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タタ奈々と空稲で二次してます。 どちらのジャンルも原作設定をメインとしております。
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少々間を開けての更新になっていて、すみません(^_^;)

10月から生活が変わりまして、毎日あっち行ったりこっち行ったりの、忙しい日々を
過ごしています。

またまた南海上で台風が発生したとかで、今年は一年の終わりまで気の抜けない
お天気だなあ~と溜息が出ますw
何と言っても、うっかり飛行機に関わると、お天気は何よりも大事。
航空祭でブルーが飛ぶかどうかがある意味とても大事だったりして、非常に
ヤキモキした一年になりました。

なので常日頃もしかしたらと考えていたことを書く為に、じゃーん!
またしてもタタルさん登場ww
久しぶりのQEDと空飛ぶのコラボネタになりました。

日本人の神様観って、なにせ八百万だしええ加減なようにも思えますが、
意外に掘り下げてみると、奥の方に大切な物を抱えていたりするんですね。
それは自然と共に自然から恵みを頂いて、生きてきた人たちの知恵なのかな~
とも感じます。

饒速日命を飛行神社の神様にした時代は大正で新しいモノの、ご祭神を決めた方は
よく神様の機能する所を知っていたのかな?とも思います。
『QED伊勢の曙光』によると、太陽神アマテラスと饒速日命はある意味で同体と言って
良い神様な訳で、饒速日命=大物主は海の向こうから海を照らしながら
やってきた神様。そして同乗者は思金神。思金神は日本神話の中で、エジプトの
月の神トト神のような役割をしていて、大変な知恵者です。
気象神社の祭神を決めた旧陸軍の方は、お天気はおまじないだけでなく、知識の
蓄積で予測できると、よく分かっていたのでしょうね。


前置き長くてすみません(^^ゞ
お話は続き記事からです。

拍手[4回]



◆◆◆

台風シーズンを抜け、大気が澄んで青空の日が続くようになった。
入間基地航空祭が近付いて来た。
偶々平日に休みが取れたので、息子の蒼太を保育園に預けず、航空祭の訓練飛行を見せる為、住んでいる花小金井と同じ沿線にある狭山市まで出かけることにした。



「今年はスペマ飛ぶんだよね」
息子は途中書店で購入した専門雑誌を見ながら、ウキウキしている。
「今年は入間基地60周年だからね。一昨年異動になっちゃったから、お父さんは関われなかったけど」
2016年付けで、幸いと言うかあまり今の住まいを離れずに、立川市にある補給処の方に異動になっているが、偶に任務の関係で入間基地にも来る機会があった。
入間基地は戦後アメリカの接収を経てジョンソン基地となっていたが、1958年に中部方面航空隊により入間基地として開設された。
今年、2018年は開設60周年に当たり、木更津から1968年に移動になった第2航空輸送隊も60周年になる。
この度、隊の中でも式典が行われ、そろそろ新しい国産輸送機c-2との交代を見込まれるc-1に、特別な塗装を施すことになっていた。
デザインは空自50周年の時に候補に上がったデザインが採用された聞き、入間の渉外室時代、ボツになったデザインの模型を見てぜひ本物を見たいと思っていた自分は、居ても立ってもいられず、早速の平日休みに3歳になる息子を連れて、狭山市駅にやって来たのだった。

今日は空も高く感じるほど、良く晴れている。
正に飛行機日和だ。
今年は夏がやたらと熱いかと思えば、9月に入った途端に震災や台風が起き、自衛隊も出動が続いた。
天気も不調の日が多く、各地の航空祭の天気が危ぶまれ広報の隊員はかなりヤキモキしたと、今は松島に異動している比嘉さんからもメールが来ていた。

松島の航空祭は今年、ようやく7年ぶりに一般開放したので、ドルフィンチームを初めとして裏方の渉外室も相当張り切っていたのだが、残念なことに午前中雨が降ったり止んだり。
ブルーの展示飛行はひとえに気象隊の、鋭くポイントを狙った指示あってこそ、無事行われたのだとか。
入間は毎年雨の降りにくい11月3日が固定で、しかもこの地域はどういう訳か雨雲が避けて通る事が多く、航空祭は『てるてる坊主要らず』の異名を取っているとか、居ないとか。
今年はやや不安定だけど、当日は晴れると良いなあと、思わず電車の中からも空を見上げてしまった。



