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タタ奈々と空稲で二次してます。 どちらのジャンルも原作設定をメインとしております。
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じゃーん!
出来ました。背景の塗りは、印刷に載せる大きさがあまり大きくないために
手抜きしております。
とりあえず奥行があればよかろうとww
本当に今日この頃は飛行機やそれにかかわる周辺の物を描いているだけで
とても幸せです。
本来ならば戦闘機好きはダンナの方が先だったんですが、
(一応本人いわくF-15のパイロットを目指してたらしい…が隣国の空の
安全のためにはそうならずにヨカッタ(笑))
最近妻があまりにも熱中して描いているので首をかしげています。



さて、総集編の印刷部数のことです。
あと10人ほど集まりましたら、多分新書サイズかA5版カバー付きで
実行したいと思います。
詳しくはこちらの記事へ>拍手募集中 


大祐君危機一髪話(笑)
小説は続き記事からです。



拍手[10回]



◆◆◆



「ごめん」
言わずにはいられなかった。
「え、何でですか?」
「その……昨夜の。……痕が残るようなことして。
大人気なかったと思ってる」
「え?ええっ!?」
昨夜、海野三佐と並んで店から出てきた彼女を見て
思わず血の気が引いた時の、自分の心臓の音が
また耳許で聞こえてきたかと思った。
馬鈴薯三個の皮を手早く剥いて、言葉を続けた。
「……リカにとっては仕事だし、こんなことでヤキモチ妬く
なんて本当にどうかしてた」
「ヤキモチ?」
そう――明らかに、子供みたいなヤキモチだった
。嫉妬、と言うほど深刻ではなかったけれども。
一緒に暮らし始めて、離れていた頃より距離は近くなった筈だった。
でもそうしたら却って彼女の仕事や生活――そんなものが
ありのままに見えてしまい、日中互いに離れていても
彼女のことを考えていた自分がいたのだ。
これでは――あまりにも自分が子供っぽいような気がする。
「リカ、大丈夫!?」
「は、はい」
「そう。良かった」
彼女は驚いたらしく、鍋を取り落とした。
その辺りも……彼女自身にとっては自分が彼女が普段仕事で出会う異性に、
嫉妬するなんて思ってもみないことだったと解る。
何事にも熱心なあまり、細かな人間関係にはやや疎い彼女らしい、驚きだった。
それだけ此方を信用していると言うことでもあるけれど……。
「その……槙さんが防大時代、海野三佐と剣道部で一緒だったんだ」
「あ……そう言えば、そう言うことになりますね」
「リカ、ゴメン、蒟蒻千切ってくれる?――それで」
「はい」
彼女に蒟蒻を手渡す。
「その……海野三佐は女性にすごくモテたみたいで
――あまり良くない噂も聞いたものだから……つい。
でも自分がリカを信じきれてないような感じに、
リカに思われたくなくて、昨夜あんな風に」
片山さんだけではなく、槙さんまでがあんなに心配してた海野三佐が
どんな人物であろうと、彼女に対する信頼を後回しにして、
自分の欲を優先した――ような気がする。
彼女の華奢な手首や、普段は伸ばし始めた髪に隠れて見えない、
白い項に夢中になって正に溺れた感じだった。
彼女に「そうしなくて良い」と言われてはいたものの、
柔らかさに埋もれて最後の瞬間配慮を忘れた。
自分にこんな独占欲があったなんて……自分で自分を殴りたくなる。
「わ、わたしは別に。そ、そ、それにその……海野三佐は
確かに親切で気の効く方ですが、わたしそんな風に感じたことはないです。
却って大祐さんと出会ったばかりの時のことを思い出したりして……」
彼女を見ると、頬を真っ赤に染めていたものの、此方を真っ直ぐに見ている。
「本当にゴメン」
「……」
背後から抱き締めると、彼女が毎日付けている淡いコロンの匂いが、
鼻をかすめた。
昨夜の渦中の彼女の吐息が、思わず耳許をくすぐったように思えて苦しくなり、
気付かれないようにそっと彼女の身体から離れた。
「……お腹空いたね。早く夕飯にしよう」
別の生理的欲求に意識を向けることにして、この場を収めた。
そうしなければ――このまままた溺れたくなる。
それ程昨夜の熱した感覚は、自分の身体のほんの爪先までも
支配しているように思えた。
 
 
 
寝室の明かりを消すと、本当に真っ暗になった。
以前パイロットだったこともあり、夜目が効くから、
ある程度は見えるものの、都心でこれだけ静かな地域も珍しいのではないだろうか?
そして五感の一つをある程度遮断すると、
他の残された感覚は研ぎ澄まされざるを得ない。
気付かれないように、なるべく彼女と距離を取って横になっている。
彼女は先程までスマホから自分のスケジュールを整理し、
チェックをしていた。
報道よりはまだ予定が立てやすいと彼女は微笑していたが、
ある程度の年間のスケジュールが決定している自分の仕事と違い、
予測不能なことが殆どだと言う彼女の仕事は、普段から様々な配慮が必要だった。
勿論一つの番組を作り上げるには、テレビのこちら側で
眺めていて感じるよりも、思った以上の根気と
それに相反する臨機応変さが問われる。
以前鷺坂さんが彼女をウサギに準えて「稲ぴょん」と彼女を呼んでいたが、
正しく(まさしく)、いざと言う時はウサギのような素早さが問われるのだろう。
彼女の番組製作に入った時の集中力や、
新しい情報に触れた時の回転の早さは、出会った頃から
変わらないものではあったけれど、更に磨きがかかっている今日この頃だ。
彼女の上司の阿久津氏が、部所を変わってからも
彼女に目をかけているらしいのは、それなりの理由があるのだった。
尤も阿久津氏からしてみたら、仕事以外は意外にも隙だらけの
「娘」が心配で仕方ないだけかもしれない。
隣から聞こえる安らかな寝息に相反して、落ち着かない自分の胸の内に、
大きなため息をついて、その夜は抑えた。
――これから毎晩、こんな気分になるのだろうか?
 
