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タタ奈々と空稲で二次してます。 どちらのジャンルも原作設定をメインとしております。
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すみません、拍手沢山いただいてるのに
なかなかお返事が出来ません(>_<)

明日の更新でさせて下さい。

昨日は子供ネタで、今日はまだ広報室時代の空稲。

空井くんの天然に振り回されたのは、
リカちゃんだけじゃないのでしたw

Jr.もこの天然人たらしな所は似るんでしょうかね~。
似るんだろうな…。


小説は続き記事からです。




拍手[12回]





◆◆◆



「空井くん。今夜飲みに行こうと思うんだけど開いてるかな?」
隣の席の比嘉さんから突然呼び止められた。
腕に帝都テレビのディレクター、稲葉リカから頼まれた
山のような資料を腕に抱え、デスクに向かう途中だ。
「すごいね…空井くん。歴代広報室の企画書?
 これは僕も知らない時代だ」
「稲葉さんが、広報室の歴史と言うか、どんな企画があったか
 知りたいって言うので。…自分も勉強になりますし」
「うんうん」
目の前の比嘉さんはニコニコ顔だった。
いや…それ以上に何かあるような気がする。
「稲葉さんも最近笑顔で挨拶するしね、いいなあ、若いって」
「ひ、比嘉さんだってそんなに年寄りではないじゃないですか」
「うーん、でもねえ、情熱と言うかねえ。
 もうそう言う気持ちで生活そのものが、潤うってないなあ」
「潤う…?」
「そうそう」
こちらが全く趣旨を飲み込めないうちに、比嘉さんはニッコリ笑顔のまま、
「じゃあ、いつもの居酒屋さんで。もし稲葉さんと時間外で飲むなら、
連絡下さい。そうしたら片山さんと飲むから」と、言い去って行った。
思わず首を傾げたが、手に抱えた資料が落ちそうになり、慌てて前を向く。
すると小さな白い手が、さっと指先で一番上のファイルを支えた。
「わたし持ちます」
「あ、稲葉さん。お疲れ様です」
彼女――稲葉リカは頭を下げる間もなく、抱えていたファイルを半分程、
自分から取り上げた。
「大丈夫です。女性の方にそんな」
彼女はくるりと振り向いて行った。
「局では男も女もありません。報道では特にそうでした。
 こちらだって柚木さん、この間来た時はものすごい大きなごみ袋抱えて、
 捨てに行ってましたよ」
「や…柚木さんは」
柚木三佐に『女性には無理です。自分がやります』なんてうっかり言ったら、
頭の上からガツンと拳固が落ちるか、下腹を思い切り蹴られそうである。
「それに稲葉さんは来客です」
やっと尤もらしい理由を思い付いた。
そう思ったのに彼女の口はへの字に結ばれている。
「わたしが…持ちたくて持っているんですっ」
そう言うと彼女はスタスタと広報室に早足で行ってしまった。
「ふーん、フウウン。青春してるじゃねえか。少し年いってるが」
「失礼ですよ、片山さん。稲葉さん、二十五より前です」
向かいからやって来た片山さんから、通りすがりに強めに肩を叩かれる。
「バカだな。お前のことだよ、空井二尉」
「え…」
「あんまり春を見せつけんなよ、既婚者には目の毒だからな」
「……?」
指差して言われたものの、曰くありげな視線はどちらにしても
いつもの片山さんだった。
 
 
 
「あれ?今日のコーヒー美味しいですね」
応接用のソファで資料のファイルを捲りながら、
彼女はコーヒーカップを置いた。
コーヒーカップ、と言っても空幕広報室のそれはプラスチック製だ。
「稲葉さん、ステラバックスのコーヒーの味がお好きだって
 言ってたでしょう?この間自分がコーヒーを買いに行く係だったんで、
 どうせならと思って」
「――――」
見てみると、彼女の顔は真っ赤だった。
「ええと」
釣られて自分も赤くなって…いる気がする。
「これ、十五年前の資料です。IT革命なんて言葉が流行って、
 空自でもウェブを利用した広報を始めた頃なのでしょうが…」
「この十年でとても変わったんですね。広報に使われてる写真も、
 どんどん画質が良くなってるし」
「自分たちの年代は当たり前だけど、デジカメが利用されるのが
 当たり前になったのもこの当たりでしょうか」
「そう、そうですよね。父が使い古したカメラがあるんですが、
 わたしフィルムの入れ方が初め解らなくて」
「ウチのお袋は、未だにDVDの録画が解らないみたいですよ」
「うん、いいねえ。いいねえ」
「あ、鷺坂さん、お邪魔しています」
彼女は立ち上がると室長室から出てきた、鷺坂室長に丁寧にお辞儀をした。
「稲ぴょんも空井も十分に楽しんでね」
鷺坂さんはポンと肩を叩いた。
「え…自分もですか?」
「『空井が』でしょ」
「…………」
ふと気になって向かいの席の彼女を見ると、
興味を引かれるものを見つけたのか、資料に没頭して、
こちらの話は聞いていないようだった。
 
 
 
