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タタ奈々と空稲で二次してます。 どちらのジャンルも原作設定をメインとしております。
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ドラマ終了しましたね~。
当然かぶりつきで見てました。
それにしても結構あっさり三か月でスピード婚だったぞ!?
あのまま遠距離夫婦なのか、どうなのか。
なんか続きが気になる状態でした。

と言う訳で我が家の空稲はまだもだもださせてます。
そして意図的に一話分肝心なところを抜きました。
この一話は夏コミの準備のアレコレが終わりましたら、
漫画で取りかかりたいです。
夏コミでもペーパーくらいは『空飛ぶ広報室』で配布したいな^^


お話は続き記事からです。


拍手[30回]


◆◆◆



「はい、空井です」
「……………」
「ちょっと!片山さん?片山さんですよね?」
「へっへっへ……ふうん」
「なんですか。のっけから不気味だなあ」
「とうとうやったな」
「え?」
「惚けるな。稲ぴょんだよ!
 稲ぴょんとつ・い・にやったんだろ!」
「…………その表現なんとかなりませんか?」
「おおっ!余裕の発言。満足だったんだな!」
「…何でそんなこと、じゃなくて余計なお世話ですよ、毎回。
 プライバシーって言葉はご存じですか?片山さん」
「空井の身分でそんなもんある訳ないだろー。だだ漏れなんだよ、お前。
 声にしっかり出ちゃってるの」
「はあ?」
「ついこの間まで『僕、超溜まってます』みたいな声で喋ってたクセに、
 今日いきなり『はい、空井です』なんて爽やかに出られてみ?
 誰だって気付くだろー」
…しまった。
「それで?どうだった?稲ぴょん、イイ女だったか?可愛かったか?」
「……当たり前でしょう」
「…………」
「ただ、女性があんなに柔らかいって忘れてました」
「おいおい、空井のクセにノロケかよ。聞くんじゃなかった。
 ところで今日電話したのはな」
どうも片山さんの電話は、下世話な話題が目当てではなかったらしい。
「槙と柚木、とうとう結婚するらしい」
「え?!そうなんですか?確か槙さんは北海道で、
 柚木さんは沖縄の那覇でしたよね」
「あいつら、上に掛け合ったらしいのよ。柚木は今、那覇の現場離れる訳に
 いかないから、槙があっちに移動になるらしい」
「へえ…」
「槙が自衛官辞めて、主夫するって脅したらしい。ここだけの話だけど」
「…………」
空幕広報室の先輩だった、槙さんと柚木さんの付き合いは長い。
しかも二人とも離ればなれに配属されても、遠距離の関係を続けた。
だから今回のこの報せはかなり目出度くて、嬉しいことに違いなかった。
「それでな、関係者は東京に多いから式はこっちになるんだけど、
 柚木が稲ぴょん呼びたいから住所教えろって」
「ああ、ハイ。それは彼女も喜びます」
「柚木は『空井がまだぐずぐずしてるようなら、わたしがケツひっぱたく』
 って言ってたけど、まあ余計な心配だったな」
「………」
「じゃあ頼むな。解ったら柚木にメールしてやってくれ」
いつもの如く、電話は一方的に切れた。
「とうとう…そうかあ」
槙さんと柚木さんの、二人の情熱、と言うか勢いを止めることは
上層部としても出来かねたらしい。
心底嬉しくなって、彼女にメールする為にデスクに戻ることにした。
 
 
 
