タタ奈々と空稲で二次してます。
どちらのジャンルも原作設定をメインとしております。
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小説は本職では全くないので、読みづらい文章でお送りしていて
申し訳ありません。
これは漫画無理!と思った時や、絵にしても地味すぎるとき
時間ないときなどに(笑)小説にしています。
一度熊さんとタタルさんの、男同士の会話を書きたいと
思ってきました。
ただ、沙織ちゃんの結婚が思いのほか早かったために
消えたネタもいくつか…。
ちと熊さんと沙織ちゃん周辺は、メインで描くのは辛そうです。
タタ奈々に絡めて出せたらなぁと思っています。
OLD PAL~沙織くんの結婚式~
4月半ば。
今日は彼女の妹の結婚式だ。
特に未来の義妹だから、出席するわけではない。
彼女を通して、彼女の妹はいつも大学時代の友人--小松崎も含めて、
四人で旅行にも出かける間柄だったから、花嫁から直接招待状を
手渡され、出席することになったのだ。
ガーデンパーティー式の、いい結婚式だった。
花婿は花嫁に比べてずいぶんおとなしい感じではあったが、
あの元気な花嫁には丁度いいかもしれない。
今日はさすがに、彼女は忙しく、話しかけるのも躊躇われたから、
長年の友人に声をかけた。
「熊つ崎、良かったら飲み直さないか?」
「悪くないな。なんだ、表参道まで出るのか?」
「いや、高田馬場…百人町に行こう。いいバーをみつけたんだ」
「フン、わかった」
今日一日、健気にくしゃみもせずに、笑顔だった友人はやや、
淋しげな表情で俯いた。
結婚式場は新宿御苑にある。歩いて新宿駅まで出て高田馬場から
そのバーまで歩いた。
細い路地を山手線の線路沿いに進むと、急に視界が開ける。
大きな高層マンションが並び、その先には丸いドーム状の建物が見えてきた。
マンションの玄関から一段下がった、半地下の部分にそのバーはあった。
ここまで男二人、もくもくと歩き続けたが、普段なら友人はあれこれと
世間話もする。
しかし、さすがに今日はそんな気持ちにはなれないのだろう。
こちらも余計な言葉をかける気にもならず、そのままバーの扉を
開けることになった。
「お前、よくこんな所まで知ってるな」
呆れたような声で言った。
「薬局の客に一度連れて来られた。イギリスにつてのあるバーだから、
スコッチの品揃えがいい。あと珍しいリキュールもあるかな。近くのドーム、
あれは劇場なんだが、シェイクスピアの芝居ばかりかかる劇場で、
ここも芝居の演目にちなんだカクテルを置いてる。
一度奈々を連れて来たら、喜んでいた」
「………へえ~、なるほど」
と、急にこちらを見てニヤニヤしだす。
「やっとそういう間柄になったんだな。まあ、まだぐずぐずするようなら、
今夜は説教しようか考えてたところだ」
二人でカウンターに並ぶ。
店にはカップル一組だけだ。
「………伊勢では世話になった」
呼び方でバレたことに思い至ったが、もうそんなことに拘りはなかった。
「まったくだ。旅に出るたび巻き込まれるのは、勘弁してくれ。助けに行く
のも、もう野暮だからな」
自分はいつも通りギムレットを、友人はバーボンをロックで注文する。
「一つ聞いていいか?」
珍しく低い声のトーンで、前を見つめたまま、彼は言った。
「いつ…気づいた?自分の気持ちに」
彼にしてみれば、不思議だったのだろう。伊勢にいる間も自分にそんな
素振りはなかったのだから。
次々と変化した、最近の身の回りの小さな出来事を振り返ると、こういう答えが出た。
「伊勢で………あの洞窟に閉じ込められた時に、彼女が扉を開けて
飛び込んで来たんだ。----それを抱きとめた時に、
もう手離せないだろうと思った。好きとかそういうことを考える前に」
「成程な。危険な目にあって気づいたって訳だ。お前ら、やっぱり理系だな。
感覚で物事捉えるのは、二人して苦手な訳か」
小さく笑って、来たばかりのロックグラスに口をつける。
「お前はこれで良かったのか?」
これが今日の本題だった。
この熊のような男は、実に正直だったから、この先自分を偽って行くことには、
まず自分自身が納得しないだろう。
今日を迎えたことに、彼はどんな決着を付けたのだろう?
