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タタ奈々と空稲で二次してます。 どちらのジャンルも原作設定をメインとしております。
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これまた航空祭会場にてアップルさんとお話してたことが
ネタになりましたw

多分彼女が隣のお家に住んでたら、私は家事を忘れて
お話描いてるんだろうなあ…という危険に気づいた(笑)


と言う訳で、空~始めて初めの頃から声をかけて下さった
アップルさんに捧ぐ。


小説は続き記事からです。

拍手[4回]



◆◆◆



来年の夏には、松島から異動になる。
次の異動先は三沢を希望していた。
俺――平田隼人は現在松島基地の第11飛行隊
……通称ブルーインパルスの5番機のORを勤めている。
幹部級の国家公務員としては仕方がないが、
三年以内での異動が義務付けられるのは、
パイロットと言う専門職にも例外はない。
26歳でブルーのパイロットに着任したのは、
異例の早さだと言われたが、学生時代にたまたま国内外で
エアラインも含めた航空機の大きな事故が続いた自分たちの世代は、
パイロットを希望した人間の数が少なく、
その上戦闘機ともなれば、身体も含めて条件が狭くなる。
故に空自としては、最前線にでも置いておきたい所を敢えて推しての、
若年層のドルフィンライダー採用だったと聞いている。
そんな大人の事情はさておき、自分としては意気揚々として
松島基地に異動になり、ブルーの、戦闘機では考えてもみなかった
スペックの訓練に入った。
 
 
 
いや、もう。
最初は海に突っ込むかと思ったね!
柔軟な操縦を問われるのは、以前築城でF―15に乗ってた時でも
同じだったけど、ブルーは戦闘機では考えられないような低空飛行をする。
ORの先輩は「すぐに慣れるよ」なんて、ニッコリ笑顔で、
腹の底の解らないタイプで、これはわざとクレイジーな操縦を
してるんだと思っていた。
そんなこんなでブルーに乗って一年と半年程が過ぎようとしていた頃、
新たなパイロットが第11飛行隊に異動してきた。
空井蒼太。
階級は二尉に上がったばかりのようだ。
顔はいかにも女子が騒ぎそうな、細面でやたら小綺麗。
軟弱そうなツラだがこんなんで大丈夫かと思っていた。
本当ならば百里の梅組から、自分と同い年のパイロットが来る予定に
なっていたが――彼は不幸にも交通事故に遭遇し、他界してしまった。
流石に上層部でも、新しいパイロットの選抜に頭を抱えたらしい。
ブルーチームも半年間、メンバーは欠けたままだった。
自分のORの先輩がもうあと三ヶ月で異動になると言う頃、
急遽若干24歳の空井二尉がやって来たのだ。
それにしても――愛想のないヤツだ。
ニコリともしない。
同じ5番機のORの先輩が、やたらに愛想よく笑顔なのに
やることは鬼と言う、真逆のタイプだったから、少々面食らった。
 
 
 
聞けばドルフィンライダーになることは幼少期からの希望で、
なんと彼の父親もブルーのパイロットの内示までは出たことがあったらしい。
彼としては父親の夢を背負っている訳だから、
もっと張り切っていい筈なのだが、表情はある意味ではクール、
俺から見ればよく解らないすかしたヤツだった。
それじゃあ、ヤル気がないのかと言えばそうではなく、
訓練には人一倍熱心だった。
わざといつもより多めに振るような操縦をしても冷静で、
全くどんなメンタルしてんだか、からかい甲斐のない後輩だったが、
実力のないヤツじゃないことはすぐに解ったのだ。
―――でも可愛いげは全くないけど。
まあ……顔はよく見れば、これが女子だったら親切にしてやってもいいんだが、
ヤロウだしなあ、などと内心、このチームに来て初めて出来た
後輩の様子を伺っていた。
 
 
 
