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タタ奈々と空稲で二次してます。 どちらのジャンルも原作設定をメインとしております。
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拍手ありがとうございます!

いよいよ明日からGWに突入ですね。
お天気は少々荒れるようですので、皆様気を付けて
お過ごしください。

わたしもお休みの最初の二日は、子供たちを実家に連れて行く
予定です。
なのでその前に緊急更新w
ぼちぼち色々なゲストキャラ、あと申し訳ないのですが
オリキャラも出てきます。
楽しいお話にしたいと思っています。
(まあ、主に災難はタタルさんに降ってくるだろうw)

※タイトル見てみたら、以前同じようなタイトル使ってたんで
少し変えました^^;いつも適当に決めてるわたし。
持ち込み時代にタイトルの付け方にセンスがないと言われたw

小説は続き記事からです。

拍手[5回]


◆◆◆



「現在ヤマトエアラインは上空10000メートルの高度を
 順調に飛行中です。気流が安定するまでは
 シートベルトを着用したまま…」
成田国際空港を飛行機が飛び立って、一時間にはなろうか。
崇は一見いつも通りだが、窓際のシートにいかにも
『かったるい』と言う様子でもたれかかり、文庫本を開いていた。
読んでいるのか、いないのか――多分読んではいても、
楽しんではいない。奈々はそう思った。
機内ではドリンクのサービスが始まっている。


初め九州に行く予定の予算だったのだから、
仕方ないと言うか当然なのだが、座席は当然エコノミークラスである。
普段あまりこだわりはしないものの、新婚旅行くらいはと、
九州へ行く飛行機はビジネスクラスを考えていた。
人混み嫌いの崇も賛成していたのだが――今はとても声がかけられないな。
奈々は横目で崇を見てそう思った。
「お飲み物は何になさいますか?」
フライトアテンダントに尋ねられ、奈々は崇をおそるおそる見た。
「………」
「あの…」
フライトアテンダントが、貼り付いた笑顔でもう一度訪ねる。
「こう言う時は、緑茶だろう。緑茶に含まれるカテキンは抗菌…」
「あ、緑茶二つ!でお願いします」
奈々は慌てて笑顔を向けた。
何せ日本からハワイまでの飛行時間は長い。
あまり『変わった』ことがないように、穏やかに過ごさねば。



つい一週間前の結婚式も、崇所以か大騒ぎになってしまった。
妹の沙織が『これはカワイイ妹からの御祝儀だから』と言って、
結婚式当日の明け方四時に奈々たちのマンションに車で乗り付け、
崇を無理矢理座席に押し込めると、そのまま青山にある美容院に
行ってしまった。
そして、見事と言うか(普段の崇を知る人は皆奇跡だと言っていた)
いつものあのボサボサ頭からは想像もつかない新郎姿の崇が、
奈々の目の前に現れたのだ。
最初崇が奈々の控え室に来た時には、誰か別の結婚式の花婿が
間違えて自分の控え室に入って来たかと、
花嫁の奈々ですらそう思ったのだ。
いわんや招待客のほとんどは崇と解らず、
そして崇と判明してからは――正に大騒ぎになってしまった。
自分のペースを乱されるのを嫌う崇が、
この日は本当によく我慢したものだと、奈々はそう思う。
「今後の平穏無事な安定した生活の為だから、仕方がない」
などと呟いていたが、奈々はあの崇がそうまでして自分と
共にいることを選んでくれたこと(尤も崇にも予想外のことだっただろうが)
が、有り余る程幸せに感じらるのだ。
今回の新婚旅行にしたって、奈々はかなり遠慮がちに海外を見る機会が
あれば、と口にしただけだった。
それでも99.9%、崇が予定していた九州寺社、
墓廻りになると思っていたのだから。
妹の沙織にハワイに行くと話をした時は
「大丈夫!?お姉ちゃん。お姉ちゃんたちの乗る飛行機堕ちるかも!!」
などと、大変不吉な驚かれ方をしたものだ。



