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タタ奈々と空稲で二次してます。 どちらのジャンルも原作設定をメインとしております。
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今年はいいタイミング(^_^;)で体調が回復した為、結構お花見三昧でした。
今朝まで実家に戻っていたのですが、あちこちの桜を見ることが出来て
シアワセでした。


そんなお花見から連想して何故かチャイナドレスを描き、
出来上がったSSはハロウィンのネタっつー、相変わらず季節感無視、
世間のイベントに合わせたネタでアップするのは苦手な
森伊蔵ですが、出来ましたので、アップします。


※この作品はフィクションであり、作中に出てくる団体、地名などは
一切事実とは無関係です。←目黒区の…というか薬剤師さんが白衣
以外でお仕事をすることはないと思われます。

ssは続き記事からです。



拍手[12回]




◆◆◆

『目黒区薬剤師会 仮装イベントのお知らせ』


こんなFAXが奈々の勤めるホワイト薬局に入って来たのは、
昨日のことだった。
とかくドクターの影に隠れ、目立ちにくい薬剤師と言う職業に理解?
と親しみを持って貰う為に、今年のハロウィンは各薬局でテーマを決め、
そのテーマに沿った仮装をしようと言うことになったのだ。
「薬剤師の白衣には衛生上、意味があると僕は思うが」
FAXを眺めながら、外嶋はやや眉をしかめた。
「昨日の会合でくじ引きをして来た結果、我がホワイト薬局では
 『中国』をテーマに仮装をすることになった。それで、渡された衣装はこれだ」
「チャイナドレスですか」
思ったより普通の衣装で良かった、と奈々は思わずホッと息をついた。
もう一人の事務スタッフ、相原美緒は机に置かれたチャイナドレスを早速広げる。
「これ…随分スリットが深いデザインですね~」
「ウチは若い女性が二人だからな。他の薬局は自分たちで衣装を
 決められるらしいのだが、ウチはくじ引きでテーマが決まった途端、
 衣装を押し付けられた」
「それってホントにくじ引きだったんですか?」
外嶋と美緒の会話から離れた所で、自分用の桃色のチャイナドレスを
広げながら、奈々はちょっと頬を赤らめた。
…確かに腰から下のスリット部分が、随分大胆なデザインだ。
「タタルさんには見せられないなあ」
同じ目黒区だから、崇の勤める萬治漢方も仮装をするはずだ。
彼は一体どんな格好をするのだろう?ふと考えて、
自分の身に降りかかる災い(?)を棚上げして、楽しくなってしまう奈々だった。



その日の夕食。
奈々はさりげなく崇に聞いて見ることにした。
「仮装大会?」
「ええ、萬治漢方さんはどんなテーマなんですか?」
「…何も聞かされてないが、そう言えば今日皆何やら話し合っていたな」
自分には関係ないとばかりに話を聞いてなかったか、
初めから聞いてはくれないだろうと予測した店員たちが、
敢えて崇抜きで進行しているのだろう。
「目黒区の薬剤師会で行うイベントだそうですよ。
 ハロウィンにちなんで、皆さん仮装するとかで」
「ふうん。そもそもハロウィンはケルトの死者の祭が由来だからな。
 日本で言えばお盆のようなものだ。病気を治す為に来店する人たちに
 相応しいかどうか」
茶碗の中の元々子供用かと思う位、少なく盛り付けられたご飯を崇は
箸で摘まんだ。
「そうなんですか?」
「君の所は何がテーマなんだ?」
「『中国』だそうですよ。外嶋さんは陰謀だ!なんて仰ってましたけど」
「何を着るんだい?」
興味のなさそうな話題なのに、珍しく崇がじっと見つめていたので、
奈々はどきどきしながら答えた。
「え…あ、あのー、そう!パンダ!パンダの着ぐるみなんです」
奈々は咄嗟に真実を話すのはまずいような気がして、
外嶋が当日着る予定になっていた衣装を答えた。
あのあと美緒に散々からかわれた外嶋は、すっかり機嫌が
悪くなってしまったのだが。
「それは大変だな」
崇は何故か安心したように、食事に視線を戻した。



ハロウィン当日。
今日は朝から大変なことになった。
奈々も外嶋も考える暇などないくらい、調剤室とカウンターを
行ったり来たりしている。
そして何故か昨日の日付の処方箋や、普段ならこの薬局には来ない
遠方の病院の処方箋を持った患者も、かなりいる。
何故か男性の患者ばかりだ。老若問わずに。
昼休みに入るまで、奈々は自分が普段なら絶対着ないだろうし、
自分でも選ばないだろうデザインの衣装で仕事をしていることを、
忘れていた。
(外嶋も視界が狭い為、転ぶことがなければ、
パンダの着ぐるみを忘れていられたかもしれない)



