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タタ奈々と空稲で二次してます。 どちらのジャンルも原作設定をメインとしております。
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拍手、ブログ、サイト共に本当にありがとうございます!

ちょっとしたきっかけで調べた事が元で、
なかなか思いつかなかった『タタ奈々新婚旅行ネタ』が
どうやら完成できそうなので、本の原稿が進まない時は
こっちをやろうと言うことで、始めることにしました。

ハワイです!
ハワイ。

以前タタ奈々の新婚旅行は何処がいいでしょう?なんて
質問をぶつけた所、ありえないこととして『ハワイ』と言う
ご意見が多かったので、頑張って書いてみることにしました。

何せ確かホノルルってハワイ島にあるんじゃないんだよね?
ぐらいの知識の人が、現地取材もなしに(できるものならやりたい)
書きますので至らない点が沢山あると思います。
温かい目で読んで頂けると、助かります(^_^;)


タタ奈々が旅行=事件はもう定番!
なので行き先が海外なら、事件も国際化か…。
この辺も頭痛いところで、ダンナに
「ハワイで日本人同志が殺人事件を起こしたら、
 アメリカの警察が捜査するの?」などと言う
ひどく基本的な質問をしてバカにされております。
途中調べごとをしながら、全10回で終われるよう努めます。
お付き合い頂けましたら嬉しいです。
そしてこのお話の中に出てくる、人物、集団などはすべてフィクションです。
ご了承くださいm(__)m


小説は続き記事からです。

拍手[7回]


◆◆◆



五月の末にある、崇と奈々との結婚式を三ヶ月後に控えたある日
――此処、祐天寺駅前のホワイト薬局では、
余人はとても口を挟めないような舌戦が繰り広げられていた。
「いいか、桑原。よく考えろ」
この薬局の薬局長の外嶋は、彼の親戚である相原美緒の淹れた、
やや渋いお茶を一口啜ると、目の前のあからさまに不機嫌な男に
向かって言葉を続けた。
「我々薬局に勤める薬剤師は、個人的な趣味か余程の機会がない限り、
 海外に行くことはない。ましてやお前のような偏屈な男に嫁げば、
 結婚後に海外旅行をする機会などないだろう。
 だとしたら、新婚旅行は数少ない国外脱出のチャンスになるはずだ」
「…俺は薬剤師ですが昨年中国に行きました」
「お前の話はしていない。僕が話しているのは奈々くんのことだ。
 大体九州はこの前の学薬旅行で行ったばかりだろう」
昨日までの、ほとんど冬と言える冷たい風は今日は吹かず、
朝から穏やかに晴れた、うららかな日だった。
珍しく昼休みに外嶋が崇を呼びつけ、崇は奈々の作った弁当を持参して、
ホワイト薬局の休憩室(と言ってもロッカーやノートパソコンが
置かれていて、四人もいたらそれで目一杯な部屋なのだが)
で珍しく昼食を摂ったのだ。
「あんな――大宰府天満宮も宇佐八幡も宗像大社も高良大社もない、
 九州旅行なんて、九州に行ったとは言えない」
崇は低い声で呟いた。
昨年秋の学薬の旅行は、少し遠くへ行こうと行先は九州だった。
しかし(崇にとっては残念なことに)コースは博多と長崎市街、
そしてハウステンボスで、そんなものには全く興味がない崇は
初めから申し込みもしていなかったのだが、
ホワイト薬局からは例年の如く、奈々が出席することになり、
外嶋が最近の学薬の研修会で奈々に声をかける男性が、
老若問わず五割増ししたことを告げた為に、
仕方なくぎりぎり間に合う形で崇も参加したのだ。
崇の(表面そう見えるのではなく)心の底から、
無愛想で不機嫌な表情を横目で見ながら
――それでも結婚を間近に控えた身としては、
婚約者と旅行出来て、奈々としては嬉しい経験だった。
そして――。
今、どういう訳か外嶋は崇と奈々に新婚旅行に海外、
しかもハワイに行くことを強力に、
いやいつもの外嶋のことを考えたら意外な程強引に、
と言うべきだろうか――薦めている。
当然、主に説得する相手は、ハワイには微塵も興味がない崇である。