シートベルト着用のサインが消えたので、
奈々はお手洗いに行こうと立ち上がった。
反対方向から目鼻立ちのはっきりした、
かわいらしい感じの女性が来た。奈々の大学時代の後輩、
斉藤貴子に少し似ているだろうか。
女性は手に水の入った紙コップを持っている。
「すみません」
お互いに言い合って頭を下げながら、すれ違う。
一歩踏み出した奈々の足許に、ストラップのついたホルダーに
入った社員証のようなものが落ちている。
大きめの字で『秋月愛』と書かれていた。
「これ、落ちましたよ」
奈々は席に戻ろうとする、その女性に手渡した。
「ありがとうございます」
女性は少し微笑んで受け取った。
お手洗いからの帰り奈々たちの前の座席に、
さっきの女性がいた。隣の座席にいる男性に薬の
ような物を勧めている。
「伊達さん、飲んだ方がいいですよ。さっきから涙目じゃないですか」
何かアレルギーでもあるのだろうか?伊達と呼ばれた男は、
浅黒い肌の目さえ真っ赤でなければ、
それなりに整った容姿の持ち主だった。
(あまり奈々の好みではなかったが)
「さっき酔い止めも飲んだのに、鬱陶しいよ」
男性は手を振って断り、一つ後ろの座席にいる崇と同じように、
窓に凭れていた。



アレルギー、特に花粉症は辛い。
奈々の勤めるホワイト薬局にも春の声を聞くと同時に、
多くの花粉症の患者が訪れる。
そもそも薬局長の外嶋からして、花粉症なのだ。
毎年くしゃみをする姿を、親戚で事務員の美緒に笑われている。
この季節だと一般的なスギやヒノキは収まっている頃だから、
シラカンバかキク科植物…それともイネ科?
そんなことを思いながら、座席に座ると隣の崇は本当に
眠っているようだった。
――長い睫毛。
生活を共にするようになってから、一年が経とうとしているが、
崇のこうした無防備な姿をつくづくと眺める時間は、
意外と少ない。
何せ奈々より遅く寝て、奈々よりずっと早くに起きてしまうのだ。
たまに奈々に凭れて眠り込んでいる時は
――何だかそれだけでほんのりと温かい気持ちになる。




沙織の予言はともかくとして、飛行機は7時間のフライトを終え、
無事ホノルル国際空港に着いた。
まだ眠たそうな表情の崇を気遣いながら、入国審査を受ける。
ところが崇が係員に呼び止められた。
振り向いてドキリとした奈々だったが、驚いたことに
崇はなかなか早口の英語で応答している。
「タタルさん、どうしたんですか?」
崇はややうんざりした表情で答えた。
「パスポートの写真があまりにも、今の見た目と違うと言っている。
 ちょっと行って来るから、先に荷物を受け取っておいてくれ」
そう言うと崇は係員に連れられ、入国審査のカウンターの
一番奥にある部屋に連れて行かれてしまった。
突然一人にされてしまい、かなり心細かった奈々だが、
崇の言う通り、荷物の受け取りに向かうことにした。



ベルトコンベアに次々と乗せられて来るスーツケースや鞄を、
奈々はじっと見つめていた。15分は経っただろうか。
まだ荷物も崇も出て来ない。
ふと、目の前に見慣れた黒いスーツケースと、
水色の真新しいスーツケースが出て来た。
崇と奈々のスーツケースだ。慌てて取りに向かうと、
横からするりと腕が伸びて来て、二つのスーツケースを床に置いた。
振り向くとにこやかな笑顔の、亜麻色の髪、琥珀色の瞳をした青年が
奈々を見ていた。
「レディ、これは二つとも君の荷物?」
「え、の、NO」
一瞬英語で話さなくては、とどきまぎしたが、
よく考えてみたら、相手の青年は見た目こそ明らかに欧米人だが、
日本語で話している。
「友達のかな?ハワイにはどれくらい滞在ですか?」
「一週間です」
青年の人懐こい笑顔に釣られ、つい奈々も笑顔になった。
「そう。君とは運命を感じる。ああ、日本語には『縁』と言う言葉が
 あったね。ハワイにいる間にいずれまた会えそうだ。
 ――貴方に幸運が訪れますように」
青年は笑顔を崩さないまま、淡い色のジャケットを翻して出口へと
去って行った。



