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タタ奈々と空稲で二次してます。 どちらのジャンルも原作設定をメインとしております。
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やっと韓国行の準備も終わり、あとは明日出発するのみとなりました。
もしかしたらブログの更新くらいはぽつぽつとするかもしれません。


さて、あれこれお話を考えては、中途で止まってることが多かった
ここ最近なのですが、昨夜急にポンポンと思いつくことがあって
西田君のお話よりこちらが先になりました。
西田君の話も、やっと出てくる薬草?が決まったので
なんとかお話になりそうです。
終わる時はいっきに終わるのは、いつも不思議に思います(^_^;)

今回は久しぶりに外嶋さんシリーズ。


伊勢のラストに一番ホッとしたのは、外嶋さんかもしれません。

小説は続き記事からです。

拍手[6回]



◆◆◆






先月までは花粉症やインフルエンザの流行の名残で
何かと忙しかった我が薬局も、6月が近付く頃になると、
来客数はかなり減って落ち着いてくる。

そしてこの季節になると少し暇になる余禄とも言うべきか、
毎年やって来る今では恒例行事と化した感のある、
ある『事』が近年自分を悩ませていた。



しかも今年のそれは特大級だった。

「確かに少し変わってはいるのだけれどもね」
今年はたまたま三月に亡父の法事があり直接会う機会もあった為、
久しぶりと言う程ではなかったが、
こうして電話などかけてくることの滅多にない従姉の声は弾んでいた。
「会ってみたら、なかなかいい青年で。しかもそろそろ三十になるけど、
 まだお付き合いしてる女性(ひと)はいないようよ。
 一郎さんの所の彼女とは、二歳と離れてないんじゃないかしら」
「………一つ年下だ」
従姉はそんなにお節介な質ではない。ただ我が一族の習い性として、
一つ思いついて集中すると離れられなくなる。
従姉の話では、先日仕事で関わった医療誌の編集者から紹介された青年が、
たまたま彼女のかなり古い知り合いだった医師の息子だったらしい。
奇縁とも言うべきで、その古い知り合いの医師
――――毒物に非常に詳しいと言うその医師のことは、
以前やはりある事で従姉に協力した時に名前だけは聞いていたから、
知らない相手ではなかった。

従姉は目下その青年と、僕の薬局の薬剤師とを、
お見合いさせようと言う計画に夢中のようだった。
「法事の時に話を聞いて、ずいぶん変わったお嬢さんだと思ったのよ。
 でもね、先日御名形くんに会った時にね、なんだかピンときてしまって。
 彼も変わっていると言うことでは、特別なのだけど、何分頭は切れるし、
 意外と面倒見のいいところもあってね。二月にマンションの隣人を
 特定の難しい毒物から助けたりしているのよ」
「………毒草師だっけ?その青年の職業は」
「ええ、自分が創始者だろうって」


毒草師………なんか以前に誰かからの話の中で聞かなかったか。
そう、確か熊野の話だ。
「名前は?」
「史紋よ。御名形史紋。御名形クリス先生の息子さん」
「………ああ」

思い出した。
それは今俎上に載せられている女性、うちのベテラン薬剤師の奈々くんから
聞いた名前だった。
確か学薬の旅行で熊野に行った時に知り合い、
偶然にも中目黒駅で再会したとか言ってなかったか。



奈々くんとの付き合いはもう6年になる。
確かに僕は勤務中の彼女しか知らない。
だがそうして毎日顔を合わせて来た中で解ったのは、
普段何かと受け身で周りに流されているように見える彼女が、
この件―――僕の長年の知人で一応大学の後輩に当たる桑原のことだけは、
どうも融通が利かないらしい。

本人どれくらい意識があるのか解らないが、
片想いを続けて学生時代も計算に入れたら、かれこれ11年になるところだ。
もう一人の社員、僕の親戚に当たる事務アシスタントの相原くんなら、
これだけの年数があれば10回は失恋している筈。
そんな奈々くんに一体どうやって、『他の話』など勧めたものだろう。


―――しかし、だ。
今回の相手、『毒草師』とか言う奇妙な職業の青年は、
奈々くん自身から話を聞き…珍しくその青年には関心があるようだった。




溜め息が出た。
「あら、ずいぶんお疲れなんですね」
苦蓬薬局に勤める、僕とは同期にあたる薬剤師の鈴木女史が声をかけてくる。
今日は目黒区薬剤師会の勉強会だ。久しぶりに僕が自身で参加した。
そう言えば彼女も頻繁に見合い話を持って来ていた時期があった。
奈々くんは年上の受けが良く、彼女を見ると年輩の方々は
どうもそう言う世話を焼きたくなるらしい。
しかし彼女も参加した熊野への学薬旅行で何かを悟ったらしく、
以降その手の話を持って来ることはなかった。

「それならば今日はさっさと、棚旗さんに譲ってしまえば良かったのに」
何だか恐ろしいことを言う。
「奈々くんは今日は珍しく用事が入っていてね」
「まあ、そう。間が悪いわねえ。今日は―――珍しく桑原さんが来てるのよ」

――――!

