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タタ奈々と空稲で二次してます。 どちらのジャンルも原作設定をメインとしております。
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さて結構長くなっちゃった、空稲同棲始めw
あと1、2回で終わりにできるかな?


お話は続き記事からです。



拍手[12回]



◆◆◆



朝、シャワーの時に髪を上げて、ふと鏡に目が行き驚いてしまった。
「え?え、え、えー!」
首筋に赤く色付いた印が付いている。
普段の彼なら、わざわざ口に出さずとも、こんな目に見える位置に、
二人だけが解っていれば良い行為の跡を残すことはない。
昨夜……彼は何故か店の前まで迎えに来ていた。
市ヶ谷の帰り――そう言っていたけれど。
あの時の彼の表情を思い出すと、なんだかおかしくなる。
三割困っているような、三割焦っているような
――そして残りは何かを確認してホッとしたような顔をしていたと思う。
「……ヤキモチ?」
よく見ると、その徴は……
「三つ」
も付いていた。
こんな風に我を忘れることが彼にもあるのだ。
常日頃、抑制の効いた性格の彼は夢中にはなっても、滅多に度を失うことはない。
だから――昨夜は少し驚きつつも、でもそんな彼だからこそ
愛しくも思えて、彼から与えられる行為にわたしも没頭したのだ。
「今日はハイネックの服着てかなきゃ」
既に季節は春から初夏に移りつつある。
ハイネックなんて着ていたら不自然極まりないが、仕方ない。
「少し大きめのネックレスでもしようかな」
シャワーの栓を止めて、タオルで身体を包んだ。
 
 
 
『横須賀カレーフェスタ』の下準備を撮影する為に、
今日は会場になる横須賀の港にカメラマンと同行する。
会場には海野三佐が爽やかな笑顔で、手を振っていた。
「稲葉さん、昨夜はお引き止めしてしまい、すみませんでした。
婚約者の方には叱られませんでした?」
「叱られ……いえ、そ、そんなことは。
彼はたまたま市ヶ谷に用事があったようで、
ついでに迎えに来ただけなんです」
顔、赤くなってないかしら?そんなことを考えながら俯いて答える。
まだ婚約者と言う、世間的には当たり前の言葉にも慣れないのに、
今週末には籍を入れて夫婦になるのだ。
そうすると自分の姓も彼のものに変わる。
自分の名が『空井リカ』であることが自然になる日、
なんていつか来るのだろうか?
「そうかな?稲葉さんみたいに魅力的な婚約者がいたら、
自分なら外に出したくなくて、しょっちゅうヤキモチ
妬いてなければならなそうだ」
海野さんは冗談めかして言うと、苦笑した。
当然お世辞なのだから、こちらも笑って受け流し、
今日のスケジュールから確認を始めた。
 
 
 
「出来れば料理している過程をクローズアップして撮りたいんですけど、
その辺りは大丈夫ですか?」
「ええ、構いません。出展する各隊の隊員にも今日中に連絡しておきます。
艦の中での調理の絵、なんて必要ですか?」
「え、撮影出来ますか?」
「勿論です。当然隊で食事の用意をしているその最中に、
撮影して頂く形になりますが」
「その辺りは空自と同じなんですね」
「空自でも、同じようなことが?」
「以前ドラマの撮影の時に、元から飛行する予定のヘリならば
撮影出来ると」
「ああ……成程。そうですね、同じ型のヘリは海自でも持っていることが
ありますから、もしまたそのようなことがありましたら、
此方にも声かけて下さい」
わたしは出来るだけニッコリ笑顔で返した。
確かあの時は――陸自で断られ、海自には同じヘリがなく、
鷺坂さんに無理なお願いをすることになったのだ。
空自はどうしても陸自や海自に比べて歴史がやや浅い分、
弟的な扱いになるのだと、以前の仕事の時にも聞いていた。
今、目の前にいる海野三佐もパイロットになる為に勉強していたそうで、
本来なら空自に入隊しても良かった筈だが、
昨夜聞いた話では、祖父が海軍の飛行部隊におり、
それを受け継いだ父親が海自でパイロットだった為、
彼も海自を目指さざるを得なかったのだと言う。
その話をした時の海野三佐の表情は、何処か淋しげでもあり、
自分自身を何処か皮肉に見ているようでもあった。
 
 
 
