タタ奈々と空稲で二次してます。
どちらのジャンルも原作設定をメインとしております。
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蒼太の高校生の頃のお話を書いてみました。
郁ちゃんも突っ込んでた、どうもヤンチャしてた頃の蒼太。
一体何を悟ったんだか。
そんなあたりを書けたらいいなと思いました。
つい色々聞いていた飛行機裏話、現場話で書きたいことが溜まり、フィクションとしてそんなことも出していけたらと考えています。
お話は続き記事からです。
郁ちゃんも突っ込んでた、どうもヤンチャしてた頃の蒼太。
一体何を悟ったんだか。
そんなあたりを書けたらいいなと思いました。
つい色々聞いていた飛行機裏話、現場話で書きたいことが溜まり、フィクションとしてそんなことも出していけたらと考えています。
お話は続き記事からです。
◆◆◆
いつものように高校から自宅までのの道程を、自転車で通り過ぎた。
各務原運動公園で軽くブレーキをかける。
父の転勤に付いて行く事に抵抗がなかった訳じゃない。
今まで東京から離れたことのなかった自分としては、本音で言えば不安要素の方が多かったからだ。
けれどもこの公園から見える戦技研の航空機の魅力には逆らえなかった。
初めて自分を岐阜に連れて来た父は、横目でこちらを見ながら、ニヤニヤしつつ話した。
「良いだろ?本当はお母さんも連れて来たいんだけど。今はチヌークに変わる新たなヘリを川重が中心になって、開発中だけど、戦闘機も試験飛行で毎日飛ぶし」
「うん、ヘリもカッケーよな。引っ越し前に行った陸自の北宇都宮の駐屯地祭良かった」
「陸のヘリは機種そのものが老朽化してるからな。国産で開発されたものもあるけど、事故で使えなくなって、その後政治的な事情で運用が再開にならなかった。隊員の工夫や心遣いで何とか動いてる機体も多いから、その気合いが見えるんだろう。何だ、蒼太は回転翼希望か?」
「それも悪くないね」
「生意気だな」
父はまたニヤニヤと微笑うと、轟音と共に上がるF-4を見上げた。
国内に岐阜にたった一機残されたと言う、かなり年季の入った機体が空に上がる。
それでもひらりと機体を翻し、F-4は青い空に吸い込まれて行った。
高校では部活に陸上を選んだ。
短距離も遅い訳ではなかったが、ロードワークも嫌いではなかった為、競技種目は800mを選択している。
朝夕と黙々とトレーニングに集中出来るのは、まだ友人の少ない身としては、少し助かっていた。
部活を終え、各務原運動公園で自転車を止める。それはいつも通りのことだった。
丁度ナイトフライトの始まる時間帯で、しばらく航空機の上がるのを見て帰るのが日課だったからだ。
それが終わってスーパーで買い物して、帰宅すると、大体父も帰宅していて、二人で夕飯を食べるのが日課になっている。
いつもは公園には一人きりか、または多少航空写真を撮るアマチュアカメラマンがいるくらいなのだが、今日はやけに場違いな人影が立っていた。
彼女は喪服姿だった。
後日聞いて見たところ、どうしても帰宅したくなくて、ぼんやりと飛行機を見ていたと言う。
ぼんやり見るには随分と爆音も良いところな機体ばかりだったけれど。
あまりに場違いな気がして、つい空よりも彼女に目を向けた。
「…何か用ですか?」
こちらの不躾な視線に、ようやく気が付いたらしい。
「あっ…、どうもすみません。つい、こんな時間にこの公園に女性が一人で立っているのは、珍しいから」
「あら見た目の割には礼儀正しいのね」
彼女の声は表情程微笑ってはいなかった。
まあ、それは仕方ない。
相手は制服を来た学生とは言え、日の暮れた時間帯に異性にじろじろと見られたくないだろう。
長い髪は全く乱れのないストレートだ。脇を複雑に編み込んでいるが、後ろは流している為、風にさらりと靡く。
大人びた雰囲気だが、それは喪服だからだろうか?整った顔立ちは、割と自分に近い年齢のようにも感じた。
「へえ、貴方岐阜高校の生徒なのね。何年生?」
「…一年」
「でも地元民じゃないわね。私と同じで此処の言葉じゃないわ」
「昨年末に越して来たばっか。親父の転勤に着いて来たから」
「お父さん、自衛官?」
「…そうだけど」
彼女のやや棘のある声音に、少し反発を覚えたが、父からも母からも、幼い頃から父の仕事に関して何か言われても聞き流すようアドバイスされていた為、何気ない風を装う。
「珍しいのね。この年齢になって父親の転勤に着いて来るなんて。余程仲の良い家族なのかしら」
「お袋は東京で一人暮らしだよ。二人とも自立して仕事してるし」
「貴方負けず嫌いね」
彼女は初めてこちらを見て、華やかな笑顔を向けた。
負けず嫌い…一体どちらが。
年下相手に、彼女は一歩の妥協もするつもりはないようだった。
「…じゃあ、俺帰るから。貴方、かなり参ってる感じの表情してたから、声かけただけ」
もう一度振り向きたい衝動を抑えて、自転車の方に向かった。
「……そうね。ありがとう」
予想もしなかった言葉に、せっかく抑えていたのに、思わず振り向いた時には彼女は背を向けて、反対方向に向かって早足で歩いていた。
その背中は喪服なだけに、すでに日の暮れた風景に紛れてしまった。
「蒼太、あのー夏休みなんだけど」
帰宅したら親父から留守電が入っていて、今日は残業になるとの事だった。
NNKテレビのドキュメンタリーの撮影があるとかで、仕事が長引いたようだ。