その言葉に会場を見回すと………いた!
あの人より頭一つ出たボサボサ頭は、間違いなく桑原だ。
あれに今まで気づかなかったとは、僕も余程疲れていたらしい。
いや、悩んでいたと言うべきか。
「さっき聞いてみたら、ゴールデンウィークに休んだ分、
 勉強会を押し付けられたとか」
そう。確かに桑原と奈々くんはゴールデンウィークの合間に休暇を取って、
諏訪に行っていた。
奴は勉強会と引き替えだったのだな。
…………。



「外嶋さん、お久しぶりです」
勉強会が終わると桑原がこちらへやって来た。相変わらず無愛想だ。
思わず見上げる。
今頭を痛めているのは、間違いなくこの男のせいだからだ。
何か聞きたいことがあるような気がした。
沢山あるような気もする。
しかし、聞いてはいけないとも、思う。
僕と彼の付き合いを思えば、あまり口出ししたい話題じゃない。
だが―――このままでいいのか?
間違いなくお前自身の問題なんだぞ。

こちらの複雑な表情を読んだのだろう。
隣の空いた席に腰掛けると、話し掛けて来た。
「珍しく貴方が来たんですね。貴方を飲みには誘えないから、
 今日は一人で行くようかな」
「……僕はお邪魔だったようだな。もし奈々くんが来てたら、
 彼女と飲みに行くつもりだった訳だ」
「………何かあったんですか?」
「別に。………桑原、例えば、だぞ。彼女が今日別の相手と、
 飲みに行っていたら、どうする?」
突然の質問にか、それとも多分思いの外のシリアスな声音に驚いたのか、
彼はきょとんとした表情で、僕を見た。
「―――それは、彼女にだって他に友人はいるでしょうし」
呟くように言う。
今日何度めだろう。溜め息が―――出た。
奈々くんも融通が利かないが、この男もこう言った部分では全く融通が利かない。
何かが動き出すまで、この問題は平行線を辿るのかもしれない。
だがそれを動かす役まで、僕がするのは遠慮したいところだし
――――もし、おかしな方向に動いてしまったら、
果たしてこの男を受け止められる人間なんかいるんだろうか?
「まあ、いい。今夜はこれで帰らせて貰おう。お前も親睦会は不参加なんだろう?」
立ち上がって荷物を纏めた。
もう、なるようになれ、だ。
こちらの思惑が解らない桑原は少しは頭を捻ったかもしれないが、
元々他人に無関心なこの男は気にも止めなかっただろう。






「よいこら、しょっと」
上に積み上げれば、確実に1mにはなる写真の山を見て、
親戚の娘、相原美緒が驚いた声を上げる。
「先週でやっと、肩の荷が降りた」
「……もしかして、それが噂の奈々さんに来ていたと言う、
 見合い話の相手の写真ですか?!」
「ああ、晴れて結婚式が終わったからな。新婚旅行中に、始末しておこうかと」
「す、すごい数ですね」
「八年分だからね。一年に十件以上は来ていた。特にここ四、五年は多かったから」
「全部外嶋さんが断ってたんですよね」
「全部受けてた所で、最終的には何の実も結ばない話だからな」
「………確かに」
栗色がかった髪を揺らして、親戚の娘は頷く。
「しかし薬剤師同士の付き合いもあって、無下には出来なかった」
「当然奈々さんは知らないんですよね?桑原さんは?」
「話した。今頃、己れの幸せを噛みしめてるだろうさ」
「……成程」
明日から六月になる晴天の日。
一つ秘密と言うか重荷と言うか、何かが消えた気がして、スッキリした。




※このお話を書く為、今朝急に史紋さんがいつ東京に出て来たかを
計算しました。
史紋さんが引っ越してきたのが平成9年の年末と解り、
毒草師の1巻のお話は十年の一月、二月。
この年のGWにタタ奈々は諏訪に行って鴨志田兄と会う。
なかなかにぎやかな一年なんだな~と思います。
これにカンナの年表も合わせると。特にこの次の年は
結構忙しいリンク具合(^_^;)
毒草師の二冊目はまだ確認してないのですが、多分この次の年だと
思われます。次の毒草師新刊も、どうやら伊勢より先には行かなそうなので
2000年より先に進んでいるのは『出雲大遷宮』だけでしょうか?
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次女妊娠中にQEDにはまりました。
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……なんじゃ!このネタ!?と
思ったら、目をつむって十数えてなかったことに
して欲しいです^^;
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