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お話読めばわかりますが、実はクリスマス漫画のオマケに書いたssです。
ま~『あの』タタルさんが、クリスマスプレゼントにジュエリーとか
マジありえない!!!と断言出来るので、いいアイディアが浮かばなかった
私の敗北宣言?とも言えるのですが(^_^;)
ちらちら、奈々ちゃん妊娠ネタを出してます。
今年出るらしきfullmenが一体どの時間軸あたりを舞台にするのか解らないので、
ダイレクト赤ちゃんネタは今ちと避けてます。
でも、新刊に子供いたらそれはそれでステキ←妄想
◆◆◆
気が付いたら眠っていたようでした。
目を覚ますとかなり間近に横になって、本を読む彼が。
妊娠してから、匂いに敏感になり果物の美味しい不味いも、
匂いだけで解る程。
毎日変わる体の変化にも慣れてきて、あと二ヶ月後には産み月、
と言う頃でした。
最近、彼もそれでいい、と言うのであまり手のかからない料理ばかりしてきた
のですが、今日はクリスマスイブだったこともあり、彼の好みそうな料理や、
ケーキなども焼いたりして、少し疲れたのでしょう。
横になった途端眠ってしまったのだけれど、多分隣に来た彼の匂いに気付いて、
わたしは目覚めたようでした。
「タタルさん…?」
わたしの声に彼は読んでいた文庫本をベッド脇のテーブルに置くと、
こちらを向きました。
「…『今夜』のうちに目が覚めて良かった」
彼の真っ直ぐだけど少々無愛想な、でもいつもわたしを見つめる眼差しが、
こちらを見ています。
ベッドサイドの灯りのせいか、瞳の色がいつもより明るく見えました。
「…触れてもいいかな」
彼の低い声が耳をくすぐります。
さっきまで早めの速度で本のページを捲っていた、すんなりとした指が、
わたしの前髪にそっと延びて来ました。
「もう二ヶ月は君に触れてなかったから…君と来たら、
まるで甘えることもしないから、俺としては少し不安になる」
「…不安?」
思ってもみないような不服を言われて、少々驚きました。
「君はいつも一人でこなしてしまうから…少しは、と思うんだが、
多分君にはその方が楽なんだろう。
それで…俺としては色々我慢したご褒美に今年もプレゼントを
貰おうかなと思って」
「…プレゼント?」
「そう」
彼はくるりと背を向けて、サイドテーブルの引き出しを探っています。
それにしても。
一体何をそんなに我慢していたのでしょうか?
彼が日常、二人の生活の中で見せる表情は、そんなに変化の大きなものではなく、
いつもの淡々とした彼でした。
わたしには彼の心の底に横たわる感情は、
まるで彼が常々追いかけている歴史の上での深秘のようなもので、全く予測不能です。
それでも――彼と共にいる安心感は代えがたいものなのですが。
ふと彼を見ると、小さな包みを開けて、横たわるわたしの足許で
何やらつけようとしています。
「あの…タタルさん?」
わたしは起き上がりました。
お腹が大きくて見えませんが…もしかして。
「アンクレット?」
「これからプレゼントを貰うから…」
そう言うと彼はそっと付けたアンクレットの上から、
わたしの足首に口唇で触れました。
「…………っ」
そう言えば最近では、彼とキスすることも減っていたかも。
そう思った途端、自分でも驚く程、心臓が跳ね上がりました。
頬が熱くなります。
「多分君からだと見えにくいだろうけど…君の誕生日の七夕にちなんで、
星形なんだ。ネックレスもあるから、後で見てくれ」
「…タタルさんが買ったんですか?」
踝(くるぶし)や足首に受けるこそばゆい感触に耐えながら、わたしは聞きました。
だって彼が一人でアクセサリーショップに行くなんて、考えられない。
「全く…携帯なんて余計な柵(しがらみ)を作るためにあるようなものだ。
婚約指輪を買った店から、ダイレクトメールが毎日来るもんだから…」
「…それでこれを?」
「つい想像したからね」
ふと彼の口唇がふくらはぎにするりと移動して、
その感触にぞくりと肩を縮めました。
「……無理はさせないから」
聞き取りにくいような小さな声でした。
背後から横たわってわたしを抱き締めている彼に、
わたしは久しぶりに陶然となったまま寄りかかっていました。
鼓動は早まったまま。
それでも首筋にかかる彼の呼吸(いき)の熱さや、腕の温もり、
優しい匂いに静かな安心感を覚えます。
先程お腹の中で、小さくトンと弾む感触がしたのですが、
今はまるで静かです。
じっとお腹の中で耳を傾けているように。
「苦しくないか?」
「…大丈夫です」
何だか気恥ずかしくて、わたしの応える声も小さくかすれていました。
「もうすぐなんだな」
「え…?」
彼の手がお腹の上におかれています。
「益々君に触れる時間が少なくなりそうだが―――まあ、それでも」
彼が柔らかく耳朶を噛みました。思わず瞼を閉じてしまいます。
「期待しないと言うことではないし、初めてのことばかりで
あれこれ戸惑うんだろうが――」
前に回された腕が少し強くわたしを抱き締め、彼の口唇の熱を感じて、
早まる鼓動が苦しく感じました。
「…ありがとう。多分、来年もう一度言うことになるだろうが」
「あ…」
じっと耳をすましてるような様子だったのに、
急にコトコトとお腹の中で動き回る感触がします。
「元気だな。明日の健診も問題なさそうだ」
「…ええ」
「明日はマフラーをして行った方がいい」
「今年はホワイトクリスマスですね。でも明日は朝から
晴れるみたいですよ」
「………寒いからじゃなくて」
ふと彼がまた首筋にそっと口唇を寄せました。
「……………あ」
「つい、久しぶりだったから、雪に跡を付けたくなった」
彼の頬がわたしの頬に触れました。
頸を僅かにすくめて、ふと窓を見ると先程さかんに降っていた雪は止んでいました。
静かな夜です。
「……どうした?」
「明日の健診、実は少し緊張してたんです。あと二ヶ月だなって考えたら、
どきどきしちゃって」
わたしはお腹の上に優しく重ねられた彼の手の上を、
そっとなぞるように触れました。
「なんだかこうしていたら、すとん、と気持ちが抜けちゃいました。
きっと…タタルさんが側にいるから…」
翌朝彼を送り出した後、健診に行く為に鏡の前に立ちました。
「…………」
首筋には紅い、跡。
決して拘束された感じはしないものの、あの後彼はわたしを腕の中から、
離しませんでした。
離さず抱き締めたままで。
何かの証しのようなそれを、そっとスカーフでくるむように隠すと、
わたしは出かける準備を始めました。
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一切関係がありません。
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著作権も一応手放してはいないので、
ご利用の際はご一報下さい。
……なんじゃ!このネタ!?と
思ったら、目をつむって十数えてなかったことに
して欲しいです^^;