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タタ奈々と空稲で二次してます。 どちらのジャンルも原作設定をメインとしております。
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久しぶりの更新です!
九月中になにかしらできて良かったw

昨日、ついったでツイ友の青空さんと話しててできたお話です。

夫婦の寝室には色々とルールがあったりするものです。
それ次第で仲良くなったり喧嘩になったり……。


あと無理やりに『カワイイゲスト』にもお越しいただきました。
事後承諾ですみません、ピカケさん。
お礼は後程(^_^;)


小説は続き記事からです。


拍手[11回]



◆◆◆


都内郊外のマンションに引っ越して最初の夜だった。
それまでにも互いの部屋に泊まったりして、
お互いの生活パターンや癖をそれなりに飲み込んできた
つもりだったけど、やはりまだまだ互いに未知の部分が多かった。
だから意外と言うかなんと言うか――
 
 
 
「ワニ?カエル?」
二人でウォーターフロントにある輸入家具店で選んだ、
機能的かつ安心感のあるデザイン(と彼女は言った)の
クイーンサイズのベッド。
ペパーミントの爽やかで清潔なシーツと揃いの
枕カバーがかけられ、二つ仲良く並んだ枕の間に置かれているのは、
爬虫類なのか両生類なのか、はたまたもしかしたらほ乳類かもしれない、
黄緑色のやや草臥れた感のあるぬいぐるみだった。
「た、た、タローくん、です」
「タロー…『くん』」
「その、いつも枕元に置いて寝てたんで、そこにないと落ち着かなくて」
だからって、何も二人の間に置かなくてもいいような気がするのだが。
「僕が毎週リカの家に泊まってた時は、いた?」
「あー、それは、そのう、だってベッド、シングルだったし
二人で寝るにも狭かったじゃないですか」
いっそシングルベッドを選ぶべきだった。
つい枕が二つ並ぶ絵が脳裏に浮かんだのが、敗因だったか。
「大祐さんが来る時は、ゴメンねってして、
サイドテーブルに移動して貰ってたんです。
でもこの広さなら大丈夫かなあ…って」
「……」
初めて空幕広報室で出会った頃の彼女は、折角の美人なのに、
ささやかな笑顔一つなく、舌鋒鋭く、同じく『残念すぎる美人』として
有名だった柚木三佐にすら『ガッツガツ』と言われる程、中身は硬派で、
一種のワーカーホリックだった。
(ワーカーホリックなのは今でもあまり変わらないが)
それ故か、彼女が一人暮らししていたマンションの部屋も、
仕事柄あまり帰れなかったせいか、女性らしい華やかさや
甘さにはやや欠けていた。
だからまさか『枕元にぬいぐるみを置く』などと言う趣向が
あるなんて思ってもみなかったのだ。
しかも、これはワニなのか?カエルなのか?はたまたトカゲ?
ぬいぐるみの形状としてはかなりレアな部類に入るような……気がする。
「タロー『くん』」
「タローくんはわたしが四歳の時に、母がオーストラリアに
出張に行った時に、お土産に買ってきてくれたものなんです。
以来ずっと……実家から引っ越す時も一緒でした。
ちょっと破けちゃったりしたのも、自分で繕ったりして…」
彼女が優しく抱き上げた黄緑色の塊から伸びた、
尻尾らしきものを見ると、随分大きめの縫い目で綴じ合わせた部分がある。
「名前、リカが付けたの?」
「そうですよ」
せめてハナコとかメリーとかミケとか、女性名なら良かったのに。
彼女が腕にキュッと抱いたそれに、なんだかモヤモヤと
なんとも言い様のない気持ちが立ち上る。
面白くないと言うか、羨ましいと言うか。
……本来ならそこは『俺』の場所でしょう。
しかし四歳の時から彼女と共に眠り、恐らく両親共働きだった
彼女の心を慰めて来た『友人』を、
つまらない男のプライドで取り上げるなんて、とても出来ない。
「今日はもう、寝ようか」
「ハイ」
彼女は(実は自分も)少し頬を赤らめて、布団に入った。
「あのさ、リ……」
「おやすみ、タローくん」
チュッ、とぬいぐるみの多分額らしき場所に彼女はキスをした。
それは今、僕が思い切って彼女にしようと、
そしてこれからは毎日の習慣にしようと思っていたことだ。
……ぬいぐるみに先越された。
「大祐さん、明日は月曜日ですし、今日は引っ越し作業で
疲れてますよね。早く寝ましょう?」
布団の上で座ったまま固まった姿勢だったが、
大きく溜め息をついて、大人しく布団に入った。
……仕方ない。
まだ一日目なのだ。
しかもライバルは物言わぬぬいぐるみだなんて。
彼女と自分との間に挟まった、フワフワとした黄緑色のそれに
内心悪態をつきつつ、その日は眠りについた。
 