大体、結婚式の三ヶ月前になっても新婚旅行の行先すら
決まっていなかったのは、崇が原因だった。
いや、全く決まっていなかった訳ではない。
大まかには九州に行こう、と言うことになっていた。
――しかし、だ。
行きたい(崇は「行くべき」と言っていたが)神社のリストアップが、
数が多すぎてなかなか決まらなかった上、
リストに上がっていた神社があまりにも辺鄙な場所にあり、
ネットでの検索にも引っ掛からない神社や史蹟もあった為、
宿泊先の確保に難航した。
それ故今だ航空券すら申し込めていないと言う惨状を見かねたのか、
外嶋がこうして口を挟むことになったのだ。



そして。
奈々も予想しなかったことに、外嶋が薦めたのは、
ハワイに最近出来た総合リゾート施設を、
新婚旅行の行先にしたらどうかと言うことだった。



どう考えても話し合いにもならない――外嶋の考えも読めない上に、
二人の難しい漢字が蔓延る言い合いに、
奈々が口を出せる筈もなく、ただ二人を見守るだけだった。
出会いの時期を考えれば、奈々よりも付き合いの長い二人なので、
最終的な喧嘩にはならないことは解ってはいるが。
「いいか。この度この旅行社を薦めてくれた鈴木さんは、
 長年お前が出てこない薬剤師会の研修や勉強会で、
 奈々くんに群がる老若構わない男どもを、
 蹴散らしてガードしてくれた恩人だ。
 薬剤師同士の面倒な見合い話も彼女がいなかったら、
 果たして僕だけで防ぎきれたかどうか。
 これだけの恩のある彼女の、叔父の姪が勤めてるという
 旅行社が薦めるウェディングプランだという。
 幾らお前が、無愛想、無関心、人でなしだからと言って
 これだけの恩があったら、きちんとお返しするのが礼儀
 というものだろう」
叔父の姪って…ほとんど他人だよね、と呟いた美緒の声は
多分二人の耳には届いていないだろう。
「外嶋さん、その鈴木さんにオペラのチケットでも
 譲って貰ったんですか?」
皮肉めいた崇の声に、後ろを向いた外嶋の肩がビクリと揺れた。
すると。
「奈々」
決然とした表情で、急に崇が振り向いた。
「君は九州に行きたいよな」
崇の目にはもう、それは当然、と言う表情が浮かんでいた。
奈々は――普段は眠たげでやや伏せ気味の崇の瞳が、
急にこちらをじっと見つめたものだからドキリとしてしまった。
「わ、わたし…ですか?」
二人の男の鋭い視線が、奈々に向けられる。
「…あの、わたし、卒業旅行も北海道で海外って行ったことなくて――」




三ヶ月後。
(舞台裏は何かと)バタバタした結婚式も無事に終え、
崇と奈々は新婚旅行に出掛けた。
きっと今頃は『太平洋を東に』向かっている筈だ。
「驚きましたね~」
美緒は呆れたように、パソコンのキーボードを叩く手を止めた。
やや患者数の減ってくる昼下りである。
「桑原さん、ハワイに行きましたよ」
「新婚生活の初めから神社尽くしでは、
 奈々くんがあまりにも哀れだからな」
「親心ですね~。親戚のわたしにもそれくらい親切にして下さいよ」
「何を言うんだ。何処にも行先のない娘を、
 こうして社会的常識を学ばせ、働かせてやっているだろう。
 君の分はそれで使用済みだ。…それに」
外嶋はくるりと背を向けた。
「これで今年の秋に大阪で行われるワグーナーの
 『ローエングリン』のボックス席は、キープ確実だ」
「そんな裏取り引きがあったんですか?!」
「人間万事塞翁が馬。まあ、あれだけ月下氷人を
 尽くしてやったんだから、これくらい礼を貰う権利はあるだろう」
「…く、黒い」
そんなホワイト薬局での会話を他所に、
あり得ない奇跡だと多くの善意?に見送られて、
崇と奈々は太平洋上空をハワイ諸島に向かっていた。



※という訳で以下次号!です。
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次女妊娠中にQEDにはまりました。
当然ですが、原作者および版権元様とは
一切関係がありません。
閲覧に関しては、個人で責任を負ってください。
著作権も一応手放してはいないので、
ご利用の際はご一報下さい。

……なんじゃ!このネタ!?と
思ったら、目をつむって十数えてなかったことに
して欲しいです^^;
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