今日は早く仕事を終え、彼のすぐあとに帰宅出来た。
わたしも急いでエプロンを身に付けて、キッチンに向かう。
彼は玉葱の皮を剥いていた。
「今夜は何にするんですか?」
「肉じゃがかな。週末カレーにしようかと思って」
「あ!」
そこでわたしも思い出した。
「大祐さん、わたし土曜日は撮影が入ってます。
『横須賀カレーフェスタ』の」
「……あ、ああ、アレ今週なんだ」
「ええ。あのもし良かったら大祐さんも一緒に行きませんか?」
「僕も?」
玉葱の皮をさっさと剥き終えて、彼は既にピーラーを手に
人参の皮剥きに取り掛かっていた。
何事においても、迷いのない時の彼は非常に手際が良い。
一緒にいると、やや自分の不手際な部分にコンプレックスを覚えるのは、
空幕広報室で知り合ってからだが、ある意味で勉強にもなる。
こと料理の手順は、彼の真似をしていれば間違いがなかった。
「そのう、それでそのあと市役所に……二人で行きませんか?」
「ん、あ、ああ……そ、そうだよね」
週末に婚姻届を出す為に、二人で市役所に行こうと約束していた。
確かに撮影は午前中には終えられる筈だ。
料理番組の特集の一場面である為、フェスタ自身はそこまで重要ではない。
海野三佐も手際の良い人で、調理中の様子の撮影は明日横須賀に停泊している
護衛艦の中での撮影を、既に許可を取ってくれていた。
海野三佐の様に、企画書を渡しただけで、これだけ動いてくれることも珍しい。
今回の仕事があまりにもスムーズに進むのは、彼のお陰が大きいだろう。
「空自には何か名物料理ってあるんですか?」
「んー…どうかな?お土産用に入間基地カレーはあるけどね」
「そんなものが!」
「あくまでもお土産用、だよ」
彼は振り向いて苦笑した。
そして馬鈴薯の皮を剥きながら、突然ポツリと呟いた。
「ごめん」
「え、何でですか?」
「その……昨夜の。……痕が残るようなことして。大人気なかったと思ってる」
「え?ええっ!?」
わたしは思わず鍋を取り落としてしまった。
「リカ、大丈夫!?」
「は、はい」
「そう。良かった」
彼の笑顔はいつも通りだった。
わたしは鍋を拾い上げて、つくづくと彼を見上げた。
「……リカにとっては仕事だし、こんなことでヤキモチ妬くなんて
本当にどうかしてた」
「ヤキモチ?」
……だったのだ。
でもわたしが仕事で男性と組むのは、今までにも幾らでもあった筈だ。
何故今回に限って、彼はそんなに動揺しているのだろう。
わたしはじっと彼を見つめて、次の言葉を待った。
「その……槙さんが防大時代、海野三佐と剣道部で一緒だったんだ」
「あ……そう言えば、そう言うことになりますね」
「リカ、ゴメン、蒟蒻千切ってくれる?――それで」
「はい」
彼から蒟蒻を受け取り、千切ってボウルに入れながら、
彼の話を聞く。
「その……海野三佐は女性にすごくモテたみたいで
――あまり良くない噂も聞いたものだから……つい。
でも自分がリカを信じきれてないような感じに、
リカに思われたくなくて、昨夜あんな風に」
冷蔵庫を見る為に背を向けた彼の首筋は、真っ赤だった。
話しにくそうに言葉を紡ぐ声音は低く、
却ってわたしは落ち着かない気分になる。
「わ、わたしは別に。そ、そ、それにその……海野三佐は確かに親切で
気の効く方ですが、わたしそんな風に感じたことはないです。
却って大祐さんと出会ったばかりの時のことを思い出したりして……」
どう言葉を続けようか考えていたら、
ふいに背中越しに彼に抱きすくめられてしまった。
「本当にゴメン」
「……」
何だか彼の心音がそのまま伝わるようで、わたしも自分で
自分が抑えきれなくなる気がしてしまう。
夕飯の支度を放り出して、このまま……。
「……お腹空いたね。早く夕飯にしよう」
彼はそっとわたしから離れると、冷蔵庫から取り出した牛肉をパックから出し、
まな板の上で刻み始めた。
わたしは彼の温もりに、少し名残惜しいものと物足りなさを覚えながら、
彼の下拵えした材料を鍋に入れた。
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次女妊娠中にQEDにはまりました。
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一切関係がありません。
閲覧に関しては、個人で責任を負ってください。
著作権も一応手放してはいないので、
ご利用の際はご一報下さい。

……なんじゃ!このネタ!?と
思ったら、目をつむって十数えてなかったことに
して欲しいです^^;
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