タタ奈々と空稲で二次してます。
どちらのジャンルも原作設定をメインとしております。
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カレンダー、拍手ポチっありがとうございます!
すごいなあ…。
印刷屋さんの規定では50部までは何部刷っても同じようで、
いっそ50部刷ろうかなあと考えてみたり。
カレンダーは毎年作りたいと思うのですが、
販売時期が限られるためになかなか挑戦できずにいました。
嬉しいな(*^_^*)頑張るぞー!
今書いてる蒼太のお話に連動しています。
小説は続き記事からです。
すごいなあ…。
印刷屋さんの規定では50部までは何部刷っても同じようで、
いっそ50部刷ろうかなあと考えてみたり。
カレンダーは毎年作りたいと思うのですが、
販売時期が限られるためになかなか挑戦できずにいました。
嬉しいな(*^_^*)頑張るぞー!
今書いてる蒼太のお話に連動しています。
小説は続き記事からです。
◆◆◆
「来週、東京?」
「うん。部活は?大丈夫?」
「欠席届出した」
岐阜基地に勤める父と一緒に暮らし始めて、
半年が経とうとしていた頃だった。
今は母が一人、東京のマンションに暮らしている。
中三になり進路を決めるタイミングで、父の岐阜基地への
移転が決まり、母の昇進が決まった。
今までは父が遠方の基地に異動しても、東京で母と暮らし、
週末父が地方から東京に帰宅するのが普通の生活になっていたのだ。
九州や沖縄、北海道に異動になることを考えたら、岐阜は近い。
JRと新幹線でもすぐ東京に着く。だから、岐阜の高校への進学を
母に勧められた時は、心底驚いた。
「お父さんと暮らせる、最後のチャンスだと思うのよね」
母の表情は真剣そのものだった。
「お父さん、貴方が物心付いてからは此処から仕事に通えたこと、
なかったでしょう?高校卒業したら航空学校に行くのならば、
高校の三年間しかないと思うの。勿論貴方の進路だから、
東京に通いたい学校があるならば、無理は言わないわ」
「……岐阜かあ」
考えてもみなかった。
生まれてこのかた、生活圏が東京から離れたことはない。
しかし、将来自衛隊でパイロットになることを考えたら、
移動は当たり前のことになるだろうし、父と生活を共にして
仕事をする様子を間近で見るのは、いい経験になるだろう。
その週の土曜に父が帰宅し、珍しく三人で食卓を囲んだ時に
両親に向かって言った。
「岐阜の公立を受けようと思う」
すると母は頷いたが、父は何やら複雑な表情をした。
「……リカは?一人で大丈夫?」
「わたし?」
母はびっくりしたように、父を見た。
思いもよらないことを言われたらしい。
「わたしは…流石に朝のメイン番組のチーフともなると、
帰宅出来ないこともあるし。いくら高校生でも蒼太、
毎日一人に出来ないわ」
「リカが一人になるでしょう?」
此処まで来て、父が何を心配しているかピンと来てしまった。
ただでさえもあまり一般的ではない時間軸の勤務体制の仕事に、
家事――こと料理が多少苦手な母の生活の質が落ちることを、
父は心配したのだ。
今までは息子たる自分がいたから、母の生活もある程度守られて来ていた。
正直、料理、洗濯あたりには自信がある。
「今までは蒼太がいたから、リカ、帰宅がそんなに遅くならなくて
済んだでしょ」
「………」
考え込む母を見ながら、家族の中で奇妙な所に自分の存在意義が
あったもんだと、つくづくと思ったら、母が予想もしないことを言った。
「飲み会は一切断ります」
……飲み会?
ちょっと待て。
父の心配はそれなのか?