父は相変わらず広報の分野で頑張っている。
一度、広報とは全く違う補給の部署に異動になっていた事もあるのだが、岐阜基地の渉外室長自ら、父をヘッドハンティングに来たとか来ないとか。
父の岐阜への異動を機に、今迄一緒に暮らしていた母の元を離れて、父と三年間生活を共にする事にした。
自分自身の意志だった。
母もテレビ局などと言う、ブラックを通り越している業界に勤めているから、メールにせよ電話にせよ、せいぜい一週間に一度、連絡があるかないかだ。
まあ、連絡がないのが元気な証拠で、あまり寂しいとは感じた事がない。
その母が夜の9時などと言う、普通の勤め人のような時間に電話をかけて来たので、その事に驚いてしまった。
母の会話は、ストレートに用件から始まる。
「夏休み、こっちに帰って来る?」
「え…どうしようかな」
「松島の航空祭、今年こそ行くんでしょ。確か築城のライトニング部隊がスペマで来るのよね?」
母の航空祭の情報は航空マニア並みである。
「今年はちょっとお金足りないから、バイトしようかと思ってるんだけど」
「あるわよ!バイト‼︎しかも高額の」
「はい?」
「蒼太、貴方CM出る気ない?」
「は?」
「緊急に、細身で筋肉あって、鎖骨細くて、適度に顔の良い20歳までの男性募集なんですって」
「………」
「バイト代、五万円ですって。それなら、新幹線で前日から行けるんじゃない?」
「…やる」
「そう。じゃあ明日CM制作会社の担当プロデューサーに話しておくわね。あー、良かった!これでスポンサー側の営業マンに紹介して貰えるわ」
「なっ…、俺のこと売ったな」
「売れる顔に生んだのは私よ。詳細はまた後で。おやすみなさーい」
………用件だけ言って切るのも相変わらずの母だった。
そろそろ高校生活最初のテストシーズンがやって来る。
航学を狙う身としては、引っ越したからと学力を落とす訳に行かず、自分としては必死にテスト勉強に努めた。
だが学校帰りに飛行機を見に立ち寄る魅力に勝てず、つい毎日1時間は基地近くの公園で過ごしてしまう。
それでも時間は無駄にせず、スマホに入れた英語の講座をイヤホンで聞きながら、飛行機が飛ぶのを眺めていた。
今日は輸送機が殆どだ。
「余程好きなのね、飛行機」
聞いた事のある声に振り向くと、先日の喪服の女性が立っていた。
今日はパステルブルーのキャミソールとカーデガンに、ジーンズだった。
「貴方は近所に住んでるの?」
「……今だけね」
「今だけ?」
「この時期だけ。昔この近くに住んでたのよ。父が亡くなったので東京に引っ越したけど。母は東京の人だったから」
「ふーん」
「貴方は飛行機自体が好きな人?それとも操縦したい人?」
彼女はじっとこちらを見ていた。
唐突だが、結構真剣な気持ちで聞いてるらしい。
「一応パイロット、目指してるけど」
「そう、操縦したい人なのね」
彼女はひと息つくと、俯いた。
何かじっと考えているようだ。
「…怖くないの?」
「そりゃあ、空飛ぶんだし」
「飛行機ってね、パイロット一人じゃ飛ばないのよ。整備してチェックして、最後にもう一度チェックしてから飛ぶの。貴方その人達信じられるの?」
「な……」
喧嘩売られているのかと思ったが、此方を見ている彼女の眼差しは、初めから真面目なものだ。
「…ごめんなさい。分からないわよね、突然聞かれても。貴方、名前は?」
「……何で知らない人相手に名乗らなきゃならないんだよ」
「あら、貴方だってさっき家が近くか尋ねたじゃない。良いわ、私から名乗るから。私、沢渡梨沙。その少し先の信号の近くの美容院に勤めてるの。貴方、前髪随分伸びてるわね。そんなに見にくそうだと、自転車もロクに運転出来ないわよ」
名乗っても口が減らないらしい。
「空井蒼太。確かにそろそろ、切るかな」
「学生相手だし、安くしといてあげるわ。じゃあ、休憩終わっちゃうから」
彼女は言いたいだけ言うと、さっさと踵を返した。
女って、何でこう自分の感情そのままなんだろう。
母と言い、幼馴染みの槙由梨花と言い、今のーーー沢渡梨沙と言い。
何故か敬遠された小学校時代と、人によってはやたら付きまとわれた中学時代。そして今になっても異性である女性は、自分にはまるで分からない。
気紛れにしか見えない言動は、振り回されるだけと分かれば、あえて付き合う気になどならないのだ。
こちらに来てから出来た友人たちは一様に『お前は天然資源の無駄遣い』と笑うが、わざわざ休日に名古屋までナンパに行くのか全く理解が出来なかった。
それは昔ーー仄かに側にいたいと感じた女性(ひと)がいなかった訳ではないのだが。
憧れだけで終わったそれは、周囲の女性への評価が変わる程の化学変化は起こさなかったのだ。
そんな強い感情の変化などーーいらない。今の自分はやがて来る将来への準備だけに、真っ直ぐ向かっていた。
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次女妊娠中にQEDにはまりました。
当然ですが、原作者および版権元様とは
一切関係がありません。
閲覧に関しては、個人で責任を負ってください。
著作権も一応手放してはいないので、
ご利用の際はご一報下さい。
……なんじゃ!このネタ!?と
思ったら、目をつむって十数えてなかったことに
して欲しいです^^;
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