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タタ奈々と空稲で二次してます。 どちらのジャンルも原作設定をメインとしております。
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最終回キターー\(-o-)/

すみません、長々となんだかんだで半年もかかりました(^_^;)
読んでくださってた方には大変ご迷惑のかかる更新の仕方で
申し訳なかったです。

えー。でもなんとか結婚式手前までこぎつけました。
そして来るべき時もボチボチ近づいて、すり足気味に進行中w

さて三月に出る予定のイベントなんですが、どうもその日に
主人に仕事が入りそう……。
(誰だ!あのゲームのリリース遅らせてるのは!!)
ちょっと様子を見つつ言い出せずにいる、森さんであります。
漫画もぼちぼち再開したいなと、まずは環境の改善から始めないと。


コメントの返信もうしばらくお待ちください。
本当にいつも沢山ありがとうございます。

拍手[11回]



◆◆◆



 
寝返りを打った時に、ふいに隣の柔らかな温もり
――その因となる存在が傍らにないことに気付き、
ゆっくりと目覚めた。
ベッドに横たわるのは、今自分だけだ。
寝室はまだ暗く、夜明け前の奇妙な静けさが部屋を満たしていた。
 
 
彼女は何処に?
 
 
目覚めた体をそっと起こして、ベッドを後にした。
リビングを覗いたが彼女はいない。
ソファの前は昨夜、自分としては最大限にさりげなく彼女を
ノートパソコンの前から引き離したその時のまま、
モニターは開いたままになっていた。
シャワーの水音もしないから、バスルームでもない。
ふと居間から続く、まだ引っ越してから用途の決まっていない部屋
――東側にある斜めの天井に天窓のある部屋の扉が目に入った。
静かに扉を開くと、彼女はそこに一人、大きなクッションに
寄りかかって座っていた。
「おはよう」
「ごめんなさい、起こしちゃいました?」
「いや……こんな所で何してんの?リカ」
彼女は僅かに頬を染めて俯いたが、顔を上げて此方を見た。
「一度、この部屋から夜明けを見たいな、と思って」
「夜明け?」
「東側だし、一番に朝日が射し込むし……この窓からどんな風に
光が射すのか、ずっと気になっていたんです」
ぐるりと部屋を見回した。
そんなこと自分は考えもしなかった。
そもそもこの部屋は棚やクローゼットが作りつけられてるのを良いことに、
増え始めた広報関連の本や、元々好きで持っていた航空関連の本を
置く為の部屋、くらいに考えていた。
「隣、座ってもいい?」
彼女は生真面目な表情で頷いて、少し座る場所をずらした。
一つのクッションに二人で座る。
今までだってない訳ではないけれど、彼女の存在が『在る』と言うこと。
それが日々の繋がりの中に存在すると言うことが、
どういう感情を興させることになるのか、思い知ったここ最近ではあった。
昨夜だって――それまで週に一度逢う間柄から、
毎日ある時間だけでも営みを共にする存在に変化した互いの関係の違いを、
感じずにはいられなかったのだ。
変化したのは彼女の反応だけではなく、それを引き起こし、
受け止める自分も心境に変化があると感じた。
抱き締めた温もりを全て自分のものにしておきたい気持ちは、
今も変わらないけれど、何としても留め置きたいような
苦しくなるような気分は、既に乗り越えたような気もした。
だからといって、全く目を離して良い訳じゃ、ないけれど。
「大祐さん」
「な、なに?」
一瞬やや邪な気持ちを見抜かれたのかと、どきりとする。
「ほら、少し空、明るくなって来ましたよ」
天窓の下の方から徐々に空が淡い紫色を帯びて、明るさを増して来る。
そして光が射して来ると彼女は眩しげに目を細めた。
「一日が始まるなあっ」
「うん」
「なんかね、空が始まるって感じ」
「空が?」
「ええ……その、以前一人暮ししてた時は感じなかったんですけど。
こう言う空の色の変化」
彼女は膝を両腕で抱いて嬉しそうに微笑った。
「大祐さんのお陰かも」
「え?」
「空が始まって……一日が始まって。そんな当たり前のことが
特別になったのが。空を見上げるのが特別になったのが」
「……」
「ありがとうございます」
彼女は照れたように、でも真っ直ぐ此方を見ていた。
在るのが当たり前の空。
始まるのが当たり前の一日。
何年か前、自分にとってそれに気付くことが
苦しむ為にあるようだった日々に、彼女は突然現れた。
「……お礼を言うなら、僕の方こそ」
思わず声がかすれた。
あの苦しかった頃から今まで、それをただ辛いだけの想いにしないで
来れたのは、他ならない、彼女に出会えたからだ。
彼女を『知る』ことが出来たから。
明るさを増す部屋の中で、そっと彼女の肩をを抱き寄せた。
「まだちょっと時間、早いから寝室に戻らない?リカ」
彼女に触れたことで、ふいに高まった心音と体温をもて余しながら、囁いた。
彼女はちらりと此方を見たが、それなのにそっぽを向きながら小さく頷き返した。
 
 
 