いや、解る気もするけれど。
確かにアルコールに弱い母が飲酒で油断して、自分が幼少の頃に、
深夜に奇妙な『お客さん』を連れてきたこともあった。
父が遠方へ移動していた間は、多分息子の自分を理由にして、
母は会社の懇親会は極力断るか、早めに切り上げていたようなのだ。
それが父には――何よりの安心だったらしい。
「毎日メールもします」
「それなら……蒼太、岐阜の高校受けるならば、
早くから此方に来ることになるけど」
父の笑顔に頷いて返した。
通学している高校は、アルバイトを禁止しており、
部活は必須だった為、一応陸上部に所属していた。
団体競技が特に苦手と言う訳ではないが、
黙々とロードワークするのは嫌いじゃない。
故にか、中距離のランナーとして地区大会まで出場する位にはなっていた。
その為、岐阜に来てからの半年間、東京に帰ったのは夏休みに一度だけ。
後は殆ど母が都合を付けて休暇に岐阜に来ていた。
先月岐阜に母が来た時に、母が珍しくポツンと
『わたしも此方で暮らしたいなあ』と呟いたのは、
らしくない一言だけに印象に残っていた。
「駅前のスーパーで買い物しよう。夕飯メニュー何にするかな」
岐阜駅からJRに乗り込んで、父と並んで駅弁の鮎姿寿司弁当を広げる。
「お袋、ロクなもの食ってなさげ」
「じゃあ、蒼太が作るか?ホラ、蒼太特製のナポリタン。
隠し味に蜂蜜使うヤツ。僕はサラダ作るから」
「ナポリタン~?折角だからもっと凝ったもののが、良くねえかな?」
「そんなことない。量も少し多めに作った方がいいよ。
リカ…いや、お母さん、ウチご飯だと食べっぷり違うから」
「だな」
早くも名古屋駅に到着する頃には、弁当の中身を空にした。
父は食べる物に執着があると思うのだが、母はどうだろう?
番組の企画でしょっちゅうレストランやデパ地下、
果ては食品工場まで取材に行っている割には、
自分自身の食べる物には案外関心が薄い気がする。
ただまだ自分が小学生の頃は、一時期パートタイム勤務の仕事に
着いていた時期もあり、不器用な手付きで
オヤツを手作りしていたこともあった。
母の作るサンドウィッチは、自分も好物で遠足の弁当と言えば
サンドウィッチだった。
母は母なりに必死なのだが、自分一人の為にはいかがなものだろうか?
なるべく野菜沢山入れよう、そんなことを考えていたら
ウトウトと眠くなって来た。
東京のマンションに着くと、まずは掃除から始める。
母も掃除はかなり細かな方なのだが、最近は仕事が忙しかったのだろうか?
ダイニングのテーブルにも資料らしきファイルや書類、
DVDなどが山積みになっていた。
父が手際よく片付け始めるのに釣られ、自分も片付けを始める。
父と暮らすようになって、作業の手順が良くなったのは、
自分でも気が付いていた。
父の真似をしていたら、自然とこうなっていたのだが、
それを父に話してみた所「前線に配備されたら誰でもそうなるよ」と
微笑っていた。
航空学校でも防大でもまずは掃除のやり方から習うそうで、
父の見立てでは自分は「悪くない生徒」とのことだった。
一時間程で掃除を終え、男二人で夕食を作り始める。
これもいつものこと、手慣れたもので何の打ち合わせもなく、
作業を分担している。
父が冷蔵庫から使う材料を出すと、自分は作る料理ごとに食材を分け、
野菜を洗い始める。
「相変わらずお母さん一人にしておくと、冷蔵庫に食材がない。
まあ……ずっと以前にお母さんが一人暮らししてた部屋に行った時に、
何か作ろうと思ったらお米と味噌しかなかったことがあった」
「…それで親父は何作ったんだ?」
「焼おにぎり」
「ぶはっ。……でもそれってノロケに聞こえる」
父の少し懐かしそうな横顔を見て、言ってみる。
「そうだな」
父は小さく笑った。
「親父、お袋にメールした?」
材料の野菜を刻みながら聞くと、父からは意外な返事が帰ってきた。
「今日はまだ」
「え?それじゃあ帰る時間解らないんじゃ……」
「昨日の電話では定時だって言ってたけどね。
実は今日東京に帰るって話してないんだ」
「えっ」
「サプライズしようと思ったから」
「……親父、それサプライズじゃなくて無謀って言わないか?
