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タタ奈々と空稲で二次してます。 どちらのジャンルも原作設定をメインとしております。
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思いついたら、一気に書けちゃいました。
(チビどもが早く寝たおかげも(^_^;))


拍手、サイト、ブログとも沢山、沢山頂きました。
一日にこんなに頂いたの初めてかもしれません。
コメントのお返事は次回更新でさせて頂きます。


空稲ペーパーも絶賛受付中です。




小説は続き記事からです。



拍手[40回]




◆◆◆


市ケ谷の駅前の居酒屋から、人形町の彼女のマンションの
前までやって来た。
そしてここまで来て気が付く。
彼女の部屋の鍵を今日は持参していなかった。
――仕方ない。
すぐまた駅へ戻る。
スレ違うかもしれない。
そうは思いつつも、生真面目な彼女は出先からでも、
余程のことがなければ直帰せず必ず局に戻ることは知っていた。
帝都テレビの社員通用口で待っていたら、
彼女を捕まえることが出来るだろうか?
 
 
 
テレビ局の前は今だそれなりの人出で賑わっている。
彼女と出会ったばかりの頃、何度となく足を運んだ場所だ。
賑わいから外れ、裏の通用口へ向かいかけた時だった。
「…空井さん!」
振り向くと、そこに立っていたのは飛田さんだった。
「びっくりしたあ!一体どうしたんですか?こんな所まで」
何処まで話したものだろう。彼女以外の人物に
会うことはまるで考えてなかった。
「……もしかして、稲葉さん?」
探るような眼差しに、黙って頷いた。
「彼女なら今、阿久津さんと話してます。
 ……空井さんはもうご存じかもしれないけど」
彼は腕を組んで此方を見た。
「稲葉さん、来年からゴールデン枠の番組のチーフディレクターに
 抜擢される話が出てる。今空井さんにもご協力頂いてる企画が
 成功したら、彼女に決定するでしょう」
「…………」
一瞬挑むような視線が、こちらを見た。
「俺…以前稲葉さんが作った番組、『日本の空と海と』ってヤツ、
 あれに憧れて今回の企画、無理矢理稲葉さんの側に
 異動させて貰ったんです。
 なかなか女性のディレクターが一流になるには、
 難しい世界だけど、稲葉さんはそれが出来る女(ひと)だ」
そうだろうな。
それは彼に言われなくても解った。
彼女が仕事に向かう時の真摯さを、
自分は誰よりも理解しているつもりだった。
そして――その真摯さも、ふと見える奇妙な弱さも含めて、
丸ごと自分には必要なのだ。
「正直に言うけど、今空井さんが彼女に何か言うのは、
 彼女の足を引っ張ることになると思いますけど」
「…………」
急に冷たい風が行き過ぎた。
もう11月も半ばを過ぎている。
陽が落ちれば、冬と言っても遜色ない。
「…それでも、僕は彼女は自分で自分の道を選べる人だと
 信じています。ありがとう」
自分でもバカかと思うくらい、丁寧にお辞儀をした。
その時だった。
「………だ、だ、ちがっ…きゃっ」
突風が吹き抜けて、彼女は慌てて身を縮め、コートを押さえる。
側に駆け寄った。
「失礼します」
飛田さんは踵を返して去って行った。
「飛田くんと何かあったんですか?」
彼女は驚いた表情だ。
「…かも」
お陰で顔を見た途端、彼女に逃げられることはなくなった。
「ご…ゴメンナサイ」
彼女は目を伏せて俯いた。
「僕も……ごめん」
焦っていたから。
彼女がいつも言うように、また順番を間違えたかもしれない。
想いは変わらなくとも、タイミングが悪ければ、
どんなに好きでも噛み合わない。
「まだ電車で帰れます。行きましょう」
彼女はヒールの音を響かせて、先を歩き始めた。
 
 
 
