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タタ奈々と空稲で二次してます。 どちらのジャンルも原作設定をメインとしております。
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ちょっといつもの空稲とは違うネタで書いてみました。
なのでいつも書いてるモノの続きではありませんw


うーん、『こんな空井くん、ヤダ!』って方もいらっしゃるかもしれない
のでネタに拒否感を覚えた方はすぐさま、他のページへ移動してください(笑)

拍手、コメントありがとうございます。
お返事は次回更新でさせて頂きます。コースター欲しい方拍手も
前記事でまだまだ取り扱い中です。
なるべく空稲本の販売に間に合うよう、頑張ります。

小説は続き記事からです。


拍手[18回]




◆◆◆



「コレ、ウチのかみさんの蔵で実験的に作った酒なんだよね。
 なんでもチベットの米を使ったとか。
 試しに飲んで、感想聞かせてくれると嬉しいな」
そう言って入間基地にやって来た比嘉さんが置いて行ったのは、
濃い緑色の四合瓶だ。
ラベルは付いていない。
比嘉さんの話ではまだ製品としては販売していないもので、
改良中なのだそうだ。
今夜丁度彼女の部屋に行くことになっていたので、
手土産としてさっさと鞄にしまいこんだ。
 
 
 
「金色ですね。炭酸の入ってないシャンパンみたい」
グラスに注がれたそれを、彼女はつくづくと眺めた。
一応日本酒とのことで、途中デパ地下で購入した寒鰤の刺身と
彼女が阿久津さんからお土産に貰ったと言う出雲蕎麦が肴だ。
その酒はとろりとした甘みがある。
「…結構美味しいですね。つい過ごしちゃいそうです」
「………」
此処は彼女の部屋だし、その後の展開を考えたら、
今夜多少彼女が飲み過ぎても何とかなるか、
と能天気に考えて自分も杯を重ねた。
ところが、そろそろ四合瓶が空になろうと言う頃だろうか。
彼女が急に顔を真っ赤にして、立ち上がった。
「す、す、すみません!わたしちょっと」
彼女は一目散に居間から出て行った。
…もしかして飲み過ぎて冷えたかな?
そう思って待っていたものの、もう三十分も戻って来ない。
流石に心配になり、ソファから立ち上がり、居間の扉を開けた。
すると…。
真っ暗な廊下にポツンと、だぶだぶの服を来た六、七歳の女の子が
大きな瞳(め)で此方を見つめている。
「君は…?」
しゃがんで目線を合わせて、此処にいる事情を問おうと考えた時、
目の前の少女の顔立ちは、何処かで見たことがあるように思えた。
「…だ、大祐さん」
「………!?」
やや高い声ではあるものの、明らかに知っている声だ。
そう『彼女』、稲葉リカの声。
「ど、どうしよう…。わたしちっちゃくなっちゃったみたい」
「……リカ?」
「ハイ」
「本当にリカ?」
「そうですっ」
少女は真っ赤になって答えた。
「わたし…どうしよう」
少女は目の縁を赤くして、此方を見上げていた。
 
 
 
