば、先代はたった一代で
 ヨーロッパにも進出した、ホテル王として有名だった筈だが…」
「そうなんですか?」
「アメリカやハワイの開拓史には、詳しく読めば必ず出て来る人物だよ。
 たしかハワイの砂糖黍の農園に、日系移民を誘致したこともあった筈だ」
奈々は崇がこう言った海外の事情に詳しいのを、珍しく感じたが、
あらゆる本と言う本を読んでいる崇のことである。
外国の歴史も何かしら興味を覚えて、本を読んだのだろう。




デイゴの木々の群れを抜け、奈々が見たかったプルメリアの木が
あるエリアに差し掛かった時だ。
木々の向こう側の道を、知った人物が足早に通り過ぎた。
飛行機から同じだった秋月愛だ。今は彼女一人のようである。
気のせいか、やや緊張気味に見えたが、すぐに木々の緑に遮られ、
姿は見えなくなっていた。
崇は少し後ろをのんびりと歩いて来る。
普段、旅行に出た時は――大抵は崇の気になる寺社なのだが、
その寺社に少しでも早く行きたいと思うのだろうか、
崇は奈々にとっては、かなり足早に感じるくらいの早さで歩くことが多い。
近頃では奈々と腕を組む、もしくは手を繋ぐ為だろうか、
心持ちゆっくり歩いてくれることもない訳ではない。
それでも目的地が近付くと、気持ちが先に行ってしまい、
やはりかなりのスピードになる。
そんな崇の子供じみた部分を、それでも奈々は愛しく感じる時があった。
表情には表れない彼の心が、ふと見えたように感じる。
尤も妹の沙織に言わせると『お姉ちゃんがそうやって甘やかしている』
から崇も子供のような行動をとるのだそうだが。



プルメリアの甘い匂いが漂って来た。
奈々は誘われるように、白い花が咲き乱れるエリアに歩み寄った。
ゴムノキに似たような、艶のあるしっかりした葉に、
白く品のある花が咲いている。
「綺麗…」
プルメリアはハワイ原産の花ではない。
元々はメキシコ原産だが、奈々はハワイの美しい海や空に
映える花は、プルメリアが一番ではないか…などと思う。
香り高い所も気に入っていた。
少し先にはピンクなどの赤系の花が咲いている。
確かにこの植物園の展示は、見て楽しむことが主体ではなく、
種目別、何かの研究の為に作られているようだ。
ふと見ると、濃いピンクのプルメリアと白いプルメリアの木の間に、
男性のものと思える、足が見えた。
「……誰か倒れてる?」
医療に従事してる者として、誰か倒れているならば、
応急措置くらいはしなくては。
奈々は反射的に駆け寄った。


倒れていたのは、やはり飛行機で一緒だった伊達と呼ばれていた男だ。
顔が真っ青だ。
心筋梗塞でも起こしているのか?
「大丈夫ですか?!」
「………ま……な」
伊達は掠れた声を辛うじて絞り出した。
すると突然けたたましい音と共に、救急車とおぼしき車が
背後の道路に横付けされた。
レスキュー隊員たちが駆け寄って来る。
あまりに急な展開に奈々は戸惑ったが、ふいに背後から人が寄り添った
気配がしたので、振り向いた。
――崇ではなかった。
ホノルルの空港で、奈々たちの荷物を取ってくれた青年だ。
「しぃっ」
彼はにっこり微笑むと、指をそっと奈々の口許に向けた。
「レスキューは僕が呼びました。心配しないで。
 ただ彼は助からないかもしれないが」
「え?!」
「服毒の恐れがあるからね。僕が発見した時は、顔が真っ赤だったのに、
 今は真っ青だ。何かの中毒を起こしたようにも見える。
 庭を散歩する気分で電話を持たなかったから、
 連絡するのに事務所まで行ってたらこんなことに」
「……貴方は」
奈々が言いかけた時、今度は明らかにパトカーに見える車が二台止まった。
降りてきた警官や刑事らしき人物が、ネイティブの英語で交わす会話は、
こんなときに不謹慎ではあるがまるで映画のワンシーンである。
すると別の方角から何人かの警官が、一人の男を囲んでこちらにやって来た。
あれは―――
「タタルさん!」
流石アメリカだけあって崇より背の高い人間は多いが、
崇を囲んで来た警官たちよりボサボサ頭の先が見えるくらい、
崇の方が背が高いようだ。
しかしこの扱いは…?
「彼はどうも重要参考人として、連行されるようだね」
背後の青年は琥珀色の瞳を、くるりと煌めかせ奈々に言った。
「え?!何故ですかっ。タタルさんは無関係です」
「あちらで怪しい行動をとってたって、警官たちは言ってるけど」
すると一人の刑事らしき人物が、頭を下げつつこちらへやって来た。
「Mr.Elger」
奈々にも聞き取れた。
『エルガー』それがこの、誰だか解らない青年の姓らしい。
……『エルガー』?それは確かこのリゾート施設の経営者の名では
なかったか。
刑事と青年は早口で会話を交わしていた。
途中、青年は奈々の肩にぽんっと手を置いて、刑事ににっこりと微笑んだ。
刑事は仕方ない、と言った様子で肩をすくめて、
崇が囲まれている方に戻って行った。
すると崇がちらりと奈々を見た。
そして心配ない、と言うように手を振ると、警官に連れられ、
パトカーに乗り込んだ。
伊達もとうに救急車で運ばれたようだ。
「タタルさんっ!」
奈々は精一杯叫んだ。振り向いて、エルガーと呼ばれていた青年に言う。
「刑事さんに話して下さい。彼はわたしの…わたしの夫です!
 わたしたち巻き込まれただけで、事件に関係ありません。
 タタルさんを捕まえるなら、わたしも一緒に行きます!」
「……祟る、とは随分不吉な日本語で名前をつけたものだね」
青年は的はずれな驚き方をする。
「あ…それはニックネームで、た、た、崇さんの所にわたしを
 連れてって下さい!」
奈々は耳まで真っ赤になりながら、必死に訴えた。
だが青年は何処吹く風と言った風情で、こう言った。
「君の身元保証人は僕が引き受けたんだ。
 多分君はある程度事件が解決するまで、ハワイから…と言うより
 此処から出られない。ホテルに部屋を準備するから、来て貰うよ」
「…………!」
思いもよらない話の進み方に、奈々は固まってしまった。
「貴方…貴方はどなたなんですか?」
「………僕はミシェル・エルガー。この植物園の管理人さ」
青年はいたずらっ子の様に微笑った。




その頃。
一人の男がホノルル空港に降り立った。
派手な赤いハイビスカスの描かれたアロハシャツに、ストローハット。
暢気にBOOMの島唄を口ずさんでいる。


小松崎良平は、使い込んだスーツケースを下ろすとタクシー乗り場を
探した。
「いや~、暑い所は去年イタリアのシチリア島以来かな」
タクシーに乗り込むと、運転手に行き先を告げる。
「ホノルルのハワイ州警察署へ」
海外生活一年になる小松崎は、クセはあるものの流暢な英語で話したのだった。






※第4の男小松崎登場!で、以下次回。
さて~事件の複線引きすぎて、自分が忘れないようにしなくては(^_^;)
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次女妊娠中にQEDにはまりました。
当然ですが、原作者および版権元様とは
一切関係がありません。
閲覧に関しては、個人で責任を負ってください。
著作権も一応手放してはいないので、
ご利用の際はご一報下さい。

……なんじゃ!このネタ!?と
思ったら、目をつむって十数えてなかったことに
して欲しいです^^;
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