「パパ、早くー!」
気持ちが迅るのか、小さなリュックを背負った背中を見せて、蒼太は駆け出した。
入間川ゴムの工場の辺りまで来ると、ランウェイ17から上がる飛行機が、結構迫って来るように見える。
狭山市内の自衛隊機を見るスポットは主に二つだが、子連れだと近くまでバスの通っている入間川側のスポットが、歩く距離も少なくトイレも近くにある為、便利だった。

これは入間基地勤務中に基地内をロードワークに出ていて、柵外の航空ファンから教えられたことでもあった。
車の通れない基地の柵沿いの道に入ると登り坂だが、息子の歩くスピードは落ちない。
これは帰りは抱くか負ぶうかしないとダメだなと感じた。
飛行機がかかった時の息子は鉄砲玉で、飛行機好きは自分に似たものの、その行動は思い立ったら即行動の妻に良く似ていた。


フェンスが道を塞いだ所まで来た。
隣の区画には小さな公園もある。
今日はどうもその記念塗装を施したc-1が飛ぶらしく、先に脚立を立てた航空ファンが何人か撮影をしていた。
「スペマ、あれ?」
蒼太の指さす先には駐機してる赤白の派手な塗装のc-1があった。
横から見ると錦鯉にも見えなくもない。
全体的には歌舞伎の隈取りをイメージしたデザインだが、赤、白、黒の三色で押さえられた機体は、モダンな雰囲気もあり、なかなか洒落ている。

「すっごいなー!」
最初雑誌で写真を見て目を丸くしていた蒼太は、手放しで喜んでいた。
「歌舞伎の隈取りを機体に施すとは、自衛隊も洒落た考えをするものだな」
ふいに低い声が耳に入り、息子の横にいつのまにか立っていた、自分と同じくらいの背丈のかなり痩せ型の男性を思わず見つめた。
年齢は50代?
髪の毛ボサボサで年齢が分かりづらい。
息子も怪訝な表情でその人物を見上げた。
「隈取り…そもそも化粧には魔除けの意味合いがある。歌舞伎で白地に赤の隈取りを施すのは勇敢な役柄や、正義を貫く役柄に多い。本来なら目立たないよう塗装をするのが軍用機の役割だろうが、あれは何か記念の塗装なのだろう」
「あ、……はい。第2航空輸送隊が60周年の記念で」
男性がこちらを振り向いた時に、アレ?と記憶の片隅に引っかかる物を感じた。
「貴方……何処かでお会いしてませんか?」
「鎌倉では、な…妻が君に世話になったようだ」
「……あーっ!?」

思い出した。
そうだ。
鎌倉に妻のリカと初めて二人きりで一泊旅行した時に!
あの時リカと一緒に田島屋の二階で、強盗に人質にされていた人ではなかったか?
「確か桑原奈々さんのご主人の……祟る?」
「いい加減そのアダ名で呼ばれるのも、相応しくない年齢なんだが、妻も未だにその呼び名で呼ぶので」
男性はしかめ面だった。
無理もない。
この瘦せぎすな年配の男性の、本当の名前は『桑原崇』と言うそうだった。
「失礼しました…」

しかし鎌倉で四年以上前に顔見知りになった彼が、今日はまた何故ここに?
フェンスに張り付いて飛行機を見ていた蒼太が、すっかり僕の背中に隠れてしまった。
確かに蒼太が普段顔を合わせる中には、居ない種類の大人だ。
「息子さんか。母親に良く似てる」
ボサボサ髪の向こうの瞳が、微かに笑ったように感じた。
「桑原さんは何故今日こちらに?」
どう見ても此処で脚立を立てている航空ファンと、同じ目的には見えない。