「空井くん、此方」
混み合う市ヶ谷駅近くの、和風居酒屋では、
四人掛けの席に比嘉さんと片山さんが座っていた。
「ゴメン、片山さんも来ちゃった」
「そこ謝るポイントなのかよ」
片山さんは通りすがりの店員に「中生二つ」と、注文するとこちらを見た。
「まあ、座れよ。ノロケだろうとエロ話だろうととっくり聞いてやるから」
「え?」
「まあまあ、片山さん。お手柔らかに。空井くん、今日稲葉さんは?」
「五時に局に来客があるとかで帰られました」
「そうなんだ、残念だったね」
「は?え、ええ。そうですね。稲葉さん、残念がってました。
 色々と昔の広報の企画で面白いのがあって。
 焼き直せるんじゃないかと、稲葉さんも張り切っちゃって」
「うんうん」
比嘉さんは昼間と同じニコニコ笑顔だ。
でも何故かそのまま自分が、話していいものか気になった頃、
片山さんがやけに気合いの入った視線で此方を向いた。
「で、何処まで行ったんだ」
「は?」
「片山さん、今時のコにそんな直球勝負な…」
「え?」
「比嘉っち、遠回り過ぎだろ。男同士は腹はぶち割った方がいい。
 元戦闘機のパイロットなんだし、狙ったら落とすのは仕事だろ」
狙ったら…落とす。
「…で、稲ぴょんとは何処まで行った?まだ外でデートか?
 槙の話じゃ、官舎には連れ込んでねえな?」
「………」
「もー、片山さん。今日は室長からお金も出てるんだし、
 あんまり明け透けな話ばかりじゃ空井くんだって」
「…あの」
急に二人が此方に向かってに乗り出してきた。思わず仰け反る。
「連れ込むって…仕事で自分の部屋に来ても」
「当たり前だ。何で仕事で稲ぴょんがお前の部屋に行くんだよ」
「それは…稲葉さんのマンションまでなら送って行ったことは
 ありますが」
「おお!何時だっ」
「え…懇親会の時です」
「懇親会…って、柚木さんと稲葉さんが泥酔しちゃった時の?」
「それです」
目の前に置かれたビールのジョッキを、片山さんは軽く持ち上げ
「かんぱーい」と低い声で呟いた。
「で?」
「で…?って」
「その夜は?」
「入口まで送りました」
「うんうん」
「あのな、空井二尉。此方は家族持ちで『寿』は家計を圧迫するんだ。
 ある程度予測をつける為にも、素直に吐いとけ」
……『寿』と言うと。
「片山さん、そんな本当のこと言わなくても。
 室長は『平和に秘密を保持する為にも』って言ってたんですよ」
「だからこうやって吊し上げ…じゃなくて、男と男の会話してるんだろ。
 帝都テレビとは、この先も上手くやっていきたい下心もあるんだし」
比嘉さんはため息をつきつつ、徳利を持ち上げた。
気が付いて、すぐに比嘉さんから徳利を受け取り、彼のお猪口に注ぐ。
「…うーん、やっぱり日本酒はウチで飲むに限るかな?――空井くん」
「は、はい」
「稲葉さんとはもう外で待ち合わせくらいは、したよね?」
「つ、次は帝都テレビで会います。自分が営業活動で外回りするついでに」
「…なかなか固いね。片山さんの色っぽい質問からのが良いのかな?」
比嘉さんがびっくりしたように、自分を見た。
「…寝たのか?稲ぴょんと」
「…!ね、ね、ね、ねた…ふがっ」
うっかり声を上げそうな所で口を、隣の席の比嘉さんにがっちり
塞がれてしまう。
「………」
「――片山さん、この様子だとまだ何もないみたい」
「何だよ、お前。俺たち三年以上同じ場所には勤めてられねーんだぞ。
 戦闘機乗ってたんなら、ロックオンしたら、直ぐ様攻撃。
 外さないのが信条だろっ」
あまりに真剣な顔つきに気圧されそうになるが、
何だか理不尽だったので、敢えて反論を試みる。
「さ、先程から何なんですか!狙うとか落とすとか。
 稲葉さんとはそんな間柄ではありませんし、そんな風に見たことはないです。
 稲葉さんにも怒られます」
怒られるだけなら良いのだが。
「…そうかなー」
「そうは見えなかったけど」
二人は一斉に此方に迎い、アルコールを持っていた片手を下ろした。
「稲葉さんは空井くんのこと、好きでしょ」
「稲ぴょんはお前しか目当てじゃねーだろ」
思わず飲んでいたビールを吹きそうになる。
「そ、それは――どうでしょうか?最初あんなことがあったんですよ。
 それに稲葉さんが今『とても興味がある』のは、
 この空幕広報室自体だと思うんですが」
「それはアリだね」
「それは否定しない」
「………」
何なんだろう。
でも自分たち――自分と彼女、稲葉リカはそんな風に見えるのだろうか?
仕事の話しかしていないのに?
自分だって彼女のことは仕事のことしか知らない。
例の――報道から異動した話だって仕事の話だ。
それは…時折ふわりとかすめる髪の匂いや、話す時に思いの外優しく開く口唇を、
思わず見つめてしまう時はあるものの。
「…片山さん、空井くん固まってる」
「まだ先が長そうだな。これだから飛行機オタクは。
 稲ぴょんみたいな『歩くサボテン』か『陸に上がった紫ウニ』には
 丁度いいボケ具合かもしれないが」
「室長の見立ても恐ろしいね~」
 
 
 
官舎に戻ると、彼女に頼まれた資料を思い出し、
ノートパソコンを開ける。
メールが届いていた。
『空井大祐様
明日受け取ることになっていたブルーインパルスの特集の雑誌、
申し訳ありませんが二日後の金曜日は如何でしょうか?
明日突然編集会議が入ってしまい、そちらに伺えそうにありません。
空井さんから、お話を伺うのを楽しみにしていたので、残念です』
「………」
『楽しみにしていたので、残念です』
その最後の部分だけ、何故か繰り返し読んでしまう。
「まさか」
彼女相手に甘い期待は出来ない――はず。
なのに。
何故か嬉しくなってしまい、広報室用にコーヒーを買った時に購入した、
自分用の同じコーヒーを淹れる為に、小さなキッチンへと立ち上がった。
 

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……なんじゃ!このネタ!?と
思ったら、目をつむって十数えてなかったことに
して欲しいです^^;
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