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タタ奈々と空稲で二次してます。 どちらのジャンルも原作設定をメインとしております。
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やっぱりつきないなぁ…同棲ネタ。
しつこいようですがもう少しお付き合いください。
サイトになりましたら、作品を
時系列順に並べられたらなぁと思っています^^








 BETWEEN THE SEATS  ~八重垣~
 
 
「そういえばベット、まだ届きませんね」
引っ越しの日の夕方。
あらかた片付けも終わり、一段落ついたところでした。
 
お互い一人暮らしのものを持ちよって、引っ越しをしたのですが、
なんともベットだけはちぐはぐで、新しいベットを二台購入
しようと言うことになったのです。
 
けれども先週の日曜日は、親戚のお葬式が入ってしまい、
急に行けなくなってしまった為、タタルさんに一人で
家具屋さんに行って貰いました。
 

彼はまだまだ、本の仕分け作業に夢中。
五分程して、やっと返事が返ってきました。
 
「昼間は雨だったからな。天気が悪いと少し遅れると、言っていた」
「そうですか。じゃあ、もうすぐ来るでしょうか」
そろそろ夕飯の支度にかからなきゃ、と思っていると、
玄関でチャイムが鳴りました。
 
 
「すみません、ミトリです。ベットお届けに上がりました」
 
「はーい」
返事をして、扉を開けました。
「桑原崇さんのお宅ですね?あの、御注文のお品大きいので、
 ベランダ側の窓から、クレーンで搬入致しますね」
「え?」
「玄関からは無理なので」
「…………………」
 
シングルのベットってそんなに大きかったかしら?
首を傾げながら、ベランダの窓を開けました。
すると------
 
 
 
 
「ありがとうございました」
家具屋さんが帰って行きました。
わたしはびっくりして声も出ません。
寝室に家具屋さんが設置して行ったのは……
 
 



「………ダブルベット?」
なのです。
それが一台。
今夜から、ここで寝る?
二人で?
 
 
うっかり色々考えてしまい、
何だか耳の方から赤くなってしまうような……。
 
 
「何かおかしなことでもあったか?」
隣の部屋から出てきた彼が、ベットの側で固まっていた
わたしの背後から声をかけました。
「え~と、タタルさん。確かシングルのベットを
 二台買う予定でしたよね?」
「わざわざ二台置くより、一台の方が効率がいい」
「そ…それはそうですけど」
「君は二台の方が良かったのか?」
最後の言葉は非常に低い声で、呟くように言ったので、
返事をして良いのか迷いました。
 
 
 
もともとあまり食べない彼は、それでも多少夕食に口をつけると、
そのあとはまた黙々と本を読んでいます。
(本人は選別をしているつもりのようですが)
わたしは聞きたいことが、たくさんあるような気がしたのですが、
どことなく先程から、彼の機嫌が悪いように感じて、
声をかけられません。
 
 
明日は出勤だし、今日は早めに寝ようと思い、シャワーを浴びて、
髪を乾かすと、八畳間の寝室に行きました。
ベットの上には彼がすでに横になって、まだ本を読んでいます。
さりげなく見てみると、古事記に関しての考察の本のよう。
そういえば古事記に関わる本が、
一番冊数が多いと彼は言っていたっけ。
 
 
そっとベットの縁に腰をかけました。
 
「早く布団に入った方がいいんじゃないか?
 六月と言えど、梅雨時は冷える」
本から目を離さずに、彼は言います。
「は、はい」
そこで、そーっと本を読んでいる彼の邪魔にならないよう、
隣に横になりました。
 



あ、少しゆとりがある。
 


思わず笑みがこぼれました。
だって、今まで、ほとんどの週末を彼の家で過ごしていた
わたしですが、彼のベットと来たら!
 