「入間川にある八幡神社と稲荷山にある博物館が目当てで来たんだが、ついでに通称ひな壇とか言う、この場所の確認に来たんだ。君はこの場所が何故ひな壇と言うのか、知っているか?」
「それは確か……」
入間基地に在任中、地元出身の曹官級の整備士の先輩から聞かされた話を思い出した。
「昔に此処の場所が広場だった頃に、お雛様の段飾り用の壇のようなベンチがあったらしくて。自分も未見なのですが」
「……なるほど。そんな理由だったのか。深く考え過ぎた。やはり物事は現場に行かなきゃ分からない事は沢山あるものだな」
桑原さんは腕を組んで溜息をついた。
この人、どう見ても怪しいのに、こんなポーズを取ると妙に似合う。もし髪型がもう少し何とかなっていたら、結構ハンサムなのかもしれない。



気が付くと記念塗装のc-1はタキシングし始めていた。
蒼太も恐る恐る背後から出て来て、フェンスの向こうを見つめている。
今日はランウェイ17の上がりなので滑走路に向かうc-1は、悠々と動いて彼方からエンジン音を響かせていた。
「かっけー!」
バイバイと上がる機体に息子は手を振った。
「君は日本の航空機の神様を知ってるか?」
「……知ってるよ。えーと、ニ、ニギハヤとか言う名前だったよね」
「流石だな」
男性はまた笑った。
蒼太も今度は臆さず、桑原さんを見た。
「饒速日命が何故航空機の神なのかは?」
「えっ?えっとー、確かママが、飛行機に乗って来た神様だからって」
「それも正解。饒速日命が乗って来た乗り物は天鳥船と呼ばれている」
「船?」

親子で声を揃えて尋ねてしまった。
どう見ても怪しいのに、うっかりと言うべきか桑原さんの話につい取り込まれている。
奥さんの奈々さんも、ある意味でマイペースな人柄だったが、ご主人の方は独特の雰囲気があり、しかも他人をつい巻き込むような妙な説得力があった。
「京都にある飛行神社では、その理由から祭神として大阪府交野市にある磐船神社から勧進したものとなっている。……ただ」
二機目の普通の迷彩柄のc-1が轟音を響かせてテイクオフした為、桑原さんは言葉を切った。
飛び立つ飛行機を見送って、僕も蒼太も話を促す為桑原さんを見つめた。
「饒速日命にはもう一つ名前がある」
「名前が二つあるの?」
「そうだ」
蒼太はすっかり桑原さんのペースだ。

「櫛玉命とも言うが、正式には天照国照彦火明櫛玉饒速日命、だ」
「あま、てる。くに、てる??」
「君たちの良く知ってる神様に名前が似てないか?」
「…アマテラスオオミカミ、ですか?」
「わかった!てるてる坊主だ」
僕と蒼太は同時に答えて、顔を見合わせてしまった。
桑原さんは、押し殺したような声でクックッと笑い「すまなかった」と一言言ってから、また話し始めた。
「君のお母さんも察しの早い人物だったが、君たちも例に漏れないようだ。天照大御神は何の神だかそれは知ってるだろう?」

桑原さんは僕を見た。
「太陽神ですよね?確か月の神と姉弟でなかったでしたか?」
「うん、そうだ。だがそれはまた別の時に」
え、今日以外にまた会うことがあるだろうか?
僕が口ごもっている間に、桑原さんは蒼太を見て話した。
「てるてる坊主は何をお願いする為に作る?」
「晴れ!…あ、そうか。晴れるにはお日様いるよね?」
「『照る』神なのに、何故坊主だと思う?」
「えーー?」
蒼太は目が点になってしまったが、その後うーんと考え始めた。

「昔は徳の高い…偉い僧侶、お坊さんの事を聖(ひじり)と言ったんだ」
「高野聖の聖ですか?」
僕は答えたが、何だか思わぬ方向に話が向かっている。
桑原さんは何を話そうとしているのだろう?
着地点がまるで見えない。
このまま会話を進めるしかなさそうだ。
確か妻のリカの話では、田島屋の二階の喫茶店に三人組の強盗が入った際に、この桑原さんは、見た目からはまるで予想の付かない冷静さと方法で、人質全員を安全に警察が来るまで守ったのだと言う。
TV局の同僚を通して、犯人の隙を見て警察に通報したのは妻のリカだが、彼女が言うにはその行動さえもこの人物の手の内だったかもしれないと言う。

