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タタ奈々と空稲で二次してます。 どちらのジャンルも原作設定をメインとしております。
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今日はまさかの2更新になりました。

しかもお久しぶりの『毒草師』、西田君と史紋さんです。
まだタタ奈々でもシナリオと言う形でしかやってないネタで
書いちゃいました(笑)


多少腐女子系のノリがございますが、ご了承くださいm(__)m
小説は続き記事からです。

拍手[5回]


◆◆◆


今日は朝から何やら頭が重かった。
それでも何とか仕事をこなし、編集長に捕まらないうちに、
いつもよりは早めの時間に、退社することにした。


いつもと違う時間――と言うことは、いつもと違う人間と
会うこともある。
九品仏駅の改札でいきなりガシッと肩を掴まれたので、
何事かと思い振り向いた。
そこには肩までの今時珍しい長髪の黒髪、
同じく真っ黒のタートルネックのニットに、
有り得ないくらい真っ白のコート、
そして恐らく靴下は赤の、奇人変人隣人、
御名形史紋が立っていた。



「あ、御名形さん。今、お帰りですか?」
尤も彼の『毒草師』と言う所属不明、職業欄にはどう考えても自由業と言う
カテゴリーで書くしかない(ただあの隣人のことだから、
ごく一般的な申込書やら書類やらの職業欄にも
『毒草師』と書いているんじゃないだろうか、と思ってしまうのだが)
生業では、一般にサラリーマンと呼ばれる僕らのような普通人とは違って、
毎日明確な帰宅時間はなさそうだ。
だから今日のこの出会いはただの――偶然と言える。
「君は今日、出勤したのか?」
……これだから自由業は。
「ええ。世間的には今日は月曜日ですからね。
 僕のような雇われ人は出勤せざるを得ません」
「………」
いきなり黙りこんだかと思うと、ぐいっと僕の手を引き、
突然、そう突然僕の額に手を当ててきた。
「…38度4分」
「え」
「インフルエンザではなさそうだ」
「………」
「先週は毎晩帰宅が深夜に及んでたようだが」
「それは…〆切がありましたから」
「まあいい。珍しく早く帰宅出来たのならば、休むのがベストだろう」
そう言うと僕に否と言わせる暇もなく、歩き始めた。




「悪い空気がこもってる。換気をした方がいい」
マンションに帰り着くや否や、隣人の男は人の部屋にずかずかと
入り込み、僕に着替えをするように命ずると、
あちらこちらの窓を開け始めた。
「…君は」
居間を覗くと隣人はベランダに続く窓の所で、佇んでいる。
「はい?何か不味いことでもありましたか?」
「君は先週、毎日帰宅が深夜の12時を回っていただろう」
「ええ、そうですよ」
「朝は早くて7時には出勤していた」
「…よくご存じですね」
「ぼくの寝室は君の部屋の寝室の隣の位置に当たる。
 毎朝、目覚まし時計の音が聞こえていた」
「……それは」
すみません、と続けようとした。
すると、隣人は意外なことにこう言った。
「正直、君に預けた植木鉢は全滅を覚悟していた。
 しかし、君はあのスケジュールの中で、きちんと水をやっていたんだな」
「……それはまあ。植物たちには何の罪もありませんし」
「…………」
隣人はふと考えるように、顎に指を当てた。
「君は寝てるといい」
そう言って、さっさと部屋を出て行った。
唐突過ぎて何が何やら解らないが、先程隣人が言ったように、
僕は熱があるらしい。
ベッドに腰掛けた途端、どっと体がだるくなってきたので、
布団に入ることにした。