彼女に会えたのはそれからひと月後の日曜だった。
何分互いのスケジュールを調整するだけでも、必死である。
でも槙さんたちに比べたら、まだこうして会えるだけ、
ハードルは低いかもしれない。
それでもひと月分足りなかった、明らかな要素を補う為に
お互いに必死に求め、求められ、ようやく満足した頃に彼女が言った。
「柚木さん、ウェディングドレスかしら?白無垢かしら?
 どちらも似合うんだろうなあっ」
彼女はシーツを胸元まで引き上げて言った。
今回は彼女の家ではなく、少し奮発して新宿のホテルに泊まっている。
「喋らなければね」
「失礼ですよ。でも槙さんがいるから大丈夫でしょう」
「確かに」
彼女はこちらを見て嬉しそうに笑った。
「でも、自衛官同士の結婚も大変ですね。必ず同じ場所に配属される訳ではないし」
「槙さんたちもこの先色々あるだろうけど…」
答えつつ、ふと思ったのは自分たちのことだった。
こうして互いの身を重ね合わせてみたものの、
そうしてみたら、離れているのがどうにも難しくなって来た。
松島にいた頃に比べたら、入間配属の今は格段に状況は良い筈なのだが、
じゃあ満足出来るのかと言われれば、互いに明らかな不足を覚えてしまう程に
なってしまった。
前回やっと彼女に触れて、彼女とひとつになれた時、
離れるのが苦しいくらいだった。
今までどうしてあんなにのんびりしていられたのか、不思議なくらいだ。
彼女も同じように考えたのだろう。
ポツリと呟いた。
「……わたし、仕事辞めようかな」
「えっ…」
「わ、わたしが辞めたら、空井さんと一緒にいられますよね」
前回会った時に話し合ったことだった。
同棲するにしても、彼女は首都圏を離れられず、
自分は基地外に住むにしても、近くに住むことが求められる。
電車で一時間前後の距離だが、その一時間の壁は大きかった。
「…僕は嬉しいけど、でも」
彼女が身動ぎして、こちらを見ているのが解った。
「今の仕事をしていない君を想像出来ないな…」
「…………」
確かにそうだった。
出会った時から今の仕事にあらゆる意味で、真っ直ぐな彼女だった。
そして今も。
彼女が纏う凛とした雰囲気は、彼女が仕事から得ている活力から
来るものなのだから、もしそれを失くしてしまったら?
その喪失は二人が一つでいられない以上のものが、あるんじゃないだろうか?
「でもそれじゃあどうしたらいいんですか!このままだと空井さん、
 また他の場所に行っちゃう……わたしそれはもうきっと我慢出来ないです」
「………僕もだ」
真っ直ぐ彼女を見た。
指を伸ばして、細くて柔らかい髪に触れる。
さっきまで何度も口付けてた。
「君に触れられない日が来ることなんて、考えたくない」
「…………」
髪に触れた手を、そのまま肩から背に回し、そして腰の窪みで止めて、
彼女を引き寄せた。
「だから一生懸命考えよう、二人で。納得行くまで」
「でも…」
「ブルーは諦められた。でもリカを諦めるなんて出来ない」
腕の中で彼女は身を縮めた。
まるで少しでもこちらに離れないでいようとするように。
伏せた長い睫毛が細かく震えて、それが殊更愛しく感じた。
ぎゅっと抱き締めてから、柔らかい口唇にそっと口付ける。
「空井さん…」
「大祐」
「…………」
「この前言わなかった?」
「………だ、大祐、さん」
「まあ、いいか。75点かな」
「う…、会ったばかりの頃は『なでてて』ってひんひん泣いてたクセに」
「………そんなこと言うなら、一晩中『哭かせて』もいいけど」
「……っ!」
まるで酸性の液体に漬けた、リトマス試験紙みたいに彼女が真っ赤になった。
そのまま彼女の白い胸に顔を埋める。
微かな甘い香りに誘われて、そのまままたひとつになる為に、
互いを知る行為に夢中になっていった。
 


 
 
月曜の昼、携帯に彼女からメールが来た。
『柚木さんにメールをしました。返信が来て、アンタたちも諦めたりしたら
 強烈な突きを一発お見舞いするからね!って書いてありました。
 それと…沢山考えれば必ず道は開けるからって。
 わたしも沢山考えます。………そ、大祐さんと一緒に
                             リカ』
そう、方法はひとつじゃない。
こうして互いを知った今、どんなに困難でも諦めない道がある筈だ。
相変わらず煙草はほとんど吸わないものの、
彼女に返信する為に、喫煙室に向かった。


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次女妊娠中にQEDにはまりました。
当然ですが、原作者および版権元様とは
一切関係がありません。
閲覧に関しては、個人で責任を負ってください。
著作権も一応手放してはいないので、
ご利用の際はご一報下さい。

……なんじゃ!このネタ!?と
思ったら、目をつむって十数えてなかったことに
して欲しいです^^;
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