それが。
なんと四月に取材に来た、滅多にない『女子向けのファッション誌に
パイロットがインタビューを受ける』と言う企画で採用された上に、
やって来たインタビュアーのいかにも癒し系胸デカ美人を、
アレ?珍しく帰省したな、と思ったら、さっさとゲットして来やがった。
世の中、涼しい顔してるヤツ程要領がいい。
築城時代から合コンを自ら企画しても連敗が続く自分としては、
腹が立つ話だが、何かほどけたように、
空井二尉の表情が随分リラックスしたものになって来たことに気付いた。
 
 
 
ある日休憩室を覗いたら、何やらノートと昨年の航空祭のアクロを
撮影した映像を見ながら、ブツブツやっている。
本人は大真面目なようだが、もしこれが会場ナレーションの練習ならば、
全く頂けない。
仕方がないから、昨年の経験を生かしてナレーションの極意を伝授してやる。
「……ブルーが広報の為に飛んでるって、解ってたけどマジだったんですね」
「親父さん幕僚本部の広報室だって?」
「さ来年には退官になりますが、そうです」
「何気にエリートだよな、お前んち」
「そんなんじゃないです。ただ――親父が地方に異動になっても
入間の航空祭には、必ず家族三人で見に行ってたから
……チビの時分からアレ見てたら、乗りたくなりますでしょう」
「まあなあ……俺は築城の航空祭だったな。
空自の60周年でさ、尾翼にすっごいペイント施したF―2が来てさ
……オレ、絶対アイツに乗ってやるって思ったね。
まだ三歳にならなかったけどバッチリ覚えてる」
「どんなペイントだったんです?」
「桜吹雪だったよ。F―2って洋上迷彩で青いじゃんか。
青に白い桜が映えて、幼児の脳ミソにもバッチリ残ったって訳」
「派手好きの平田先輩らしいすね」
「あんだよ、悪いかよ」
「いいえ、良いんじゃないかと。
母がよく言ってましたが、F―2は日本の航空機作りの
真髄が詰まってるって」
「…………」
コイツの母ちゃんナニモノだよと思いつつ、
そう言えばテレビ局勤務だったと思い出す。
「先輩」
「あ?」
「俺、次の合コンは絶対メンバーに入れないで下さい。特に看護士関係」
「お前来るとメンバー集まりやすいんだがなー、女子の」
「カノジョたち、酒強いし、俺、ああいう場得意じゃないんで」
珍しく困った表情だ。
「カノジョが出来たとはっきり言えよ。この前のエロ可愛い子と、
マジでデキたんだろ」
「………まあ。まだデートの約束しただけですが」
「まさかお前、まだ経験ねぇとかじゃないよな?そっちも特訓しとくか?」
すると彼はノートを閉じてテレビを消して立ち上がり、小さく微笑して言った。
「……まさかでしょ」
「………」
な、なんだ。今の笑みは。
俺は百戦錬磨ですよ的な、あからさまなノーサンキューな表情は!
同じ隊のメンバーとは言え、まだまだ謎の多いヤツだった。
 
 
 
