[4回]

奈々　：思ったよりも事件、早く解決しましたね。

タタル：君といた、紺のダッフルコートの男、

　　　　彼の婚約者がテレビ局の人間だったから、話が早かった。

奈々　：ああ！綺麗な方でしたね。

タタル：典型的な当帰芍薬散の証だったな。

　　　　ただ沙織くんと同じで少しせっかちかもしれないが。

奈々　：婚約者の空井さんは自衛官だそうですよ。

　　　　元パイロットだそうです。足を手術されたとかで…。

タタル：Ｐ免になったのか…(ぼそり)。

奈々　：Ｐ免？

タタル：戦闘機のパイロットや宇宙飛行士は、体に大きな傷痕があると、

　　　　なることは出来ない。傷口が気圧の差で開いてしまう。

奈々　：…まあ。じゃあ、空井さんは。

　　　　でも真っ直ぐで明るい方でしたよ。

タタル：良いパートナーに恵まれたからだろう。

奈々　：そうですね。

　　　　自転車漕ぐのもとても速くて。流石男の方だなあって。

タタル：……君が後ろに乗ったのか？

奈々　：はい。悪いなあとは思ったんですが、その方が絶対早いからと。

タタル：…………変わろうか？(←ただ今二人乗り中。)

奈々　：大丈夫ですよ。この坂道、学生時代によく登りましたし。

　　　　それにタタルさん、今朝も八幡宮のあたりで息切れして、

　　　　交代したじゃないですか。

　　　　大丈夫です、タタルさん(男性としては)軽いですから。

タタル：…………(読んでいる本に目を戻す)