 
 
土曜日、自分も彼女に付いて横須賀に行く。
会場には車で先に現地入りしていたカメラマンと、
珍しく女性のアシスタントが付いていた。
「カメラマンの酒井手さんと、アシスタントの後藤さん。
酒井出さんは確か……」
「昨年の入間にもいらっしゃいましたね」
痩せて日に焼けた顔立ちのカメラマンに、手を差し出して握手を求めた。
酒井出氏はニヤリと笑って、手を握り返した。
「結婚するって?昨年入間でそう思ったんだよね。
この嬢ちゃんは真面目過ぎて素直じゃないから、どうぞよろしくな。
あとまた飛行機撮る仕事あったら呼んでくれ。
あれ以来嵌まっちゃって、昨年は休み取って築城の航空祭も行っちまった」
「それは……ありがとうございます。今年の入間も是非お願いします」
「ちょっと!酒井出さん、素直じゃないってどういうことですか。
それに流石に嬢ちゃんはもう恥ずかしいですよ!」
「まだそう呼ばれるだけありがたいと思っとけ。
子供出来たら、すぐオバサンって呼ばれんぞ」
「な……」
するとアシスタントの後藤と名乗る女性が、酒井出氏の耳を引っ張った。
「酒井出さん、それセクハラだから。
稲葉さん、今日はカレーフェスタ全体の紹介でいいんですよね?
会場の入口の絵とか、いりますか?」
「ちょっと待って。海野三佐との打ち合わせ通りにやりたいので……」
「稲葉さん!………あ」
爽やかな響きの声に振り向くと、海自の白い制服姿の海野三佐が立っていた。
「空井一尉もご一緒だったんですね」
「すみません、公私混同するつもりはなかったのですが、
自分はまだ広報に日が浅くて、空自以外のことは詳しくないので。
出来たら後学の為にと、彼女に無理を言いました」
本当はこのあと婚姻届を出しに行くついでに、
着いてきたに過ぎなかったが、それでは彼女の立場がないのでそう話した。
でも口に出して見ると悪くない。
自分はこれまでパイロットで、直接は海自の広報について
知っている訳ではなかったからだ。
「そうですか。空自の広報は攻め方が上手いと、今の室長もよく口にされています。
今日はよろしくお願いします」
これこそ……三代に渡って続いた伝統と言わんばかりの綺麗なお辞儀だった。
自衛隊に入隊してから身につけた自分と違う。
正に育ちの違いだな、と感心してしまった。
「稲葉さん、先日頂いた絵コンテ通りだと此方から撮影するのが……」
海野三佐は話題を仕事に切り替え、彼女も何年か前までは
自分もよく見ていた仕事に向かう、あの真摯な瞳に戻っていた。
 
 
 
撮影する彼女たちからは少し離れて、停泊する護衛艦を見学したり、
カレーフェスタに出店されているカレーを試食したり、それなりに楽しんだ。
自分はあまり詳しくないが、片山さんや比嘉さんの話では
昨年から海自はオンラインのゲーム会社に協力して、
護衛艦を美少女キャラにディフォルメしたゲームが大成功し、
会場にはカメラを持った若い人の来場が多い。
「オレ、室長に必死に推してたんだけど戦闘機は他国ならともかく、
国内はうるさいからって出来なかったんだよなあ」
なんてぼやいていた片山さんの顔を思い出す。
久しぶりに仕事に気合いが入った気分だ。
少子化に伴って、将来の人材確保の為に学生たちを惹き付ける工夫は、
自衛隊に関わらず何処でも必死だ。
ましてや自分たちの職務は、確保出来なかったからと
人員削減を簡単に出来るような仕事でもない。
――未来。
今日入籍して、いずれはその戸籍に記される人数が増えることもあるだろう。
そしてその増えた「彼ら」が大人になる頃には……?
一体どんな世の中になっているのだろう。
ふとそんなことまで考えてしまった。
 
 
 
「大祐さん、お待たせしました」
彼女はいかにも充実感溢れた笑顔で立っていた。
「カメラマンの酒井出さんには、先に局に帰って貰うことになりました。
どうしますか?何処の役場からでも提出は出来ると思うのですが」
「君は?このあと仕事は?」
「勿論一度局に戻りますが、大祐さんと夕御飯食べる時間くらいはありますよ」
五月の夕暮れは風が優しい。
彼女の髪がふわりと揺れた。
「横浜にでも出ようか?婚姻届出したら、中華街にでも。
しばらくカレーは見たくないかも」
「本当に。色々な種類がありましたけど、カレーはカレーですものね」
彼女はイタズラな表情で微笑んだ。
その一つ一つが愛しい。
「じゃあ、行こうか」
そっと指先に触れると、彼女はそれをしっかりと握り返して来たが、
そのわりに表情は仕事中よりも真面目くさった表情だった。
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次女妊娠中にQEDにはまりました。
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一切関係がありません。
閲覧に関しては、個人で責任を負ってください。
著作権も一応手放してはいないので、
ご利用の際はご一報下さい。

……なんじゃ!このネタ!?と
思ったら、目をつむって十数えてなかったことに
して欲しいです^^;
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