地下鉄でも彼女は黙ったままだった。
ただ何処か、何か、想い決めたようなそんな気配がして、
近寄りがたい雰囲気が漂う。
喉から飛び出そうとする言葉を呑み込みながら、
彼女の後ろをただついて行った。
部屋の鍵を開けると彼女は振り向いた。
「すみません、あまりきちんと帰れてなくて。
 部屋が片付いてません」
「…僕は君に無理をさせてた?」
彼女は大きな瞳でこちらを見返した。
彼女は首を左右に振り、ドアを開けた。
「ソファに座って待ってて下さい。コーヒー淹れますから」
「……解った」
風の音だけが、部屋の中に入っても響いていた。
ヒューと高い音を響かせて、窓をカタカタと揺らす。
部屋は雑然としていた。
いつも自分が来る時と違うのは、ダイニングやリビングのテーブルに、
所狭しと資料の紙の束や、ビデオテープ、
DVDが積まれていたことだ。
今回の仕事をいかに彼女が本気で取り組んでいるのかが解る。
「まだロケは始まってないんですが、この段階で固めておかないと
 いけないので…つい散らかしてしまって」
「飛田さんからも話を聞いてるけど、いい仕事だと思う。
 リカが…何を見せたいのかよく伝わって来る」
「…ありがとう」
コーヒーを何とか空いてるスペースに置くと、
彼女は隣にそっと腰掛けた。
いつもと違い、何を考えているのかは解らなかった。
ただ優しい気配だけは伝わる。
「リカ」
「大祐さん」
同時に互いの名を呼んだ。
「さ、さ、先にどうぞっ」
「いや、まずリカの話から聞きたいから」
慌てて見つめると、彼女の頬はいつも通りに染まった。
仕事の時の凛とした彼女とは、少し違う。
自分の感情を何処か持て余し気味の、少女のような表情(かお)。
彼女は一度瞼を閉じると、意を決したようにこちらを見た。
「さっき阿久津さんとお話しました」
そっと頷く。
「少し大きな仕事を来年から任されると言う話があって
 …チーフディレクターとしてやってみないか、と言うことでした」
彼女はコーヒーカップを取り上げ、口をつけた。細い眉をしかめる。
「それで…?」
微かな予感がした。
「来年はしてみたい仕事があるんですって、お断りしました。
 毎週枠の番組のチーフディレクターになってしまったら、
 その仕事、出来ないですから」
「…どんな仕事か、聞いてもいい?」
ゆっくり優しく見返した。
いつか鷺坂さんが言っていた。
『ウサギは追いかけると逃げる』
だから、ゆっくり優しく、包むように。
「…大祐さん、解ってるでしょ」
「言葉にしなければ解らないこともあるよ」
「……ある人の『奥さん』と言う仕事をしたいからって言ったら、
 阿久津さんに一時間も叱られました」
思わず頬が弛む。
「持って回った言い方するなって。『お前は歩く信号みたいに
 解りやすいヤツなんだから、初めから素直になっとけ』って」
ふと窓を雨が柔らかな音を立てて、叩き始めたことに気付く。
目の前の彼女の頬も次々と雫が濡らしていく。
「わたし、多分この仕事辞められません。
 今回もこんな方法でしか、大祐さんの大好きな空を守ることが
 出来なかった。もっともっと普通に側で支えられたらいいのにと、
 いつも思うのに」
もう我慢の限界だった。
手を伸ばして抱き締める。
彼女の髪の匂い。
小さくて華奢な背中。
温かな頬。
たった二週間、どれだけ焦がれていとおしかっただろう。
「結婚しよう、リカ」
「…………ハイ」
背に回された小さな手が、きゅっと力を籠めるのが解る。
雨音が大きくなる。
雨に囲まれて、世界に二人きりのような錯覚を起こしながら、
彼女の髪を撫でた。
二年以上前、松島でも撫でた彼女の髪。
 
 
 
しばらく二人、動かずにそのままだった。
長い時間にも感じたが、もしかしたら飛行機が空を飛び立つ
瞬間ほどの時間だったかもしれない。
僅かに身動ぎした彼女を少し離して、掌で頬を挟んで言った。
「例えジャガイモが三分の一になっても、ハンバーグが真っ白になっても、
 ウサギりんごがカピパラになっても、一生僕の側にいてくれる?」
「…ヒドイ」
彼女は涙で顔をくしゃくしゃにしていたが、
今までで一番自然に優しく微笑んだ。
「現実は後から付いてくるから辻褄は後で合わせればいいって。
 …片山さんの座右の銘らしいけど」
「片山さんらしいですね」
「…君が仕事を続けるとなると、心配なことが一つ」
「なんですか?」
彼女は真剣な表情になった。
「君が良い番組を作る度に飛田さんみたいな男が、
 君の側に近付くのかと思うと」
「……飛田さん?一体何を言われたんですか?」
溜め息が出た。
でもだからこそ、愛しくもなり、手放したくなくなる。
「いいよ、別に。それより一晩中リカのこと『撫でてて』
 いいんだったら、それも我慢することにする」
「…………です」
小さな声。
「何?」
「……いです」
「もう一度」
「…っもう!」
叩こうとする彼女の手を掴んで、少し強引に引っ張った。
「もう限界だから」
重ねる口唇からそのまま互いの熱で溶けてしまうような、
そんな気がした。


 
晩秋の雨は一晩、振り続いて都会の喧騒から二人を隠しているように思えた。



※初め、空井くんがバリバリリカちゃんを追っかける話に
するつもりが、書いてみると『アレ~?』な感じに。
意外としっとりな?お話になりました。
このあとイチャラブなお話を鍵付きで(*^。^*)
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次女妊娠中にQEDにはまりました。
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……なんじゃ!このネタ!?と
思ったら、目をつむって十数えてなかったことに
して欲しいです^^;
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