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タタ奈々と空稲で二次してます。 どちらのジャンルも原作設定をメインとしております。
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すみません、今日は久々の2更新です。
蒼太のシリーズも着々と進んでいます。
最近自衛隊機のアレコレをレクチャーして下さる方が
お友達に増えまして、色々イメージも膨らみました。
未来型の戦闘機について、今色々考えているのですが、
いやーイメージ湧かないなあ…。
ロケットみたいに、かなり上空を飛べるものか
それともゲリラ戦や至近距離での警戒や戦闘に備えて
UFOのように離着陸が滑走の少ない範囲でできるものか…。
SFか(笑)って言う想像を膨らませています(^_^;)


梅雨の中皆様通勤通学お疲れ様です。

小説は続き記事からです。

拍手[12回]



◆◆◆


8月初旬、わたしは成田新国際空港の到着ロビーに立っていた。
彼に出迎えて貰うなんて初めてだ。
昨夜出発前に、彼の母親のリカさんから電話があった。
尋ねられたのは、何とわたしのスリーサイズだった。
何故?とも考えたが、リカさんは理由は言わず、
話題は他の事に変わってしまった。



日本に帰国する前日、仕事の確認の為義兄の入院先に立ち寄った時に、
兄に話してみた所兄は小さく苦笑すると、ゆっくり答えた。
「なんだ、わからないのか。相変わらず変わらないな、郁」
「え?」
「まあ……あの彼ならば、お前のそう言う部分も既に察しているのだろうな」
兄は近くのテーブルに置いてある楽譜を取ろうと手を伸ばしたので、
わたしはそっと届くよう、兄の車椅子を押した。
兄の足は今年に入ってから動かなくなって来ている。
最近ではほぼ毎日車椅子に座って、パソコンか特別に持ち込んでいるピアノの前で
仕事をしていた。
側にいて手をかけようとすると、全て自分で出来るよう方法を考えているから、
手出しは無用だと断わられてしまう。
そんな独立心は全く闘病前の兄とは変わらず、わたしは気付かれないように、
手を添えるのが精一杯だった。
「きっと大切な話があるだろうし、お前の立場も変わるだろう。
此方に気遣う必要はない。お前自身のしたいように決めてくると良い」
「そんな話のようには思えませんが………。
蒼太さんは今年の12月にブルーのチームからは異動になりますから、
その話でしょう」
「困ったヤツだな」
兄はわたしを見て微笑った。
「此方の仕事は、お前が先日紹介してくれたオーストラリア人のアシスタントで
十分間に合う。それなりに荷物の整理をしておくんだな。
式には出席出来ないかもしれないが」
「式?」
「お前とあのパイロットとの結婚式だ」
「まだ先の話ですよ」
「そんなにのんびりしていて良いのか?」
「でも」
「お前は細かい所にばかり気を使って、大切な物を逃すのは幼い頃からだ。
概略合っていれば、そう苦情は言われん。どうせ他に気持ちを向ける気もないのだろう?」
「ある訳ないじゃないですか!」
「では、何も問題はない」
兄は小さく笑い、背を向けた。
兄との会話が気に掛かったまま、わたしはボストンから成田に向かう便に
乗ったのだった。


時間、伝え間違えたかしら?
そう思っていた頃、いきなり背後から腕が回され、
わたしは相手が誰かもわからない内に抱きしめられてしまった。
「……アンタ、どうにかならないのか?その、スキだらけで立ってる所」
「そ、蒼太さんっ」
傍で聞きたくてたまらなかった、彼の低い声が耳許で囁く。
「蒼太さんがイジワルなだけですよ」
「荷物コレだけか?」
彼は腕を解き、わたしの空色のスーツケースを持つと、さっさと出口に向かう。
「車で来たんだ。首都高混んでて、少し遅れた。着いたばっかりで悪いんだけど……」
彼は俯いて、ポツリと言った。
「これから静浜まで行く」
「静浜?確か空自の基地がありましたね。教育隊のある……」
「やたらに詳しくなってるな。全く……」
わたしはすぐに彼の実家に連れて行かれるのだとばかり、考えていた。
「結構かかるけど、墓参りしたいんだ」
「お墓参りですか?」
「うん」
よく事情の飲み込めないまま、彼の実家で使っている青い車の前まで来た。
彼は黙々と荷物をトランクに積むと、わたしを促し、車に乗せたのだった。



