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タタ奈々と空稲で二次してます。 どちらのジャンルも原作設定をメインとしております。
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ハイ、もう復旧の目処が立たないので根性です。
大の苦手なタブレット型端末からの更新です。
我が家は旦那さんが仕事で使うため、ずっとpcないままは
あり得ない家庭ですが、作業出来る状態までに復旧するには
最速でも今月いっぱいかかりそうです。


自分で作ったテクスチャーとかが厄介なんですよねw
何せ自分の記憶が曖昧だから(笑)
上手くデーターが復活することを祈ります。


久しぶりの空稲。
4000字も書いたのにまたまた続きます(^_^;)


拍手、コメントありがとうございます。
お返事は次回更新時にさせて頂きます。
あと、本がスマホからだと購入出来ないと聞きました。
もし、欲しい方、いらっしゃいましたら、拍手コメントでも、
コメント(非公開に設定が出来ます。)でもこちらから
連絡を差し上げても良い、メールアドレスとお名前を記入して
下されば、こちらからメールさせて頂きます。



お待たせしました。m(_ _)m
小説は続き記事からです。



拍手[49回]


◆◆◆



金曜の夜から降り始めた雪は、土曜の朝にはあっと言う間に
首都圏の交通網を麻痺させた。
「ごめん、この連休はそちらに行けないかも」
電話してきた彼の声は、とてもすまなそうな感じだった。
「どうやら基地の管理棟の雪かきの為に、
    出勤しなければならなそうなんだ」
「大変ですね」
「松島では当たり前だったけどね」
確かにたかが20センチの積雪で、トップニュースの扱いは
雪国の人たちから見たら、滑稽以外の何物でもないだろう。
「それじゃあ、24日は大祐さんの帰宅に合わせて、官舎まで行きます。
   それで大丈夫ですか?」
無事、クリスマスイヴとクリスマスに休暇が取れたわたしは、
その二日を彼の部屋で過ごすことになっている。
彼の部屋で彼が仕事から帰るのを待つ。
『待つ』ことが出来る。
それが何よりも嬉しかった。
……いつも待って貰ってばかりだから。
「解った。なるべく定時で退けるようにするよ」
穏やかな彼の声に、ふわりとした温もりと少しときめきを覚えるような
甘さを感じながら、名残惜しく電話を切った。