日曜とは言え、次に目覚めた後、二人でシャワーを浴びると
既に午後の一時を回っていた。
「今お昼作りますね」
先程までベッドの上で耳許に熱を帯びた声で囁き続けていた声音とは違い、
彼女はいつも通りのやや真面目な様子に戻っていた。
「一緒にやろうよ。かまぼこの残りがあったし、炒飯にでもする?」
キッチンを覗くと彼女も笑いながら、フライパンを取り出していた。
「同じこと考えてましたね」
冷蔵庫から卵を取り出す。
「あのさ……」
「はい?」
「あの、東側の部屋なんだけど」
彼女は真剣な顔で包丁を手に葱を刻もうとしていたが、
辛うじて耳は此方に傾けているようだった。
「しばらく家具置いたりしないで、あのままにしておかないかな」
朝陽の射し込む、あの窓。
まさか毎日とはいかないけれど、たまに二人で
また空の始まりを見るのも、悪くない。
「わたしは最初からそのつもりでした。……ずっと二人きり、
って訳でもなくなるかもしれないし」
「……リカ」
彼女の言葉の意味をふいに察して、思わず背中越しに抱き締めてしまった。
「きゃ……!あ、危ないですよ」
「ゴメン」
少しふくれて振り向く顔もまた、愛しかった。
 
 
 
「ハイ!よーーっくわかりました。よく解りました。
解ったからもう何も言わないで宜しい」
「なんですか、自分から呼び出しておいて」
空幕広報室に配属されていた頃、鷺坂室長も含めてよく訪れていた
市ヶ谷の居酒屋の座敷に、自分は片山さんと比嘉さんを
目の前にして座っていた。
テーブルにはお通しの焼き空豆が置かれている。
片山さんから呼び出されて勤務が終った後に、稲荷山から市ヶ谷に向かった。
確かに彼女との間のことでは、その始まりからして、
二人の人生の先達を随分と心配をさせていたようなので、
今回も報告の義務らしきものが生じたと言うことか。
しかし此方の顔を見た途端、片山さんは両手をまるで「降参」とでも
言うように軽く上げて、まだ何も話さぬうちから、此方の言葉を封じた。
「もういい!もー良いからな。その表情(かお)見れば解るわ」
うんざりとした声の片山さんの隣で、比嘉さんは相変わらずの
穏やかな様子で笑っていた。
「だから言ったでしょ、片山さん」
「稲ぴょんだって女だからな。ここまで鉄壁だとは思いも
よらなかったんだよ」
「……だから助かったと言うか」
「あ?」
「なんでもありません」
「空井のくせに生意気になりやがって。あのな、人生
まだまだこれからだからなっ。
結婚して、ガキ生まれて……そのあとの方がよっぽど戦争だ、俺たちには」
「片山さん、あんまり脅さないの」
店員がビールのジョッキをテーブルに置くのを受け取り、
比嘉さんはそれぞれの前に置く。
「ま、幸運なスタートを切った空井くん夫婦に『乾杯』かな」
比嘉さんはジョッキをにっこりと笑って、掲げた。
「まあな~。あれから色々防大時代の後輩に聞いて見たけど、
身近な奴からしたら、あの海野もそこまで魔性のオトコって訳でもないって
感じだったな」
「人の噂なんてそんなもんです」
「まあアイツにフラっと来た女共にも、それなりの理由があったってことかな」
「彼自身は無自覚なのかなと、直接会って思いました。
一生懸命過ぎて誤解を受けたと言うか。それって解るような気がします」
「まるで空井くんと、裏と表みたいだね」
「え」
「まだ空井くんが広報室にいた頃、稲葉さんが可哀想になったことが、
何度かあったよ。端から見てて」
「え?」
話の矛先が急に自分に向いたのが解って、どきりとした。
片山さんに比べたら遥かに海千山千な比嘉さんの含みを持たせた言葉には
、迂闊な返事は出来ない……気がする。
「柚木三佐……今は槙二佐だけど、彼女がつくづく稲葉さんに同情してたもの。
『空井は無自覚過ぎる』って」
「お、俺ですか?」
無自覚と言うならば、彼女の方こそだ。そして今や槙夫人の柚木さんも。
「そうだよ。皆どれだけ心配したと思ってるの。
心配ついでに楽しんでたのは鷺坂室長くらいでしょ。
――そう言う訳だから、今日は空井くんの奢りね」
「ええっ?!」
「お、そう言うことなら。すいませーん、ヱビスの生と焼き鳥盛り合わせ、
あと刺し盛も!」
「えーー!!」
片山さんはグイッとジョッキのビールを空けた。
「それで式は?夏に決まったんでしょう?」
比嘉さんは少し真顔になって此方を見た。
「ハイ、差し迫っていて申し訳ないのですが、
七月の末に教会が空いて。場所は軽井沢です」
「やっぱり今日はお祝いしないと」
比嘉さんは笑って頷いた。
 
 
 
駅からマンションまでの帰り道、彼女からメールが入った。
『すみません、他部署の人から自衛隊の資料を、
と頼まれてしまい、少し遅くなりそうです』
やれやれ……。
そうだ。解ってた。
『人』じゃない。
『仕事』なんだって。
いや、仕事、と言うよりは『生き甲斐』かな。
嫉妬、と言う程深刻ではなかったけれど、思わぬ焦燥感に駆られたのは、
彼女の何かに向かう時の、あの真摯さのせいだと。
以前100%、あの想いが自分に向かっていたと、何処かで知っていたからこそ、
それを端から見ている立場になったことがもどかしかったのだ。
「まだまだだな、俺」
酔いはもう殆ど醒めていたが、温かい呼気が口許から零れた。
彼女を一番傍で見つめて行く日々。
それは既に始まっているのだからと、小さく覚悟を決めて、
またそのことに可笑しさと喜ばしさを覚えた。
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次女妊娠中にQEDにはまりました。
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……なんじゃ!このネタ!?と
思ったら、目をつむって十数えてなかったことに
して欲しいです^^;
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