「ひじりーーは日を知ると書いて『日知り』に通じる」
「日を…知る?」
「現在の職業に当てはめたら、気象予報士が近いだろうな」
「……!」
確かに安全なフライトには、天候の確認は重要な要素だ。
故に基地には気象隊があり、昔からのデータが蓄積されている。
飛行の神と天気の神は同じ?
でも…確か。
「気象神社ってありましたよね?」
「杉並区の氷川神社の中にね」
「あれは確か陸軍の管轄で建てられた物だと聞いていましたが、主祭神は饒速日ではなかったと記憶していますが」
「そうだ、八意思金神と言う名だ。饒速日が天鳥船で来た時に一緒に乗っていた神だ」
「一緒に?」
「天鳥船が飛行機だったのか船だったのかは、ここで言うべき事ではないが、昔から人は安全な航行には、きちんとした気象データが必要な事が分かっていたって事だ。陸軍も良く分かった上で祀ってたのさ」
じゃあ…。
空幕広報室にもあった、あの饒速日命を祀った神棚に僕達が祈っていたのは。
「お天気良ければ、ちゃんと飛んで、ちゃんとたどりつくもんね」
なかなかはにかみ屋で出会ったばかりの人には笑顔にならない(そんな所も母親似だ)蒼太が、ニンマリと笑った。



空を飛ぶ人達の安全。



僕達が祈っていたのは、正にそう言う事だったのだ。


「飛行神社の祭神を決めた人物も、気象神社の祭神を決めた人物も出鱈目に神を選んだ訳ではないって事だな」
桑原さんも蒼太を見てにっこりと微笑んだ。
……これってもしかしたら珍しい事なのでは。
「今日はこれくらいにしておこうか。アマテラスが関わると、この先息子さんに話して聞かせるには少々不吉な話題になる。……妻に叱られるかもしれない」
桑原さんはボサボサと頭を掻いた。
もしかして結構恐妻家なのだろうか?
「君はパイロットになりたいんだろう?それは見れば分かる」
確かに。
さっきから上がって行く飛行機のフライトを見つめる蒼太の瞳を見れば、誰にでも分かる事だろう。
「君の安全を祈っている人が必ずいるって事は、知っていた方がいいな」
蒼太はこっくりと頷いた。

「実は10年前に起きた事件があって、その事件に関わった知人が、『ひな壇、9:10』とメモを残して亡くなったんだ。ずっとひな壇の意味が分からず、事件だけは解決してしまった。彼は写真撮影が趣味で、鳥や航空機が良く被写体になっていた。これでこの場所に良く来ていた事が確認出来たよ。ひな壇なんて思わせぶりな名前が付いていたものだから、当時はひな祭りから七夕まで、また調べ直してしまったんだ。やっとスッキリした」
桑原さんは大きなため息をついて、踵を返した。
「君たちのおかげで、知人も安心して眠りに付けるだろう。ありがとう」
「え?…いや」
僕は何もしていない。
でも…。
初め桑原さんは神社と博物館が目当てで、狭山市を訪れたと話していた。
もしかしたら故人の、その亡くなった理由が腑に落ちなくて、この場所を確認に来たのではないだろうか。
意外に情に厚い人柄なのかもしれない。



「ねえ、パパ」
帰りの西武新宿行きの急行で蒼太が言った。
「僕、帰ったら山ほどてるてる坊主作る」
「うん?」
「だって入間の航空祭まであと2週間くらいだし、やっぱり青い空がいいもんね」
「そうだね、そうしようか」
良く基地の中や海自の護衛艦の中に神社があるのを不思議に思われる事がある。
でもそれには、海や空に関わって来た人の多くの願いが込められていた。
決して自分たちは的外れな所に、祈っていた訳じゃないんだ。
不思議な人物だったな、桑原さん。
リカも話していたが、ちょっと簡単には忘れられない人物になりそうだ。
じきに隣に座った蒼太が、すーっと寝息を立てているのを見て、僕も夕暮れを走る列車の中で思わず笑顔になっていた。
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次女妊娠中にQEDにはまりました。
当然ですが、原作者および版権元様とは
一切関係がありません。
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著作権も一応手放してはいないので、
ご利用の際はご一報下さい。

……なんじゃ!このネタ!?と
思ったら、目をつむって十数えてなかったことに
して欲しいです^^;
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