当日、わたしは途中、夕食を作るのに必要な材料を買い込み、
彼の官舎の最寄り駅の改札で佇んでいた。
まだ先日の雪がかなり残り、陽が落ちると、
辺りの空気は身を切るように冷たかった。
吐く息は当然白い。
街灯の光に反射した雪がぼんやりと明るい、藍色の夜の向こうから、
ダッフルコートを来た彼が此方にやって来るのが見えた。
「リカ」
なんの躊躇いもない声と笑顔が飛び込んで来る。
少し前までは、この彼の曇りのなさが、わたしに苦しさと同時に
愛しさを感じさせていた。
でも今は手放しで『いとおしい』と思える。
わたしの前に立つと彼はぱっと手袋を外して、両手でわたしの頬に触れた。
随分熱い掌に驚く。
「ごめんね、出てくる時、少しトラブルがあって。
    リカの頬、氷みたいだ。早く温めないと」
彼は微笑む。
そうか、わたしの体温が低いから、彼がこんなに熱く感じるのか。
「き、気にしないで下さい。いつも待たせてるのはわたしだし」
「じつは部屋にちょっとプレゼントを用意したんだ」
「何ですか?」
歩き始めた彼の手が、わたしの手を掴む。
「見てのお楽しみ」
彼はわたしの荷物を取り上げた。
「随分重いね」
「夕食…す、少し下拵えしてきたんです。だってお腹空いてますよね?
    早く作れるようにって」
「作るの、手伝ってもいいかな?」
「え…それは」
そうしたら、いつもと同じになってしまう。
「……少しでも、側にいたいだけなんだけど。一ミリでも」
「………」
俯いて歩く彼の表情は見えないけれど、なんだか照れたような様子に、
わたしまで恥ずかしくなってしまう。
「…そ、それなら仕方ないから手伝って貰います」
ククッと彼が喉の奥で微笑ったのが解った。
「リカの自信が表れてるね。楽しみだな」
「……本当にそう思ってますか?」
わたしはわざと聞いてみた。
柚木さんから教えて貰った料理を、実は雪のせいで会えなかったこの連休に、
わたしは一度手順通りに作ってみた。
流石に今までを考えると、ぶっつけ本番は不安以外の
何物でもなかったからだ。
…初めてのメニューばかりだけれど、まずまずの出来だったと思う。
それは指導してくれた柚木さんの的確さと丁寧さのお陰だった。
「思ってるよ。そこを疑われるとは思わなかった」
「だって…」
「僕としては、リカがエプロンして、僕の部屋のキッチンに立って
料理してる姿を見てるだけで、嬉しいから」
いつもより低い声が耳に滑り込む。
―――もうっ。
「そ、それは料理が楽しみってのとは違いますっ」
わたしはわざとそっぽを向いた。
そんな風に、多分端から見たらじゃれているようにしか
見えないやり取りをしているうちに、彼の部屋の前についた。
彼の部屋に来るのは夏以来だ。
思わず、あの夏の夜に何もかも忘れて溺れたい衝動に駆られた自分を
思い出して、どきりとした。
あの時は自分が彼に強く傾いて行く――その未知の感覚を
自分のものとして受け止めるのが、まだ怖かった。
今は―――。
「リカが開けてみて」
部屋の鍵を開けると彼が言った。
何故?
そう思って彼を見上げたが、彼はただにこにこと笑って
此方を見ているだけだ。
わたしはドアを開けた。



玄関から真っ直ぐに続いている先にある居間からは、
温かな色の灯がちらちらと様々に色を変えるのが見える。
「………ツリー?」
「中入って見て」
彼にそっと背中を押され、わたしは靴を脱いで部屋に上がった。
居間の小さなソファの横には、この部屋に飾るにはかなり大きめの
――1メートル以上は絶対にあるクリスマスツリーが、
赤や緑、金色などの光を煌めかせていた。
「…先走り過ぎだとは思うんだけどさ」
ツリーを見つめてぼんやりとしているわたしの背後に立った、彼が言った。
「来年、二人で暮らす部屋ならこのツリー、
   丁度良い大きさになるかな…と」
「…相変わらず『支離滅裂』ですね」
わたしは振り向いて彼を見ると、彼は本当に嬉しそうに微笑った。
「良かった。その笑顔が見たかったから」
……わたしも笑顔になっていたらしい。
「じゃ、じゃあ食事の用意しますね」
何だか気恥ずかしくなって、慌てて彼から目を反らす。
「…その前に」
身を翻そうとした勢いで、何故かそのまま彼の腕の中に
捕らえられてしまった。
「少しだけ…久しぶりだから」
抱き締めたまま、彼がわたしの首筋に顔を埋めた。
熱い息がかかるのが、気持ちにまでこそばゆさを感じさせる。
「…やっぱりリカ、冷たいな。すぐにでも温めたい」
「……お茶でも淹れますか?」
急に間近に感じた彼の匂いや感触に、心臓が止まりそうになりながら、
わたしはそっと尋ねた。
「君は…。解ってないな」
彼の口唇が耳朶に触れる。
もしかして…これは。
「だ、大祐さん。お腹空いてないんですか?」
「先に食べたいもの、ある」
「で、で、でもっ」
「嫌?」
彼の瞳(め)が真っ直ぐに私を見た。
こんな表情(かお)、彼は解っているんだろうか?
何処か子供がおねだりをする時のような、
でも率直にわたしを求めている――わたしが断れないのを見越している、
そんな表情(かお)。
気付いたら、もう逃れるのが難しいくらい、彼に深く抱き締められていた。
口唇が柔らかく、重なる。
彼の指先がわたしの背や髪に食い込み、わたしも彼の背に腕を回した。
………そして一つ気が付いてしまった。
「大祐さん」
口唇が離れた隙に、わたしは今度は真っ直ぐに彼を見つめた。
「……何?」
「熱、ありますよね」
「……………」
「風邪、引いてるんじゃないですか?」
突然、がくっと彼がもたれかかって来た。
「大丈夫ですかっ」
「…今夜いっぱい誤魔化せればと思ったのに」
「誤魔化っ…てわたしをですか。空自の元パイロットらしくないですよっ。
   ダメですっ。すぐパジャマに着替えて、お布団入って」
彼のコートのボタンに手をかける。
「…どうせ脱がして貰うなら違うシチュエーションのが良かった」
いつもより低い声、それは風邪を引いていたせいだった。
彼はぶつぶつとごねていたけれど、最後にはわたしにされるままになった。



