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タタ奈々と空稲で二次してます。 どちらのジャンルも原作設定をメインとしております。
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TO BE WITH YOUの続き?になります。
やっと二人で暮らすことになって、お引越し♪

QEDのシリーズ全般的にネタバレしてます(笑)んで、ご注意ください。







Bijou~タカラモノ~




 
6月某日。
今日、横浜のマンションから引っ越しをしました。
 
 
私は引っ越し屋さんを頼んだけど、タタルさんは小松崎さんに
お願いして、トラックを借りてきました。
思っていたより、荷物も少なく(ただしタタルさんの本は予想以上
でした)、作業は早めに終わり、三人でお蕎麦を食べて、小松崎さんは
帰って行きました。
 
 
私は寝室になる予定の、八畳を整理している間、タタルさんは書斎?
になる予定の四畳半を片付けています。
この際だからジャンル別に、本を分けたいのだそうです。
 
一時間ほど経ってから、お茶の用意をして四畳半を覗くと、タタルさんは
本棚と本の間で、とても嬉しそうでした。
沙織に言われて、かなり渋々と、それでも約束通り三分の一を処分したそう
です。小松崎さん曰く、あまりにマニアックなジャンルの本ばかりで、
古本屋さんもかなり困った様子で引きとっていったとのこと。
見なくても、目に浮かぶようです。
 
 
 
「タタルさん、お茶にしませんか?」
声をかけると、パラパラと捲っていた本から、目を離してこちらを向き
ました。
「一概にジャンル分けと言っても、一筋縄ではいかないものだな」
と、苦笑しています。
「書かれている時代ごとに分けますか?」半分冗談で言うと
「多岐の時代に渡ってるものもあるからな」
と、本気で溜め息。
この部屋が整理されるのは一年後かもしれません。
 
 

奥の窓際にある、事務机の上に、それだけは別と言うように、
万葉集の文庫本が置かれていました。
そう言えば彼は、旅先にもいつも万葉集だけは、手放さず持っていた
ような…。
 
「万葉集は、五十嵐先生との思い出もありますものね」
思わず口をついて、言ってしまってから、しまったと思いました。
ヤキモチだと思われちゃいそう。
………もしかしたら、わたし自身の本音?
 

「…え?」
さすがに驚いた表情で、こちらを見たので、焦って机の上の万葉集を
渡そうとすると…。
 
 
 
手が震えて、彼が受け取る前に落としてしまいました。
 
 

----すると…
 


 
本の間から一枚の写真。
 
 


あまりの意外性に一瞬息が止まった気がしました。
「すみません。今拾って…」
そうしたら、何だか慌ててやはり本を拾おうとしたタタルさんと、
手が重なり、写真だけが本からこぼれ落ちて----
「まあ、この写真!」
 
わたしも知っている写真でした。
 
何年前でしょうか。
学薬の旅行で日光に行った時の…、タタルさんは小松崎さんと事件のことで、
東照宮に来ていて、学薬の役員の方が撮ってくれたものでした。
 
彼はゆっくり屈むとその写真を拾いました。
「……君が……君と写っている写真はそれ一枚だ。熊野では全体写真だった
 から、買わなかった。万葉集なら、携帯してることが多いから、
 ここに挟んでいたんだ」
少し困ったような、ぶっきらぼうな表情が、とても照れているようで、
わたしはなんだか嬉しくなってしまいました。
いつから挟まれていたのか、少し気になるけれど---
 


「じゃあ、また挟んでおいて下さいね」
微笑って万葉集を渡そうとして、ふともう一つ何か挟まれていることに
気づきました。
 


薄いピンクの紙?
 


でも見覚えがあるような…。
 
 
その視線に彼も気づいたのか、わたしの手元を見ました。
 
わたしは好奇心のが勝ってしまい、その小さな紙を本から出して見ると………、
それはやっぱり見覚えがあって当然のものでした。
 
 


それはカード。
 


以前、彼に送ったバレンタインのチョコレートに付けた、
何と言うか、味気ない文面の。
 
 
 
素直じゃなかった頃の自分が、たちまち思い出されて、どぎまぎして
ふと視線をタタルさんに移すと、何と彼は真っ赤になっていました。
 




こんな表情、初めて見た。
 
 



「……奈々」
彼は、いかにも振り絞ったとおぼしき声で、話し始めました。
 
「それは……やはり無くさないようにと思って…、
 その、禁煙を決意した時…」
「禁煙?」
 
禁煙と万葉集とバレンタインのカードに、どんな因果関係があるのか、
さっぱり解らなかったわたしは、無意識で聞き返していました。
ところが、さらに意外なことに彼はしまったと言う顔で、
こちらを見ています。まだ耳は赤くなってる…。
 
 
 
「煙草は味蕾の機能が著しく落ちるだろう?その……君がせっかく
 手作りのチョコレートをくれたのに、味も解らずに食べるのは
 失礼だと思って…」
「禁煙したんですか?!」
 

びっくり。
と言うことは…………。
 
 
「禁煙の決意を曲げない為に、挟んでおいたんだ。だから……」
「いつも持ってて下さったんですね」
 


多分この時、わたしは思い切りな笑顔だったかも。
 


だって嬉しくないはずない。
 
そして一つ気づいたことがあったので、言いました。
「わたしの……わたしの宝物も見せますね」
 

すぐ八畳に行くと、化粧台の上の、ピアスが入れてある
ジュエリーボックスを開けました。
そこには………彼と再会した後貰った、一通の手紙。
 
 
彼に手渡すと、少し驚いた表情で封筒から、手紙を出しました。
「これは……確か百人一首の」
「ええ、あの事件の後タタルさんから、頂いた手紙です」
 
わたしは思わず俯きました。
だって赤くなってるのは、間違いない。
 
 
彼は手紙をわたしに返すと、わたしの前髪をくしゃりとやり、
そっと…………やさしく額に口唇をつけました。
 
 
「お茶にしよう」
 
 
さっさと部屋から出ていく後ろ姿は、気のせいかもしれないけど、
とても嬉しそうに見えました。






※Bejouは宝石、の意味。
 同名のカクテルがあります。(奈々ちゃんの好きなシャルトリューズ
 が入る♪)

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次女妊娠中にQEDにはまりました。
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