 
 
翌日帰宅すると、ベッドの枕元に置かれた
『お邪魔な物体』がなんと二つに増えていた。
こんどはムクムクと薄茶色をしたぬいぐるみで、
クルリと丸い尻尾がついている。
つまみ上げてみると、どうやら柴犬のぬいぐるみらしい。
「大祐さん、お帰りなさい。あ、それ、カワイイですよね。
今度番組で使うキャラクターなんです。『大ちゃん』って言うんですよ」
「……」
確かに先住民のワニよりは、多少は可愛いげがあるだろうが、
名前からするとまた……。
「昔、ウチで飼ってたコに似てるんで、つい貰って来てしまいました」
なんだか溜め息も出なかったが、今度の『邪魔者』は
何やら自分に近い名前故、そう邪険にも出来ない気がする。
「お風呂入ってくる……」
「あ、食事の用意しておきますね」
枕元に置かれた――と言うか、僕と彼女の枕の間に
挟まったそれら二つの物体を睨みながら、
タオルをつかんでバスルームに向かった。
 
 
 
「おやすみ、タローくん、大ちゃん」
益々自分の番は回って来なくなりそうな感じで、つい口が滑った。
「リカにとって、僕はワニと犬の後?」
「え?」
「……羨ましいって言ったら?」
「…………」
彼女はぱあっと赤くなったが、そっと二つのぬいぐるみを
横に置いて、優しく口唇を、此方の口唇に触れた。
「お、おやすみなさい、大祐さん」
「……じゃあ、僕も」
昨日、思わずしてしまったおかしな我慢を振り払うように、
彼女を引き寄せてしっかり口唇を重ねた。
「週末はその二人には他の場所で寝て貰ってもいい?」
すかさず耳許に囁く。
「……ソファに寝てもらいます」
彼女の小さな囁きが愛しかった。
 
 
 
「……カンガルー?」
「タローくんはカンガルーですっ。
言ったでしょ、オーストラリアのお土産だって」
どこからどう見ても、ワニかトカゲ。もしくは尻尾のあるカエルだ。
「ほら、ポケットもあるんですよ」
「…………」
以前彼女が描いた絵を見せて貰ったことがあったが、
センスと言うものは遺伝するらしい。
このどう見てもカンガルーと言うかほ乳類にも
見えにくいぬいぐるみを、子供のお土産に買ってくる
彼女の母もなかなかのセンスの持ち主らしい。
「……意外でした。大祐さん普段は淡白なのに、
ぬいぐるみにヤキモチ妬くなんて考えもしなかった」
「……それは」
確かに大人げなかったけれども。
「でも少し慣れて貰わないと。来年はもしかしたらもしかして、
間に寝るコがもう一人増えるかもしれないでしょ」
「…………」
「や、やだっ。例えばですよっ。例えば。まだなんの兆候も……」
彼女はまるでカーネーションみたいに真っ赤になった。
多分自分も動揺した表情(かお)をしたのかもしれないが……。
「リカがそう言うつもりなら……タローくんと大ちゃんを
週末だけじゃなくて、ソファにお泊まりしてもらいたいんだけど」
「……」
「それともいっそ、彼らの為にもベビーベッドを買う?」
「……!もうっ、先走り過ぎですっ」
もふっとポケットの付いた黄緑色のお腹が、顔面に押し付けられた。
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次女妊娠中にQEDにはまりました。
当然ですが、原作者および版権元様とは
一切関係がありません。
閲覧に関しては、個人で責任を負ってください。
著作権も一応手放してはいないので、
ご利用の際はご一報下さい。

……なんじゃ!このネタ!?と
思ったら、目をつむって十数えてなかったことに
して欲しいです^^;
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