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タタ奈々と空稲で二次してます。 どちらのジャンルも原作設定をメインとしております。
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パンダ(^O^)キターーーーーーー!


いや、そうじゃなくて^^;
今日はなんだか苦しいニュースが多かったので
パンダちゃん出産のニュースは嬉しくなっちゃいました。


それは置いといて(/ロ゜)/


午前中アップしたSSの舞台裏話が出来ちゃったので、アップします。
熊さん沙織ちゃん以外の、タタ奈々応援団の二人。
外嶋さんと美緒ちゃんです。
もしかしたら美緒ちゃんの立ち位置が一番読者に近いかも(笑)
『七の魔法』の続きになります。


小説は続き記事からです。

拍手[8回]


「あー良かった。奈々さん嬉しそうでしたね。
 桑原さんが意外とマメな人でヨカッタ」
わたしはようやっと端末の前の椅子に腰掛けた。
「フン、全く余計なことで騒ぐ子供だ。
 あいつはああ見えて、認識したことに対してなら、
 決して手抜かりなどしないよ。君の心配は杞憂って奴だ」
横でぶつぶつ言いながら、優秀な社員に閉店業務を押し付ける訳に
いかなくなった中年男はわたしの再従兄弟(はとこ)に当たる…らしい。
と、言うのもわたしが生まれた時にはこの『おじさん』は青年だった訳で、
どうも同じ世代の親類には思えないからだ。
しかも今は職場の雇用主でもある。


「わたしは少しでも奈々さんを、ウキウキさせてあげたかったんです!
 だっていつも初めから諦めてる感じなんだもの。もう少し期待しても、
 今の桑原さんなら応えてくれる訳ですし」

やっと全ての入力が終わった。
先月駅前に新しい診療所が開院した。
近頃のニーズを反映してか、心療内科なのだが結構評判が良いらしい。
お陰で一日に捌かねばならない処方箋は三割増しだ。
そのせいか、遠い親戚にあたるこのうるさい『おじさん』と、
残業の傍ら何やら仕事以外のことで話すことが、増えて来た。



「まあ確かに奈々くんは少し淡白すぎるがな」
「そうでしょう!男の人だって我が儘言われて嬉しいってこと、
 結構あると思います」
机の上に広がっていた書類を整え、端末の電源を切った。
全くもう少しバージョンアップしたパソコンなら、
仕事もはかどるのに、この『おじさん』はあまりそちらには気が付かない。
「君はいつも我が儘ばかりだろう」
「そんなことはありませんよ、だ」
「だいたいさっきの話は何だね。織姫と彦星にスケート靴でも
 履かせる気か、君は」
「い~じゃないですか、涼しげで。大体わたし七夕の話って
 好きじゃないんですよ。
 なんで年に一度で甘んじてるんですかね。
 色々知恵を絞れば、織姫と彦星だってもっと会えるかもしれないのに」
また訳のわからない話になってきた。
この『おじさん』と話しているといつもそうだ。
しかも何のかんの言って、この人物は無駄がない。
こう言う回りくどい話になる時は大抵何か思惑があるのだ。

先輩局員の奈々さんは、こう言うところまるで素直な性格で、
『おじさん』の会話の奥に裏があることなど気が付きもせず、
いや気にせず、なのかな?まるごと話の内容を受けてしまう。
唯一知っている範囲では、奈々さんの夫(全くこう呼べるようになったのは、
奇跡でめでたいことだと思う)の桑原さんが、対等に渡り合えているかもしれない。
見事に噛み合わない会話を、きちんと成立させているところが、すごい。


「そもそも七夕は中国起源の祭だろう。
 元は子女が技芸――裁縫なんかが上達するように祈り、
星を祭る日だった。勝手な願い事をして、恋人同士が会う為の日ではない」
「そんなこと言って、外嶋さんだって、内心ホッとしたでしょう」
「…………まあね」
「奈々さんは期待しなさ過ぎるけど、桑原さんも読みにくい所があるから、
 つい奈々さんの話を聞いているとこちらがハラハラしちゃって」
「君もお節介だな」
「外嶋さん程じゃないです」
「僕は一度引き受けた以上、責任があるんだ」
珍しく背を向けて、『おじさん』はポツリと呟いた。
そう言えば以前、うっすらと聞いたかもしれない。
外嶋さんと桑原さんは同じ大学の出身ではあるけれど、
それ以前からの知り合いだって。
桑原さんは外嶋さんに何かしらの―――多少の恩があるらしいことも。
尤も恩を売った方も受けた方も、そんなことはまるで気にしていないように見える。
だからこそ、長続きしているのかもしれないけれど。
「もうそろそろその責任から、開放されそうですよね。
 奈々さんご夫婦に子供が生まれたら、外嶋さんにとっては
 孫みたいなものですもんね」
「――――誰が誰の孫だって?桑原とは14歳しか変わらないぞ。
 40代で孫がいてたまるか」
おかしな所が俗っぽい。
「それより君の方こそ、相も変わらず子供で困る。
 何を勘違いしたのか、願い事を書いた星形の紙を、
 笹の一番天辺に付けるんだと泣いていた頃と、今も変わらないじゃないか」
「……そんなことありました?」
「残念ながら僕はあまり背が高くないから、肩車しても届かなくて、
 君が泣き止まなくて困ったんだ」



覚えてなかった。
奈々さん夫婦も13年もよくわからない間柄のまま、昨年何やら劇的な、
言葉も解らないで使うけれど『コペルニクス的転換』とでも言うべき
奇跡が起きて、今の縁がある。
わたしはこの『おじさん』とは、この薬局に勤めるまで会ったことのない
親戚だと思っていた。
―――そうではなかったんだ。それより前から縁はあった。
完璧な腐れ縁だけど。


「まあ、仕方ないけどわたしは嫁に行くまでは、
 此処で真面目に働くつもりでいますので、よろしくお願いします」
「フン、それこそ今日天の川が凍るより、低い確率だな」
全く口の減らない親爺だ。
「わたしが結婚する確率は、桑原さんが携帯持つ以上の奇跡ですか!
 それはあんまりですよ」
『おじさん』はハハハと笑って振り向いた。
もう白衣は脱いで、サマースーツの上衣を羽織っている。
「さて雨も降らないようだし、今夜は恋人たちの逢瀬を祝っ
 てモーツァルトでも聞こう。―――今日降る雨を催涙雨と言うが」
「知ってますよ。織姫と彦星が出会えなくて泣く涙が、雨になるんでしょ」
「ところが隣の韓国では、二人が出会えた嬉し涙で雨が降ると言われている。
 何事も考えようさ。さあ、出るぞ。君を待ってたら、もう八時だ」
わたしは慌てて荷物をまとめると、『おじさん』の後に付いて薬局を後にした。





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