「まあ……失恋には慣れてるからなぁ。どちらにしても、お互いそんな気持ちの
付き合いではなかった訳だし…。
目の前から去ってみて、気づくのはこれが初めてじゃないからな。
……まあ、世の中、縁だろ。こればかりはなかったものは、悔やんでも仕方ない」
職業がジャーナリストだけあって、自身の感情を言葉にするのは、
下手ではないようだった。
偽りない、気負いのない彼自身の今の心境だろう。
「いずれ、また何かの縁が巡って来た時、逃さなければいい」
こんなことしか言えないが、ギムレットを空けるとそう伝えた。
友人は少し驚いた顔で、こちらを見た。
「まさかお前に慰めの言葉をかけられるとはな。逆になった可能性
だってあった訳だろうに」
と笑う。
「………ばか言うな。その確率は低かった」
「お、ちょっとこそばゆいぞ。鼻がムズムズする。……ずいぶん自信が
なかったんだな」
「………そんなもの、昔から持ち合わせてなかったさ」
バーテンダーがこちらを向いた時に、ギムレットのお代わりを頼む。
「ずいぶん時間が経ったんだな。あの大学の学食から、数えると」
ため息をつく。
「お前はずいぶんお節介だったな。弓削の事件にも自ら首を突っ込んでた」
「放っておけないたちでな。それで良かったことも多いから、損な性分て訳でもない」
「確かにそんなことでもなければ、こうして今日飲むこともなかったな」
「まあ、そうだ」
そう言って、ぐいっと残りのバーボンを空けた。
「もう一つ同じの……」
「待て。一杯奢らせてくれ」
「あ?」
「心配するな、一応ウイスキーベースだ」
「オールド・パルを」
※OLD PALは古い友人の意味。
ライウィスキーベースだそうでカンパリが入ってるから、熊さんには
少々甘目かもしれない。
色合いとほろ苦さがノスタルジックな感じで、この名前があるようです。
意外と長続きな友情を祝して書いてみました。
しかしこの二人がこんな会話、するかな~^^;
申し訳ありません。
これは漫画無理!と思った時や、絵にしても地味すぎるとき
時間ないときなどに(笑)小説にしています。
一度熊さんとタタルさんの、男同士の会話を書きたいと
思ってきました。
ただ、沙織ちゃんの結婚が思いのほか早かったために
消えたネタもいくつか…。
ちと熊さんと沙織ちゃん周辺は、メインで描くのは辛そうです。
タタ奈々に絡めて出せたらなぁと思っています。
OLD PAL~沙織くんの結婚式~
4月半ば。
今日は彼女の妹の結婚式だ。
特に未来の義妹だから、出席するわけではない。
彼女を通して、彼女の妹はいつも大学時代の友人--小松崎も含めて、
四人で旅行にも出かける間柄だったから、花嫁から直接招待状を
手渡され、出席することになったのだ。
ガーデンパーティー式の、いい結婚式だった。
花婿は花嫁に比べてずいぶんおとなしい感じではあったが、
あの元気な花嫁には丁度いいかもしれない。
今日はさすがに、彼女は忙しく、話しかけるのも躊躇われたから、
長年の友人に声をかけた。
「熊つ崎、良かったら飲み直さないか?」
「悪くないな。なんだ、表参道まで出るのか?」
「いや、高田馬場…百人町に行こう。いいバーをみつけたんだ」
「フン、わかった」
今日一日、健気にくしゃみもせずに、笑顔だった友人はやや、
淋しげな表情で俯いた。
結婚式場は新宿御苑にある。歩いて新宿駅まで出て高田馬場から
そのバーまで歩いた。
細い路地を山手線の線路沿いに進むと、急に視界が開ける。
大きな高層マンションが並び、その先には丸いドーム状の建物が見えてきた。
マンションの玄関から一段下がった、半地下の部分にそのバーはあった。
ここまで男二人、もくもくと歩き続けたが、普段なら友人はあれこれと
世間話もする。
しかし、さすがに今日はそんな気持ちにはなれないのだろう。
こちらも余計な言葉をかける気にもならず、そのままバーの扉を
開けることになった。
「お前、よくこんな所まで知ってるな」
呆れたような声で言った。
「薬局の客に一度連れて来られた。イギリスにつてのあるバーだから、
スコッチの品揃えがいい。あと珍しいリキュールもあるかな。近くのドーム、
あれは劇場なんだが、シェイクスピアの芝居ばかりかかる劇場で、
ここも芝居の演目にちなんだカクテルを置いてる。
一度奈々を連れて来たら、喜んでいた」
「………へえ~、なるほど」
と、急にこちらを見てニヤニヤしだす。
「やっとそういう間柄になったんだな。まあ、まだぐずぐずするようなら、