「海が見えて来ましたね」
東名高速をひたすら走り、ようやく海が見える頃には夕焼けの空だった。
「しばらくしたら、富士山もよく見えるぜ。夜までに着けるかな?
途中、ホテルに電話入れないとダメかな。流石に日帰りは無理だったから」
「蒼太さん、答えたくないのならば答えなくても良いのですが、
一体何方のお墓参りなんですか?」
「先輩」
「え⁈何方か殉職なされた方ですか?」
「百里時代の先輩なんだ。静浜に実家がある」
「それは……」
彼と出会ったばかりの頃だ。
彼は松島に来る前に、百里基地に配属されており、
そこで彼と休暇を変わってくれた先輩が、交通事故でなくなったと聞かされた。
彼は後悔のあまり、幼い頃からの夢だったブルーインパルスの
パイロットと言う地位も、受け入れられないでいた。
けれどやっとその想いを口にして、彼はその時の自分を
やっと見つめることが出来たのだった。
「結婚の報告を、まずは先輩にするべきだと気付いた」
「え?」
「結婚式。ちゃんと話せなくて悪かったけど、郁、きちんと籍入れて
次の配属先には付いて来て欲しいんだ」
「……」
わたしはそこで兄の言葉を思い出した。
「次の配属先……少し難しい任務になる。家族以外には知らせられないことが
多いから、籍だけでも入れたいんだ」
彼はハンドルを握り前を向いたままだったが、
声がかすれていつもより自信なさ気な話し方をしていた。
照れてる?
そんな風に感じるのは、こんな真面目な話でおかしいかしら。
そう思ったら不謹慎ではあるけれど、微笑ってしまった。
「返事は?」
「え!」
「……お前な」
「は、は、はい。わたしは大丈夫です。仕事も一区切り付いてますし。
ネット通してできる仕事を受ければ、何処に住んでいても問題はありません」
「問題はありません……郁、これさ一応プロポーズ。しかも二回目の」
「あ……」
彼は眉をひそめて此方を向いた。
「は、はい。よろしくお願いします」
わたしの頬も思わず熱くなる。
「もう焼津だから、高速降りる」
彼は前を向いて、車線を左に変更した。
暮れていく陽射しが車内に差し込み、彼の柔らかい髪を金色の光で染めている。
ふと気がつくと、彼に見惚れている自分がいた。



翌朝早くに、わたしたちは駅前の花屋で珍しい
青いカーネーションの花束を持って、墓地に向った。
甘い香りが鼻をかすめる。
わたしはひたすら墓地を歩く彼の背中を追った。
しばらく彼は一つずつ確認するように墓標の前で立ち止まり、
やや奥まった場所の合歓の木の花が咲いている場所にある墓標の前に立った。
入り口から持ってきた手桶に汲んだ水を、柄杓で掬い、墓石にかける。
わたしも早くに母を亡くしている為、母の墓参りには
年に一回は必ず来ているが、それでも長年の外国暮らしから、
人の死に纏わる日本の風習にはなかなか慣れない。
前に立つ彼の行動をただ見ていた。
彼が手を出したので、花束を渡した。
「男が男に花送るなんて、今までないからこんな花だけど……。
先輩ほど空の色が好きな人もいなかっただろうから」
彼はポツリと呟いた。
それは側にいるわたしにではなく、恐らく墓標の下で眠る主に語りかけたものだろう。
「先輩、毎日朝昼晩と空を写メしてSNSにアップしてた。
ご家族が見るのも辛いからって言ってもう閉鎖しちゃったけど……。
まだ俺が隊に馴染まなかった頃、随分気にかけて貰って
そのSNSに登録勧められて、休憩時間に良く掲示されてた写真見てた」
「なんてSNSです?」
「写真投稿専門のコミュニティーだ。後でURL送るよ」
彼はいつものスラリと真っ直ぐな背筋で、墓の前に真向いに立ち、手を合わせた。
わたしも慌ててお辞儀して、手を合わせる。
「曽我先輩、今までこちらに伺わず申し訳ありませんでした。
無事第11飛行隊の任務も今年で終わります。
次の任務でまたしばらく伺えないと思いますが、必ずまた来ます」
彼の低い声を聞いて、そっと墓石に書かれた名前を見ると、
そこには『曽我家之墓』と書かれてあった。
わたしはもう一度手を合わせた。


彼の東京の実家に戻ると、玄関にはいかにも遊びたいと訴える瞳の
小さな茶色い子犬が尻尾を振っていた。
「大二郎、良い子で留守番してたか?」
彼は嬉しそうに子犬を抱いた。
「蒼太さんの弟は大二郎くんって名前なんですね」
「アンタさ、『大ちゃん』なんてまんま親父ですみたいな名前、
マトモに呼べると思うか?」
彼は真剣な表情で振り向いた。
「郁ちゃん、いらっしゃい」
リビングの扉を開けて、リカさんが笑顔で出てきた。
「静浜まで大変だったでしょう。今日はゆっくり休んで。
明日は市ヶ谷のホテルで衣装合わせをするから」
「衣装合わせ?」
「結婚式のよ」
「え⁈」
「なんだよ、結局防衛省の隣なんて言うベタな場所になったのか」
「仕方ないじゃない。コネが使えたの彼処しかなかったんだもの。
郁ちゃん、勝手に決めてしまって申し訳なかったのだけれど、
きちんとした式はまた後でやっても良いと思うの。
ただ蒼太が──沖縄に異動になる前に区切りをつけた方が
良いのかなと思って。沖縄に異動になる話はもう聞いたのよね?」
わたしはリカさんを見て頷いた。
墓参に行く前の日、焼津で宿泊したホテルで彼から
これから彼が着く任務について聞かされた。
軍事にはまるで疎いわたしだが、彼の立場がかなり厳しいものになることも
理解出来た。
次に異動する沖縄にも、一年も居らずにアメリカに行くことになる。
わたしは今の仕事をすぐに片づけて、沖縄に行く彼に付いて行こうと決めていた。
「あの……式は三日後、でしたっけ?」
「ええ」
「父に電話してみます。今、国立音楽院の教授は退任しているので、
もし飛行機にキャンセルがあればこちらに来れるかも」
「それなら早い方が良いわ。ウチの電話使って」
リカさんが部屋に上がるよう促すまでもなく、
彼はさっさと子犬を連れわたしの荷物を持ちリビングに向かう。
わたしも慌てて靴を脱ぎ、彼の後を追った。
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次女妊娠中にQEDにはまりました。
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……なんじゃ!このネタ!?と
思ったら、目をつむって十数えてなかったことに
して欲しいです^^;
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