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タタ奈々と空稲で二次してます。 どちらのジャンルも原作設定をメインとしております。
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ハイ!サンタさん、必死です。
最後の月なので少し気合を入れて頑張ってます。
ヘリコプターはこれから。
ヘリで難しいのは意外にプロペラ部分です。
これいい具合に煽ってますけどw、プロペラと本体の接合部分を
回るのがわかるように描くのは、なかなか大変な作業だと思います。


すみません、今回するつもりでしたコメントの返信、
SSが先にできてしまったので、コチラを先にUPします。

さあウサギさん危機一髪か?!

小説は続き記事からです。


拍手[5回]



◆◆◆



懇親会は市ヶ谷駅近くの、和風の居酒屋で行われた。
海野三佐の話では海自の広報室では伝統的に、
一次会はこの店で行うとのこと。
チラリとメニューに目を通すと、日本酒の種類が豊富なようで、
おつまみも日本酒に合うようなものが多い。
魚介類のメニューが数多く並んでいた。
「それではこれから海自のカレーを広報して下さる稲葉さんの為に、乾杯」
室長のやや畏まった感じの乾杯の音頭に、皆揃って杯を掲げた。
「稲葉さん、今日はお忙しい所をありがとう」
「いえ……空自の取材の時も懇親会はありましたし、
皆さんから興味深い話を伺えるのではないかと期待しています」
「おやおや、流石帝都のディレクターさんだ。油断ならないなあ」
鈴木室長は笑顔ながらも、雰囲気は厳めしい。
「稲葉さんは元々報道の方なんですよね?」
海野三佐も規律正しい笑顔だ。
「え?あ、は、はい。何故ご存じで?」
「統幕に同期がいます。彼から聞きました。
稲葉さんは大変腕の利くディレクターだと」
「……」
統幕、と言うと片山さんかしら。
日曜日に引っ越しを手伝いに来てくれていた。
片山さんなりに後押しするつもりで話したことかもしれないが、
自分としては少し痛い話だった。
すかさず会話の向きを変える。
「あ、あの!早速HP見ました。
カレーのレシピ、艦隊ごとに違うって本当ですね」
「ええ、そうです。自分は市ヶ谷に来るまで7回異動しています。
辛口気味なものから、甘いものまで様々に経験しました」
鈴木室長は頷くように言った。
「あの……率直な話、何処のカレーが美味しかったですか?」
すると並んだ隊員たちから一斉に笑いが起きる。
「それ……難しい質問ですよ、稲葉さん」
海野三佐も笑いを押さえながら答えた。
「わたし……何かおかしなこと言いましたか?」
「いえ、ただなんと言うか」
すると鈴木室長も少し砕けた様子で答えた。
「自分は若い時に護衛艦勤務で食べたものが、一番印象に残っていますねえ。
船の上の生活だと食事が一番の楽しみになるし。
それに一番腹の減る頃でしょう。空腹が一番のスパイスであることは間違いがない」
「成程」
ふと自信のない料理は、彼を物凄く空腹にすれば美味しく感じてくれるかも
……などと不埒なことを連想し、首を振った。
「一応横須賀が発祥の地にはなっていますね。
海軍時代、隊員の栄養事情が問題になって生まれたのがカレーです。
白米を食べることから、ビタミンB不足を補う為に発案されたんです」
海野三佐はビールのグラスを礼儀正しく持ち上げた。
「あ、それ読みました。オリザニンが発見されるまで、脚気になりやすかったって」
「ええ。やはりある意味で軍隊的な行動を取ると、集団で同じ病にかかりやすい。
況してや食事が原因ならば尚更です。
すぐにイギリス海軍を見習い食事を変えようとした。しかし……」
おつまみがテーブルに並んだが、皆行儀よく海野三佐の話すのを聞いていた。
「当時洋食はまだ浸透していなくて、シチューに……特にパンはなじまなかった。
そこでシチューにインドのスパイスを入れたものを、ご飯にかけることを思い付いた。
小麦粉のルーでとろみを付けることで、ビタミンBも摂取出来るし、
揺れる船の上でも皿から溢れにくい。一石二鳥だったんです」
「そんな細かな配慮があったんですね」
「以来艦隊ごとにレシピが考案され、伝統として受け継がれています」
海野三佐は静かに杯を置いた。
「やっぱり思っていた通り、取材のし甲斐がありそうです」
わたしは海野三佐を見て言った。HPを見ただけでも
一日では覚えきらない数だった上、どのレシピも割合豪華で複雑だった。
各隊の隠し味も面白い。
横須賀のカレーフェスタを中心に据えるにしても、
どう番組を構成するか、考えただけでもワクワクする。
「横須賀カレーフェスタに出展するのは潜水艦『はやしお』の激辛カレー、
東京音楽隊のビーフカレー、護衛艦『はつゆき』の海自カレーはつゆき風、
厚木航空基地隊の厚木勝カレーです」
「厚木航空基地隊は海野三佐がいらっしゃった所ですね」
「……ええ」
海野三佐の俯くのを見て、わたしは少しドキリとした。
またわたし何か不味いことを聞いただろうか?
ディレクターの仕事を始めたばかりの頃、
配慮の足らない発言を繰り返していた自分を思い出す。
配慮が遠慮になってしまっては良い仕事は出来ないが、
むやみに人を傷付けたい訳ではない。
「あ、あ、あの」
わたしはまた無理矢理話題の赴きを変えることにした。
「隠し味にジャムやコーラまで入れるって聞きました。
インタントコーヒーは、わたしも聞いたことがあったんですが、
これ、味付けに何か意味はあるんでしょうか?」
「ありますよ。ジャムもコーラも甘みと酸味がつきます。
味の変化は、閉鎖された船や潜水艦勤務の者には大切です」
「成程、納得出来ますね」
手帳を広げ書き留めた。
 
 
 
海野三佐は礼儀正しいが、親しみやすく話し方は整然として、端正だった。
ただもし彼から本音を――ドキュメントの為に彼から
真実の声を聞くとなると、難しいタイプかもしれない。
まあ……今回はカレーの取材だから……。
ふと、今日はわたしより確実に早く帰宅しているだろう彼、
空井大祐のことを思い出す。
『勇猛果敢、支離滅裂』に沿った訳ではなかろうが、
彼は出会った時からかなり率直だった。
飛行機は飛ぶ準備を始めたら、大抵は後戻りしないのに似ている。
対して海野三佐は、まるで外側からは中身の見えない
護衛艦のようかもしれない。
そんなことを考えていたら、懇親会は鈴木室長の締めの言葉で
終わろうとしていた。
「稲葉さん」
耳打ちされ、びっくりして振り向く。
海野三佐が口許に人指し指を立て、そっと話し始めた。
「良かったら二次会行きませんか?若い連中だけで良く行くバーが新宿にあります。
勿論自分以外の者も行きます」
「あ……でも」
「稲葉さんに婚約者がいることは存じてます。
そう言う意味あいではなく……海自は上下関係がはっきりしてるので、
上官がいると碎けた話は出来ないんです。
例えカレーでも、もう少し本当の所を聞きたくないですか?」
海野三佐の指先が、わたしの薬指にはまった指輪を指すのを見て、
思わず赤くなる。
時計を見ると今は8時。一時間くらいなら……新宿なら西武線で30分で帰れる。
「一時間ならば」
「良かった」
海野三佐がにっこりと笑った。
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……なんじゃ!このネタ!?と
思ったら、目をつむって十数えてなかったことに
して欲しいです^^;
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