「三十八度、丁度ですね」
彼が何を諦めがつかないのか、隠そうとする体温計を無理矢理奪った。
「一昨日、昨日と二日も外で雪かきだったからな…」
「今夜は薬飲んで、もう寝た方がいいですよ。今カボチャのスープ温めますから」
これだけは自宅で先に作り冷凍して持って来ていた。
「…ゴメン」
彼は心の底からすまなそうに言う。
わたしは…内心さっきあのままの流れで気付かないでいたら、
自分がどんな気持ちになるか解っていたので、微笑って彼に答えた。
「大祐さん、来年も一緒にクリスマスするつもりで、
   あんな大きなツリー買ったんでしょ。
   それなら約束してたことは来年でも出来ます。
   ……それに来年だけじゃなくて、この先はずっと」
そこまで言葉を繋いで流石に恥ずかしくなり、慌てて背を向けた。
彼はふと微笑ったらしく、優しい声で言った。
「…これからも、ずっとか。そうだね」
振り向くと彼がベッドに横たわった。
「じゃあ、スープ貰おうかな。お腹はすごく空いてる」
「はい」
わたしはキッチンに向かった。



風邪を引いてることがわたしにばれてから、
彼は流石にだるそうにしていたけれど、それでもスープは三杯も
おかわりして、薬を飲んで寝た。
水を持って来たわたしの手を掴むと「寝るまで、撫でてて」
なんて甘えてもいた。
彼から聞いて押し入れから出した予備の布団を、ソファに置いて、
わたしはホッとして腰掛けた。
残念……ではなかった。彼ほどには。
だって、今は手を伸ばせば彼は側にいるから。
彼と二人で。
そう思い決めた時から、わたしはそれほどこの想いに、
焦燥感を覚えることがなくなったらしい。
自分でも不思議に思ったけれど、それは水が流れて行くように
自然な成り行きにも感じた。
瞬くツリーの光を見ていたら、ふと気が付いた。
吊るされた飾りの一つに、かなり大きめの
金色のリボンがかかった箱があること。
屈んで見てみると、小さなカードが付いていて『リカへ』と書いてある。
……クリスマスプレゼント?
此処に吊るしてあると言うことは、開けてみてもいいのだろうか?
それとも彼から何かアクションがあるまで、黙っていた方が?
――わたしは付けられていたカードを手に取って、そっと開いた。

『青い空が永遠に続くように、君と共にいられるように』

そしてわたしはプレゼントの箱の中身を察した。
両手に入るこのサイズはきっと…。
だから彼は熱があるのを隠してでも、今日を予定通りに過ごしたかったんだ。
わたしはその小さなプレゼントの箱を、ツリーから外して
クッションの上に置いて眠った。
中を開けて見ることはしなかった――明日彼から指に嵌めて貰って
見たかったから。



窓の外は、まだ溶けずに残る雪のせいで、ひんやりと明るかった。



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次女妊娠中にQEDにはまりました。
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著作権も一応手放してはいないので、
ご利用の際はご一報下さい。

……なんじゃ!このネタ!?と
思ったら、目をつむって十数えてなかったことに
して欲しいです^^;
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