朦朧とした意識の中、キッチンの方から何やらコトコトと
音がするのに気付いた。
一瞬泥棒か何かが入り込んでいるのかと思い、
近くにあったテニスのラケットを握りしめて、
忍び足でキッチンを覗いて見た。
すると――。
そこには上から下まで黒一色の服を着て、
真っ白で胸の所に赤いハートマークのエプロンをしめた隣人
――御名形史紋が立っていた。
しかもガス台の上では、何やらコトコト煮えている。
「御名形さん…何やってるんですか?」
「ああ、起きたのか。そこにお茶と言うか薬が出来ているから、
 飲むといい。食欲促進の為に千振や抗菌作用のある
 ドクダミが入っているから、少し苦いかもしれない。
 そこに蜂蜜を持って来てあるから、入れて飲めば飲みやすい」
「それは…ありがとうございます。御名形さんは一体何を
 作っているんですか?」
「ああ、これは」
能面と言い切って間違いのない無表情な顔が振り向く。
ガス台に乗っているのは、一人用の小さな土鍋だ。
「今、お粥を作っている。たまたま信州に行った時に
 高麗人参を手にいれた。風邪にはいいだろう」
「………」
風邪を引いているのは僕だ。
それでは、この奇人変人隣人は『僕』の為に、
(ありえない柄の)エプロンをしめてお粥を作っていると
言うのだろうか。
驚きのあまり声も出ない。
もしかしたら、今まで僕が思っていた以上に、
隣人は情のある――優しい人柄だったのだろうか。
「…御名形さん」
「これ以上症状を悪化させたくなかったら、
 さっさとそれを飲みたまえ」
言葉はいつも通り、天上天下唯我独尊と言わんばかりの、
傍若無人ぶりではあるが…。
「ありがたく頂きます」
正直、その飲む気力を全く起こさせないような色の薬湯を飲んだ。
味は頂けたものではなかったが……ほんのりと温かかった。



あのあと毒草師手製の無闇やたらに有り難い、人参粥を食し、
隣人の勧めに従い早めに寝た。
そのお陰か――翌朝にはすっきりと目覚めた。
熱もない模様。
これなら仕事にも行けそうだ。
いつものようにベランダの植木鉢に水をやり、
コーヒーとパンの朝食を摂ると、
玄関を出た――所で隣人が顔を出した。
「あ、御名形さん。昨夜はありがとうございました。
 お陰様で今朝はすっきりしました」
隣人は僕を上から下まで、じっと眺めた。
「…これなら来週はもう後何種類か鉢植えを任せて行けそうだな」
「はい?」
「来週、ベトナムの大学で珍しい毒草を見せて貰えることになって、
 一週間留守にする。神凪くんにも頼んでいるが、
 彼女も毎日は来られないようだから、君に世話を頼みたい」
「………」
「まだ芽を出したばかりのものもあるし、
 繊細な育成を必要とするものもあるから、
 体調不良で判断ミスをされるのは困る。
 まあ君はこちらが思っていたより、ずっと律儀な性格のようだから、
 任せても大丈夫だろう」
「………」
何だか朝から一遍に力が抜けた。
あまりにも思いにも寄らないことだったので、
うっかりこの男に『親切』などと言う言葉を当て嵌める所だったが、
要は植物――自分の研究対象である毒草を、
僕に世話させる為に、僕の風邪を治そうとしたのだ。



それでもまあ、体調はあれ以来すこぶる快調だった。
奇人変人隣人は余計なお世話とも思われるくらいの、
細かな指示の元に新たな植木鉢を五個も僕の家のベランダに設置して、
ベトナムへと旅立って行った。

この件で一つ良かったことがあったと言えるのは、
百合さんがまた僕の家で夕食を摂ったと言うことだろうか。
「え!西田さん、御名形さんに看病して貰ったんですか」
「この植物たちを枯らせない為に――ね」
「でも、でもっ、お粥まで作って貰って?」
「だからそれは…」
何故か羨ましそうに僕を見つめる百合さんに、思わず溜め息が出た。




※期待しすぎちゃった方、どうもすみません(^_^;)
 たまきさん、エプロン、ワンポイントにしてみました。
 個人的に赤いぞうさん柄もちょっと考えたんですがw
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次女妊娠中にQEDにはまりました。
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著作権も一応手放してはいないので、
ご利用の際はご一報下さい。

……なんじゃ!このネタ!?と
思ったら、目をつむって十数えてなかったことに
して欲しいです^^;
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