彼女がパジャマに着替えてきた。
「一番小さいのがコレでした」
無言で頷いたものの、どうにも落ち着かない。
事情は飲み込めた。
とにかく今目の前にいる少女――いや幼女と言っていい年齢の
この女の子は、リカなのだ。
小さな白い手や白い足が、いつもより殊更華奢に思えて、
どうにもそわそわする。
だからつい、目を反らしてしまう。
「……大祐さん」
「…………。」
「……やっぱり」
「え?」
「なんでもないですっ。もう遅いからそろそろ寝ませんか?」
見た目も幼くなると、表情も幼くなるのか、
いつも以上に感情が表に出やすいようで、
彼女がやや拗ねているのが解った。
だから、と言って…。
「お、俺、いや、僕は今日はソファで寝るよ」
「……なんでですか?」
「な、なんでって…」
今の彼女を彼女の部屋のシングルベットで二人、
身体を寄せあって眠るなんて、『犯罪』に近い気がする…。
「いつも一緒に寝てるのに」
それはそうなんだけど。
今の彼女に、それはかなりマズイと理解して貰うには
どうしたらいいだろうか?
中身は明らかに『彼女』で、二十代後半の大人の女性だ。
だが見た目は…六、七歳の少女だ。
先程まで彼女を抱き締めたり、キスしたりするのに、
罪悪感なんて欠片もなかった。
しかし今は違う。
もし自分の中の何かがぐらついて、万が一のことがあったら、
それは犯罪になってしまう。
はっきり言っておくが(誰に?とは言わないが)、
自分は普段ならばこの年齢の少女を、こんな風に意識したことはない。
勿論子供は好きだが、それは一般的な好きであって、
恋愛の対象としての好きではない。当たり前のことかもしれないが。
だが目の前の少女は『リカ』で、自分の婚約者で、
愛しくてならない女性で…。
いい加減、自分の思考に自家中毒を起こしかけた頃、
彼女が潤んだ瞳でこちらを見てはっきり言った。
「も、もういいですっ。ど、どうせわたし(今は)子供だし、
 大祐さん、呆れてるんでしょっ」
だぶだぶのパジャマを翻して彼女が居間から出て行こうとする。
反射的に手首を掴んで、彼女を腕に抱き締めた。
いつもよりずっと小さく、少女独特の柔らかさにドキリとする。
「ち…違うからっ」
「何が違うのっ。急にこんな子供になっちゃって大祐さん、
 呆れてるんでしょう?」
「呆れてない。そうじゃなくて…」
彼女の、これだけは子供になってしまう前の彼女と同じ、
細く滑らかな髪をなでた。
「…困ってる。だって今抱き締めてるのは、
 リカだって、よく解ってるから」
だが彼女だからと言って、自分の気持ちのままに彼女を
抱き締める以上のことは出来ない。
「わ、わたし、どうしようって。こんな子供になっちゃって、
 大祐さんに嫌われちゃったらどうしようって…そればかり考えて」
「……嫌わないよ」
「…本当?」
あどけない瞳が真っ直ぐこちらを見ている。
「リカさえ良ければ、きちんとリカがまた大人になって、
 僕がプロポーズしていい年齢になるまで傍で待ってる」
「…大祐さん」
「その頃には、俺、相当オジサンだけど」
「わたしはそれでも構わないですっ」
口はへの字のまま、彼女が抱き付いて来た。
「オジサンになっても大好きです」
「…僕もだ」
 
 
 
結局彼女と一つベッドで眠ることになった。
ぐらつく理性を押さえながら、これまたいつもと変わらず、
安心した表情で隣に眠る彼女を、つくづくと眺めた。
伏せられた長い睫毛。
やや淡い色の髪。
白い柔らかな頬。
きっと子供の頃に出逢っても、自分は彼女から
目が離せなかっただろう。
たまにしか自分には向けられない甘い笑顔を求めて、
色々とバカみたいなこともしてしまうかもしれない。
――もし、このままだったら。
彼女の顔を見るのが楽しみで、どんな仕事も苦にならなそうだ。
こう言うのを父性愛とでも言うのだろうか?
少し気持ちをもて余して、ため息をつきながら、
彼女の隣にそっと横たわった。
 
 
 
「大祐さん!」
彼女が僕を覗き込んでる。
「…おはよう」
「わたし、戻りました」
「…………、?!!」
目の前にいるのは、いつものリカだ。
昨夜の少女が育った、大人の女性の。
「起きたら戻ってました」
彼女はホッとした表情だ。
自分もホッとした。
しかし……少し残念な気もする。
断じてそう言う趣味はないけど…。
――そうか!
「リカ」
「はい?」
「子供」
「?」
「女の子。絶対女の子!リカそっくりな」
「…………」
「大切に大切に育てて、絶対嫁になんか出さない」
そう、女の子が生まれたら。
彼女そっくりの。
「……大祐さんがそう言うキャラとは知りませんでした」
彼女はかなり呆れ顔だ。
やがて来るであろう未来に、自分は大きく期待したのだった。





※空井くんはきっといいパパになると思いますが、
なんとなく空井家は男の子が生まれるような気がするの(笑)
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主婦
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読書・お絵かき・料理
自己紹介:
次女妊娠中にQEDにはまりました。
当然ですが、原作者および版権元様とは
一切関係がありません。
閲覧に関しては、個人で責任を負ってください。
著作権も一応手放してはいないので、
ご利用の際はご一報下さい。

……なんじゃ!このネタ!?と
思ったら、目をつむって十数えてなかったことに
して欲しいです^^;
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