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タタ奈々と空稲で二次してます。 どちらのジャンルも原作設定をメインとしております。
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奈々ちゃんお誕生日おめでとうSSを、ちょっと明日、あさってはチャット会の
準備やらなにやらで忙しいと思うので、先にアップします。

昨日次女ちゃんが夜泣きしてまして、その間に思いついて書きました。


小説は続き記事からです。

拍手[7回]



五月の下旬に結婚式を終えて、大分落ち着いた七月に
彼が突然『携帯電話を持つ』と言い出しました。



「やっぱりそれは奈々さんの妊娠が原因では?」
「そ、そうかしら」
パソコンに向かいながらわたしに答える美緒ちゃんに、わたしも振り向きました。
先週にわたしの妊娠がわかりました。
まだ五週目で体に何の変化も感じられない状態ですが、
思っていたより彼がわたしを気遣ってくれているような様子があったので
(気のせいかもしれませんが)、やっと今自分の身に起こった事が実感できた程です。
「桑原さんも人の子…じゃなくて、親になるのか。なんか感慨深いような。
 …それで奈々さん、初メールはあったんですか?」
「ううん、まだ。…と言うより使ってもいないかも」
「ありゃりゃ。携帯不携帯って奴ですかね」
「一応、朝ポケットに入れているのは見たのだけど」
思わず肩をすくめます。
「そんなんで、いざと言う時使えるんですか?
 でも…そう言う所は、抜かりない感じもしますね」
美緒ちゃんは相変わらずパソコンのキーを叩いています。
わたしも薬歴簿の記入をしながら、返事をしました。
「昨日の夜、寝る前に説明書を読んでたから、
 きっと解ってはいると思うのだけど」
どんな本でも文章でも、一度目を通せば理解してしまうのは彼の特技でした。
でも携帯はおろか、電話すらあまり使わない彼なのです。
恐らく余程の用事がなければ、使おうとは思わないでしょう。
…わたしからメールしてみようかしら。 何度もそう思ったのですが、
送っても気付いて貰えないのは何だか寂しいものですし、
朝晩顔を合わせているのに、メールを送るのも何だかおかしな気がして、
出来ずにいました。


「奈々くん、そろそろ終わりそうかね?」
わたしの体を労って、外の片付けを引き受けてくれた外嶋さんが、
調剤室に入って来ました。
「あ、はい。あとひとつ記入したら…」
その時、ポケットに入れていた携帯からメールの着信音が。
パソコンの画面に釘付けになっていた美緒ちゃんが、ぱっと顔を上げました。

「な、奈々さん!」
「え?」
「メール、メール!早く見て見て!」
「……きっと他の人よ。ダイレクトメールかもしれないし」
「そんなことない。桑原さんかもしれないでしょっ」
「…………」

わたしはそっと携帯を取り出して、開けました。

『桑原奈々様 誕生日おめでとうございます。
ジュエリーショップ・クレセントムーンより、お知らせが…』

昨年婚約指輪を購入した店からの、ダイレクトメールでした。
――――そう言えば今日は七夕。
わたしの誕生日でもありました。
先週からのわたしの妊娠のことで、自分自身がすっかり忘れていました。
思わず胸のうちでため息をつくと、頭の上でもっとごついため息が。
「あ~桑原さんが人生初に送信した携帯メールを見ると言う、
 レアな瞬間に立ち会えると思ったのに」
美緒ちゃんはわたしよりも、ずっとがっかりしたような表情でした。
思わずクスリと笑うと、いつものように外嶋さんが、美緒ちゃんに
話しはじめました。

「何を言っているんだ、君は。
 今日は七夕だと言うのに雨ではなく、雪が降ったらどうするんだ。
 携帯を所持したことで、すでに奇跡が起きているのだから、
 これくらいで済ませて欲しいものだ」
「いーじゃないですか。雪が降ったら天の川が凍結して、
 織姫も彦星も歩いて渡れるから、ハッピーエンドですよ」
そう言えば以前七夕の起源の話を彼から聞いた時に、
織姫と彦星は予め会えないと言う前提になっている、
若しくは会えないと願われていると聞かされたっけ…。


「それと奈々くんもそれが終わったら、帰っていいから。
 今日は君の誕生日な訳だし、駅で待ってる男に僕も文句を言われたくない」
「そんな…。わたしも今の今まで忘れてましたし、ここ最近色々ありましたから、
 忘れてると思いますよ」
「本当にそう思うか?」

するとまた携帯にメールの着信音。
今度はすぐ手元にあったので、何も考えずに開けてみました。
すると……。




『今日は早めに終わったので、駅前の書店で待っている。
ああ、それと夕食は外で食べて行こう。
君は今飲めないだろうから、以前行った和食の店で良いだろうか?






