今日『カンナ』最終巻読み終えました。

いや、なんと言ってよいやら。
こちらも、もう少し続きをプリーズ的な感じが…。


思い切りネタばれる予定なので、続きは続き記事よりお願いします。

[3回]

えーと、まずは歴史の謎的なところから参ります。


先生のエッセイで上賀茂神社などのことが書かれていたので、
てっきり甲斐君ちの実家繋がりの、賀茂氏のことが書かれるものと
思っていました。
ところが…でもメインの謎が『聖徳太子』にまつわる謎だったので、
聖徳太子の家臣だったと言われる、秦氏の謎が中心に！


個人的に太秦の広隆寺が大好きで、京都に行くと必ずいってしまう私は
確かに秦氏はとても気になる氏族でした。
ダンナの国にも関係あるし、私が以前二次創作してた中国の歴史にも関係ある
とても奥深い歴史を秘めた一族。
私が詠んだ本の中には、秦氏は血でつながった一族ではなく
中国西部からやってきた、職能集団だったと言うものもありました。
確かにこの一族はそう言われるだけの、バラエティ飛んだ
技術が備わっており、雅楽の東儀家などは今でも技術を継承しています。
機織り、製鉄、建築土木、酒造り…さまざまな職種を網羅していた
この一族が権力者に、技術によって得る富を狙われ、搾取され、利用されてきた
と言うのが、今回の趣旨だったように思えます。

そしてそれを利用してきた最初の大王が蘇我氏と言うのが、このシリーズが
ずっと引っ張ってきた謎。

歴史の謎が『聖徳太子』から始まった私としては、興味深く読めたシリーズでした。
あああ、でもアクションというかエンタテイメント性を強くしてあるせいか、
歴史関係の情報が少なく、ここにタタルさんが居たら…と、タタ奈々のときは
『ちっとは薀蓄を削ったらどうか？タタルさん』などと思っていたのが嘘のようです。
やっぱ貴湖ちゃんと甲斐君じゃ歴史の謎の解決までは、導けないのかな？
このあたりはもう少し突っ込んで知りたかったです。



キャラをメインにしたストーリー進行は…
あの、わたし勝手に聡美さんに死亡フラグ立ててました(^_^;)
おっとっと。
そして甲斐君、最後まで二人の間で、つるし上げ！？状態で終了。
なんかこの決着を書かないあたりが、先生らしいような気もします。
そして史紋さんについてた、あの運転手が転んでたと言う描写で
はっきりと西田君だと分かったのも(笑)

ほうろく！甲斐君の幸せは君にかかっている！
後は頼んだよ…と言う終わりでいいんですよね？たまきさん＾＾；

ちょっともう１冊くらい読みたいような、そんな気持ちです。





※蛇足
蘇我氏繋がりで、ちょっと。
この本読んでたらひとつ気づいてしまいました。
『源氏物語』も、ＱＥＤの竹取で竹取物語が紀氏の手で書かれた
王権によって支配された人たちの鎮魂の為に書かれた書物であるように、
誰か、もしくは何氏か、退けられた人の鎮魂の為に書かれた物語であると
言う説。
井沢元彦氏などはあっさりと天皇になれなかった『源氏たち』の鎮魂と
書いておられたのですが、わたしはどうもこれは単純すぎて
もっと紫式部は複雑な仕掛けをしているのでは？と考えてきました。

時の天皇、一条帝に紫式部が『日本紀の局』とあだ名されたのには
源氏物語に日本書記のエピソードなどが含まれているからじゃないかな～
と思えていたのです。
源氏の妻や恋人、生涯の設定が、私には日本書紀や万葉集に書かれた
聖徳太子、高市皇子、大津皇子などの生涯に重なるものがあります。
そして紫式部の曽祖父、藤原兼輔は『聖徳太子伝歴』の著者でもある…！

もしかしたら源氏物語が鎮魂しているのは、天皇の座から引きずりおろされた
蘇我氏なのかな…などと余計なことを妄想しました。
あくまでも妄想です、妄想。
蘇我氏の血は、持統天皇を通して、女系でつながっていくし
天武天皇も実は蘇我系なんて言う本も見かけたので、
こんな考えも面白いかなと思います。
紫式部がわざわざ『物語にこそ真実が含まれている』とかいてることですし。