「奈々」
「きゃっ!」
思わず驚いて振り向くと、まるで幽霊か何かのように、
かなり暗い表情の崇が奈々の後ろに立っていた。
「これだから。今回はどう考えても東へ向かうのは、
 俺にはよくなかった」
何やらぶつぶつ呟いている。
「タタルさん、確かコテージまでのお迎えが、
 到着ロビーまで来てますよね」
何だか周りの空気にまで、暗雲立ち込めて来そうな気配だったので、
奈々は慌てて笑顔を作った。



奈々たちが泊まるのは、オアフ島に最近出来た総合リゾート施設で、
ホノルル市街からはやや離れている。
ハワイの自然や環境を楽しめるよう、配慮されており、
勿論宿泊者にのみ開放されている、プライベートビーチもあるのだが、
一番の売りはホテルからは少し離れた、
ビーチに続く海の真上に建てられた幾つかの水上コテージだった。
この施設自体が岩壁で遮られた湾岸に作られている為、
ハワイの他のビーチに比べて波は穏やかだ。
コテージはその穏やかな波に浮かんだ舟とも言えるように、佇んでいた。
迎えに来たマイクロバスから、このコテージが見えた時、
せめて夕焼け時には二人でビーチを散歩したいなと、
奈々は思ったが、崇のスーツケースがこれでもかと言わんばかりに
本で埋められてるのを、知っている身としては、
あまり過剰な期待は禁物だ。
今夜から崇と奈々はこのコテージに泊まる。
偶然かマイクロバスには、さっき飛行機の中で前の座席に座っていた、
伊達と呼ばれていた男と、奈々が社員証らしきものを拾った
秋月と言う女性が乗っていた。
男性は自分たちと同じくらいだろう。
女性は妹の沙織くらいの年齢だろうか?
もしかしたら自分たちのように、新婚旅行かもしれないとも思ったが、
先程から伊達の方は小型のノートパソコンを操査しながら、
しきりに携帯で電話をかけている。
かなり早口の英語な為、奈々には会話は解らない。
女性は秘書か何かで、男性はビジネスでハワイに来たのだ。
普段ほとんど移動することのない職種の奈々には、
想像のつきにくい世界だった。



同じ頃。
九品仏のとあるマンションでは、自称『毒草師』の御名形史紋が、
隣人の西田宅のベランダで座り込んで、
草花の育成状態をチェックしていた。
「君、この植木鉢はやけに伸びがいいが、位置を動かしたのか?」
「動かしませんよ。ただ米の磨ぎ汁をかけてやってたら、
 他より育っちゃって」
不味かったかと西田はやや口ごもった。
「次から、米の磨ぎ汁を与える時は僕に一応聞いてからにしてくれ」
「それで?今度はハワイでしたっけ。どれくらい行くんですか?」
「早ければ五日程で用件は済むが、相手が尋常ではないので、
 一週間はかかるかもしれない」
西田にとって尋常でないのは、目の前の御名形史紋こそそうなのだが、
その彼が『尋常ではない』と表現する相手とは一体どんな人物なのだろう。
西田は新たに設置された、三個の植木鉢を見ながらそう思った。



※西田君はお留守番組決定ですが(笑)
なるべくたくさんのキャラが出せるよう頑張ります~。
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次女妊娠中にQEDにはまりました。
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著作権も一応手放してはいないので、
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……なんじゃ!このネタ!?と
思ったら、目をつむって十数えてなかったことに
して欲しいです^^;
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