お袋、今かなり忙しいのは、俺部屋見ただけで解ったぞ」
「うん、だからスパゲッティ茹でるの少し待って。下拵えだけして待とう」
「解った」
材料の入ったボールにラップをかける。
今の時間は午後7時。
普通の家庭なら夕飯時だが、母の仕事では定時最速で帰宅しても、
8時は確実に回る。
予定外の仕事が入れば、その日のうちに帰れればいい方で、
大抵次の日の朝に消耗しきった様子で帰宅する。
普段のんびりとしているように見える父だが、
こと母に関しては細かな配慮と言うか管理を忘れない父が
良く母がこの仕事を続けていることを許しているものだと
感心したものだが、確かに今の仕事は母にとって天職なのは見ていて解る。
父にとっては、家族の側にいる母も大切だが、
きっと仕事に向かう母も大切なのではないだろうか。
「もしもし、リカ。うん、今夕飯の仕度してる所」
父は母からの電話に出ていた。
父のスマホは母からの電話は着信音が違うのですぐ解る。
「今日は?そちらは遅いの?9時ね、解った。帰り道気を付けて。お疲れ様」
父が電話を切った途端話しかける。
「やっぱり此方に来てるってナイショなんだ」
「うん。9時には出られるらしい」
「うげ。昼の駅弁、2個食っとけば良かった」
「蒼太、先食べるか?」
「いや、いーよ。待つ。此方の家で皆で食べるの、半年ぶりだし」
父はコーヒーを淹れ始めた。リビングにも薫りが広がる。
小さい頃から駅前にあった喫茶店で買ってきた豆だ。
久しぶりに会った喫茶店の店主のおじさんの白髪が、大分増えていた。
「牛乳入れるか、蒼太」
「自分でやる」
冷蔵庫を開け、買ってきた牛乳を取り出した。
「えええ!なんでアンタがいるのよ、蒼太」
「ひでーな!親父もいるよ」
「なんで連絡くれないの。知ってたら早く帰ったのに!」
母が玄関で靴を脱いだ所で、父がキッチンから顔を出した。
「お帰り、リカ」
「た……ただいま、大祐さん」
「夕飯、蒼太が作ったんだよ。早く食べよう」
「着替えて来ます。待ってて」
「ハイハイ」
自分もキッチンに戻り、スパゲッティを茹で始めた。
「すごーい、家に帰ってご飯があるって何日ぶりだろう……」
「リカ、また食べないで家でも仕事しようとしてたでしょう」
早くも着替えを終えて、母は父の買ってきた白ワインを飲む為の
グラスを取り出す。
「……どうして解るの」
「何も買って来てないし、会社でも食べてないでしょう」
「う……」
こと生活の管理に関しては母は父には分が悪いようだ。
助け船のつもりで声をかけた。
「ナポリタン、出来たよ」
「すごいね、蒼太が作ったんだ」
「サラダは僕が作った」
父の背中はサプライズを仕掛けられた母よりも、嬉しげに見える。
「あー、腹減った……」
「ゴメンね、遅くなっちゃって」
「いや、10時なら母さんにしては早い方っしょ」
そして三人が食卓についた。
「いただきます」
なんだか照れくさくなる。
ウチは多分他の家と、大きく違う。
家族全員で食卓に向かい合うのに、全力を尽くさなければならない。
同じ部活の友人やクラスメートに言わせると『家族とメシなんて、
すげぇうぜえ』が普通なのだそうだが、
こればかりは自分はそうは思わなかった。
「意外!蒼太、スッゴい美味しい」
「意外は外せ。意外は」
「サラダも美味しい。コールスローにゆで玉子、
ミモザにして載せるのも綺麗ね」
父がにんまりと笑う。
「でも、今度此方に帰る時には教えて欲しいな」
母が呟いた。
「やっぱり一度はご飯作って待ってたい。贅沢な望みだけど。
教えてくれたらキチンと休み取るから」
「じゃあ、次はそうしよう」
「お袋が作るなら……」
プリンが食べたいかなと言おうとして、止めた。
きっと父も同じことを言うだろうし、案外母にも解っているかもしれない、
そう思った。
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読書・お絵かき・料理
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次女妊娠中にQEDにはまりました。
当然ですが、原作者および版権元様とは
一切関係がありません。
閲覧に関しては、個人で責任を負ってください。
著作権も一応手放してはいないので、
ご利用の際はご一報下さい。
……なんじゃ!このネタ!?と
思ったら、目をつむって十数えてなかったことに
して欲しいです^^;
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