秋の航空祭オンパレードシーズンがやって来た。
9月を皮切りに各基地の航空祭、地方でのイベントでの
展示飛行が目白押しになる。
一時総括班長が後部席に乗ったりしていた、5番機だったが
百里の航空祭から空井二尉――もういいや、TACネームskyのヤツが
乗ることになる。
相変わらず涼しい顔だが、プライベートで何かあったのか
少々元気がない。
尤も毎日同じ機体に乗る自分だからこそ解ることで、
ヤツは任務をいつものように真面目にこなしていた。
そして何とか観閲式、入間と大きなイベントを終え、
残すは南の方での基地祭や地方イベントの展示飛行のみとなった頃、
ようやく地元松島の総合病院勤務の女性たちとの合コンが決まった。
やはりskyが写真だけでも載ってると、食い付きが違うなと感心してしまう。
頭は使いようで、何とかヤツの笑顔を写メして、
Twitterにアップした所、女子の方からコンタクトがあった。
合コンは任務の合間を縫って、地元の少し洒落た
イタメシ系居酒屋で行われた。
skyは来ない。
いや、実際はヤツは来ない方がいい。
skyが来ると、ヤツを廻って男子には解らない方法で、
女子同士の陰惨なバトルになりかねない。
やはり酒の席は和やかじゃないと。
場が砕け、自分もそれなりに楽しく杯を重ねた頃、
一人の女性がポツンと会話に加わらず、飲んでいるのに気付いた。
「どうしました?酔っちゃいました?えーと」
「宮谷です。宮谷昌美。貴方は幹事の平田さんですよね?」
彼女は確か今回の参加者では、一番年齢が高かった筈。
でもまだ30前だ。
「気にしないで下さい。わたし今回、人数合わせで呼ばれただけだから。
どうも大勢で飲むの苦手で」
と、ニコリともせずに言う。尤も不愉快、と言う訳でもなさそうだ。
この場にはいない後輩の、小憎たらしい表情を思い浮かべる。
「宮谷さんは……確か」
「薬剤師です。此方に総合病院が出来ると言うから、就職して。
元は東京の製薬会社の研究員でした」
「へえ……じゃあ、薬のこと詳しいんすね」
「大したことじゃないです。ドクターが指示した処方箋通りに
薬出すだけだし。誰にでも出来ますよ」
可愛いげがない辺りも、あの後輩によく似ていた。
「そうかなあ……。ウチお袋が難しい病気で長年通院してたから
……ドクターって忙しい人多いし、聞きづらいじゃん?
薬剤師さんに丁寧に説明して貰うと、結構ホッとしたりしましたよ。
ホラ、気軽に『コーラで鎮痛剤飲んじゃダメですか?』とか聞けるし」
すると彼女はふっと吹き出したように、微笑んだ。
あ、やっぱり。
笑うとかなり美人だ、この人。
「飲んでいいか、悪いかの前に、平田さんは炭酸飲料で
錠剤飲めるんですか?」
「一度粉薬は試したことあります」
「なんて無茶な」
「空自のモットーは『勇猛果敢、支離滅裂』ですから」
「ふふっ」
そのあとは、幹事であることを忘れて、彼女の笑顔を見る為に、
お開きの時間まで必死に話し続けた。
 
 
 
「お疲れ様の気持ちを込めて、まず飛行隊長より
――行くぞ!まずはバケツで一杯だっ!!」
避けることの叶わない一杯の水がかかると、
同時に四方八方から大量の水がかけられた。
「班長、あっちに水貯めときました」
「sky、テメー!自分は何も聞いてませんとか、
涼しい顔して言ってやがった癖に!」
「何言ってんすか。希望のF―2に乗るために彼女付きで三沢行く人間に、
容赦するなってのは、平田先輩の教育でしょ」
ヤツの彼女は今、作曲家目指して勉強する為に、アメリカにいる。
本気で惚れてみて解ったのは、互いの気持ちが通じたら少しの間でも、
離れ離れは辛いのだと言うこと。
でもコイツはそれをこなしている。
かなり自制心の強いタイプなのは、同じ機に乗っていると
自然と解ることだ。
自分は――本当は今日松島でのラストフライトに彼女に
来て欲しかったのだが、自分の三沢でのF-2のライセンス取得の為に
教育隊に異動が決まった時に、彼女は三沢での就職をいち早く探す為に引っ越し
先に向こうの街で待っている。
待っている誰かがいると思えば――何処でも前を向いて歩ける。
そう思う。
「先輩、三沢に行ってもどうぞお元気で」
「どうせ飛ぶのは同じ空、だもんな」
skyの前に着任する予定だった人物が、百里でskyの同じ部隊の先輩だったことを
知ったのは随分後になってからだ。
柔らかくなった後輩の表情を背に、振り向いたら、
途端整備士を含めたクルーに捕まり、
トラックに並々と入った水の中に、投げ込まれた。
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次女妊娠中にQEDにはまりました。
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……なんじゃ!このネタ!?と
思ったら、目をつむって十数えてなかったことに
して欲しいです^^;
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