今夜は説教しようか考えてたところだ」
二人でカウンターに並ぶ。
店にはカップル一組だけだ。
「………伊勢では世話になった」
呼び方でバレたことに思い至ったが、もうそんなことに拘りはなかった。
「まったくだ。旅に出るたび巻き込まれるのは、勘弁してくれ。助けに行く
のも、もう野暮だからな」
自分はいつも通りギムレットを、友人はバーボンをロックで注文する。
「一つ聞いていいか?」
珍しく低い声のトーンで、前を見つめたまま、彼は言った。
「いつ…気づいた?自分の気持ちに」
彼にしてみれば、不思議だったのだろう。伊勢にいる間も自分にそんな
素振りはなかったのだから。
次々と変化した、最近の身の回りの小さな出来事を振り返ると、こういう答えが出た。
「伊勢で………あの洞窟に閉じ込められた時に、彼女が扉を開けて
飛び込んで来たんだ。----それを抱きとめた時に、
もう手離せないだろうと思った。好きとかそういうことを考える前に」
「成程な。危険な目にあって気づいたって訳だ。お前ら、やっぱり理系だな。
感覚で物事捉えるのは、二人して苦手な訳か」
小さく笑って、来たばかりのロックグラスに口をつける。
「お前はこれで良かったのか?」
これが今日の本題だった。
この熊のような男は、実に正直だったから、この先自分を偽って行くことには、
まず自分自身が納得しないだろう。
今日を迎えたことに、彼はどんな決着を付けたのだろう?
「まあ……失恋には慣れてるからなぁ。どちらにしても、お互いそんな気持ちの
付き合いではなかった訳だし…。
目の前から去ってみて、気づくのはこれが初めてじゃないからな。
……まあ、世の中、縁だろ。こればかりはなかったものは、悔やんでも仕方ない」
職業がジャーナリストだけあって、自身の感情を言葉にするのは、
下手ではないようだった。
偽りない、気負いのない彼自身の今の心境だろう。
「いずれ、また何かの縁が巡って来た時、逃さなければいい」
こんなことしか言えないが、ギムレットを空けるとそう伝えた。
友人は少し驚いた顔で、こちらを見た。
「まさかお前に慰めの言葉をかけられるとはな。逆になった可能性
だってあった訳だろうに」
と笑う。
「………ばか言うな。その確率は低かった」
「お、ちょっとこそばゆいぞ。鼻がムズムズする。……ずいぶん自信が
なかったんだな」
「………そんなもの、昔から持ち合わせてなかったさ」
バーテンダーがこちらを向いた時に、ギムレットのお代わりを頼む。
「ずいぶん時間が経ったんだな。あの大学の学食から、数えると」
ため息をつく。
「お前はずいぶんお節介だったな。弓削の事件にも自ら首を突っ込んでた」
「放っておけないたちでな。それで良かったことも多いから、損な性分て訳でもない」
「確かにそんなことでもなければ、こうして今日飲むこともなかったな」
「まあ、そうだ」
そう言って、ぐいっと残りのバーボンを空けた。
「もう一つ同じの……」
「待て。一杯奢らせてくれ」
「あ?」
「心配するな、一応ウイスキーベースだ」
「オールド・パルを」
※OLD PALは古い友人の意味。
ライウィスキーベースだそうでカンパリが入ってるから、熊さんには
少々甘目かもしれない。
色合いとほろ苦さがノスタルジックな感じで、この名前があるようです。
意外と長続きな友情を祝して書いてみました。
しかしこの二人がこんな会話、するかな~^^;
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非公開
職業:
主婦
趣味:
読書・お絵かき・料理
自己紹介:
次女妊娠中にQEDにはまりました。
当然ですが、原作者および版権元様とは
一切関係がありません。
閲覧に関しては、個人で責任を負ってください。
著作権も一応手放してはいないので、
ご利用の際はご一報下さい。
……なんじゃ!このネタ!?と
思ったら、目をつむって十数えてなかったことに
して欲しいです^^;
当然ですが、原作者および版権元様とは
一切関係がありません。
閲覧に関しては、個人で責任を負ってください。
著作権も一応手放してはいないので、
ご利用の際はご一報下さい。
……なんじゃ!このネタ!?と
思ったら、目をつむって十数えてなかったことに
して欲しいです^^;
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