右を見ても、左を見ても、頭の上の方にも本があり、
ただでさえも二人でいるには狭いシングルのベットが、
殊更狭くなっていて、やはり同じようにいつも本を片手に
している彼に、ぴたりとくっつかなければいられないような、
スペースしかなかったのです。
 
わたしが小さく笑ったのを知って、やっと彼がこちらを向きました。
「何か?」
「え、あ、い、いつもより広いなと思って」
「………どういう訳か、君は少し離れて寝たいようだからな。
 だからシングルよりはこの方がいいかと思って、こちらにしたんだ」
「…………よくわかりませんけど、何か怒ってます?」
「別に。ただ今まで少し離れようとした君が、ベットから落ちそうに
 なってたことは何度かあったし……。君は眠ってて無意識の時しか、
 こちらに近づいて来なかったから」
「…………………」
あからさまに声は不機嫌な調子です。
……それは、彼にくっついているのは、こうして付き合って3ヶ月に
なろうと言う今でも気恥ずかしさがあります。でも……
「う、嬉しくない訳じゃないです」
思わず考えてたことが、口をついて出てしまい、
ぱたりと口を押さえました。
「何が?」
彼はじっとこちらを見つめています。
「あ……えと、ベ、ベットが一台なこと…です」
微かにため息をついて、彼は本を置いて体を起こしました。
横になって布団に入っているわたしを、覗きこんでいます。
「君は別々の方が良かったんだろう?」
「そ、そんなことは!タタルさん、いつも本を読んでいるし、
 わたしがくっついてたら、邪魔かもしれないなんて、………思って……」
なんだか話してるうちに、とんでもないことを口走りそうで、
動悸が早くなりました。
多分顔は真っ赤でしょう。
彼とベットの上で話すとここ最近、いつもそう。
 



なんか言わされてるような、気もしてきた……。
 


 
「………八重垣、かな」
「え?」
「素戔嗚尊の歌だ」
「……ああ、あの結婚した時に詠んだと言う…。
 確かあれは、八重垣を作って取り囲んで、攻めた土地の女性たちも
 囲んでしまえと言う、酷い歌だとタタルさん、
 言ってなかったですか?」
彼はふっと微笑うと、肩をすくめました。
「まあね、そうも読める。だが表の意味は飽くまでも、
 妻を八重垣を張り巡らした屋敷の中に置きたいと言う意味だよ」
彼の手が優しく頬に触れます。
「八重(はちじゅう)にも囲いを作って、
 妻を外に出したくない、ヤキモチやきの男の歌さ」
「…………………」
最後の言葉は耳元で低く囁かれて、徐々に感じる彼の重みとともに、
頭の奥に静かに響くようでした。
 
「………まあ、八重垣で取り囲んだ屋敷なんて、
 俺には無理だからな。こんな場所で、君を占有するのが精々だ」
そっと横を向くと、長い睫毛の下の黒い瞳が、ずいぶんと柔らかな光を
帯びて、こちらを見つめていました。
 


 
吸い込まれそう。
 


 
彼の肩にそっと指をかけました。
「確かに別々のベットに寝ていたら、
 こんな気持ちにはならなかったかもですね」
彼の細くて柔らかな髪に指先で触れました。
すると、彼はその指を掴んで
「今夜はゆっくり休んだ方がいい。今日は疲れてるだろう。
 ………そう思ったから、必死で本を読んでいたんだが」
ぶっきらぼうな調子ですが、それは彼が照れている時だと、
もうわかります。
掴まれた指を離して、今度は両腕で彼の首を巻くと、言いました。
「じゃあ、きちんと囲んでいて下さいね。
 ……崇さんなりの八重垣で」

彼は一瞬きょとんとしましたが、クスリと笑ったかと思った瞬間、
口唇をふさいでわたしを抱きすくめました。


遊びに来た妹にとても冷やかされたのは、後日の話。
そのとき彼は涼しげな表情(かお)で、憎たらしいくらい。
まるで買うことを決めたのは、わたしの方であるかのように……!





※体調悪くて布団にいたら、こんなのできました(爆)
 出てきた歌は有名な『八雲立つ~』の歌です。
 原作にも出てきましたね^^
 ダブルベットは夫婦喧嘩の解消や夫婦仲の維持(笑)に効果があると
 以前聞きました。
 それにしてもダブルベット購入の言い訳に、古事記まで引っ張り出す
 カップルってどんなん…^^;

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主婦
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次女妊娠中にQEDにはまりました。
当然ですが、原作者および版権元様とは
一切関係がありません。
閲覧に関しては、個人で責任を負ってください。
著作権も一応手放してはいないので、
ご利用の際はご一報下さい。

……なんじゃ!このネタ!?と
思ったら、目をつむって十数えてなかったことに
して欲しいです^^;
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