誕生日おめでとう』





「…………!」

わたしが声も出さずに携帯の画面を見ていると、
美緒ちゃんが振り向きました。
「…………奈々さん、もしかして」
ぱっちりとした目でこちらを見つめる美緒ちゃんにわたしが答える前に、
パンパンと外嶋さんが手を叩きました。
「さあ、今日はもうこれくらいにして帰りなさい。
 このどうしようもない娘には、僕がきちんと七夕の起源でも
 話して教育し直しておくから」
「は、はい。ありがとうございます。美緒ちゃんもありがとう」
わたしは慌てて白衣を脱ぐと、控室に行きました。
「走るんじゃないぞ」
外嶋さんのそんな声を背中に受けながら。





彼と行ったのは、以前―――そう、何年も前に行ってかぐや姫の物語や
七夕の話を聞いたあの店でした。
あの時は……そう、確かバレンタインデーのお礼だと言っていた…。


家に帰ると少し疲れが出て、ソファに座り込みました。
「少し早めに切り上げて良かったな」 グラスに注いだほうじ茶を
彼から受け取ります。
「びっくりしました。よく覚えてましたね」
「前にも言ったが……君の誕生日を忘れるような男がいたら、
 全く夫としての資格はないだろうな」
「そんなことはないですよ」
わたしは思わず笑顔になりました。
「七は聖数だと以前話しただろう?」
「はい、確か怨霊封じの数、でしたね」
「……七が聖なる数なのは日本だけの事じゃない。
 西洋でも七は聖数なんだ。一週間は七日だし、北斗七星、
 昴も見える星は七つと認識されている。
 ――――君は虹は何色で出来ていると思う?」
突然話が変わったような気がして、わたしは少しどきどきしながら答えました。
「七…色ですよね?」
「日本ではね」
「え?」
「ある学者がアメリカ人に尋ねた所六色と答えたそうだ。
ヨーロッパでは五色とも。日本でも古来は五色と認識されていたそうだし、
沖縄では昔、二色とされていた」
「二色ですか?!」
「色の認識の違いなんだが、今の日本で七色とされているのは
 ニュートンが虹を七色として、定義したからなんだ。
 ニュートンも虹が正確に七色ではないことを知っていたが、
 七が神聖な数であることから、七色としたんだそうだよ」
彼はわたしの隣に座って、そっと手を背に回しました。
優しい温もりを感じます。


「君の…君は名前にも生まれた日にも聖なる数を含んでる」
彼の瞳(め)がじっとこちらを見つめています。あまりドキドキすると、
お腹の赤ちゃんに聞こえちゃうかしら?などと、おかしなことを考えていたら、
彼の視線がふと反れました。
「俺は『祟る』んだろう?だから聖数の『七(なな)』できちんと封じておかないとな」
「……………まあ」

はっと気付いた時には、彼の口唇がわたしの口唇に触れて
―――離れていました。
「今夜はこれくらいにして置こう。あまり君に触れてると、
 つい先に進みたくなる」
彼の視線がわたしの腹部に向かっていることが解って、
一瞬きょとんとしてしまったものの、すぐ吹き出してしまいました。

「あの、メールありがとうございました。あと、携帯持って下さったことも」
「………お礼を言われるようなことではないよ。
 それに君の職場では奇跡が起きたのなんのと、
 酷い言われようなんだろうし」
「美緒ちゃん曰く、今日奇跡で雪が降ると天の川が凍って、
 織姫と彦星が歩いて渡れるから良いそうですよ」
「流石外嶋さんの血筋だな。発想が普通じゃない」
「……それと」

わたしは立ち上がった彼に、懸命に背伸びして耳打ちしました。
それはつい先日急遽お休みを貰って行った、
産婦人科での母親学級で知ったことでした。
「だからあまり心配なさらないで下さいね」
わたしが彼を見上げると、彼は予想した通り眉をしかめて困り顔でした。
「まあ、いい。今夜は君も疲れてるだろうし、休もうか」
「はい」
わたしは微笑って彼に凭れかかりました。


七夕の夜の今日、まだ梅雨は明けてはいないものの、雨は降ってはいません。
きっと織姫と彦星も今年は出会えたはず、
そんなことを考えながら、眠りにつきました。








※大分迷っていた『奈々ちゃん妊娠、育児ネタ』なんですが
とうとう描こうかなって決心つけました。
最大のネックは子供と言うオリジナルキャラを出すこと。
ちょっと二次創作としてはためらいがありました。 (本にはちょい描いちゃいましたけど)
でも今の私になんの取材もなく描けるネタってこれだしなぁ…。
本のオマケ用の漫画が終わったらぼちぼち取り掛かります~^^


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主婦
趣味:
読書・お絵かき・料理
自己紹介:
次女妊娠中にQEDにはまりました。
当然ですが、原作者および版権元様とは
一切関係がありません。
閲覧に関しては、個人で責任を負ってください。
著作権も一応手放してはいないので、
ご利用の際はご一報下さい。

……なんじゃ!このネタ!?と
思ったら、目をつむって十数えてなかったことに
して欲しいです^^;
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