「大丈夫ですか?」
食後のコーヒーを淹れながら、美緒は奈々に尋ねた。
「ええ。どうしたのかしらね。まだインフルエンザの季節には早いし、
 花粉症にはおかしな季節だし」
「今日出した薬は胃薬とか便秘薬とか…せいぜい感冒薬とか。
 軽い薬が多かったですよね」
「薬出さなくても良さそうな症状の人が、大半だった」
着ぐるみのせいで、汗だくなまま外嶋は不服そうに答えた。
「まあ、この大繁盛の原因は解ってはいるがね。
 ――そう言えば君の夫は何も言っていないのかね?
 萬治漢方はテーマはなんだったのかな。
 『中国』なんて本来漢方薬局の方が相応しいテーマだろうに」
夫、と言う言葉にまだ気恥ずかしさを感じながら、奈々は答えた。
「聞いてないんです。タタルさん、興味がないみたいで」
「フン、いかにも桑原らしいな。自分だけ別次元か」
束の間の昼休みが終わりに近付いたことに気づき、
外嶋は立ち上がり、パンダの頭を持ち上げた。
「まあ、今日一日のことだ。甚だ不本意だが耐えるしかない」
奈々も美緒も、午後の業務の準備に取り掛かった。



ところが。
午後は一時間経っても、人一人薬局を訪れる患者はいなかった。
そこで一息つけたものの、あまりの落差をおかしく感じた美緒が、
外へ出た所、慌てて戻って来て言うには――
「薬局の少し前で、怪しい黒魔術信者の人が、患者さんに呪いをかけてます!」
「まあ!」
一体何で今日は普段起こらないような事が次々と起こるのだろうと、
奈々は訝しく思ったが(それは明らかにこの仮装イベントのせいなのだが)、
奈々も表に出てみることにした。
すると―――
確かに怪しげなフード付き黒マントの男が、処方箋らしきものを持った人たちに、
何やらブツブツお説教をしている。
「あなたは一白水星なら、今日はこの薬局は方角が最悪な位悪い。
 多分君のご先祖の時代からの因縁で…」
「タタルさん!」
近寄りがたいオーラを放った後ろ姿を、流石は妻と言うべきか、
奈々には崇だとすぐ解った。
振り向いた崇は、薬局から飛び出して来た奈々の姿に一瞬目を奪われ、
次の瞬間蒼くなり、直ぐ様自分の黒マントを脱ぎ、
奈々をそのマントでくるみ、ホワイト薬局に飛び込んだ。
「桑原、登場が随分遅かったじゃないか。それに…なんの仮装だね、
 それは。萬治漢方のテーマはなんだったんだ」
「……ゴシックホラー」
外嶋の皮肉げな問いかけに答える崇の聞き取り難いような呟きを、
美緒は逃さず聞いて、
「ああ、桑原さんは吸血鬼の仮装なんですね。
 血色良くないからいかにもお似合いですよね」
と言った。
あからさまなオールバックなのだが、いつもの十倍は髪型が整っている為、
奈々は思わず見とれてしまった。
格好もブラムストーカーの小説を意識したものなのか、
十九世紀のロンドンあたりをイメージした黒いスーツに、
レースのスカーフを首に巻いている。
崇のこんなに整った姿を見るのは、結婚式以来だろう。
「この髪型にする為に、沙織くんから結婚式の時に使った
 美容院を聞き出したウチの店員に、力ずくで拘束されて、
 午前中いっぱい動けなかった。ホワイト薬局が朝から大変な
 混み具合だと聞いて、慌てて来たんだ。遅くなって悪かった」
萬治漢方の本日の業務がどうなっているのか、
突っ込むものは一人もいなかったが、後で奈々が聞かされた話では、
ただでさえも不気味な熊の手やら蜂の巣が並んだ店内の照明を消し、
何処から借りてきたのか金の燭台に立てられた蝋燭の灯りだけで、
業務を行っているらしい。
それ故あまりの怪しさに客が寄り付かず、朝から仕事のない状態だった。
ただご主人は自身かなり力を入れたミイラ男の仮装が痛くお気に入りで、
あまり今日の儲けは気になっていないようだ。
だから崇が仕事を放り出していても、気付いていない。


崇は大きく溜め息をついた。
気付くと奈々はまだじいっと崇を見つめている。
「何?」
「あの…お願いがあります」
奈々は思い切って、話し始めた。
「……」
「今日一日で良いのでそのままの姿でいてくれませんか?」
「……それは構わないが――そう言うことなら、
 こちらからも一つ頼みがあるのだが」
「はい?」
「その衣装は今後一切、外では着用しないで、家に持ち帰って欲しい」
ああ、タタルさんはやっぱり気に入らなかったんだなと、奈々は思い、
「わかりました」
と頷いた。



その後目黒区薬剤師会では、二度とこのイベントが行われることはなかった。
患者からは賛否両論あり、次回開催を望む声は内外からあったのだが、
予想以上に通常業務が滞ることが、考慮されたらしい。



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森伊蔵
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非公開
職業:
主婦
趣味:
読書・お絵かき・料理
自己紹介:
次女妊娠中にQEDにはまりました。
当然ですが、原作者および版権元様とは
一切関係がありません。
閲覧に関しては、個人で責任を負ってください。
著作権も一応手放してはいないので、
ご利用の際はご一報下さい。

……なんじゃ!このネタ!?と
思ったら、目をつむって十数えてなかったことに
して欲しいです^^;
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