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タタ奈々と空稲で二次してます。 どちらのジャンルも原作設定をメインとしております。
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えー…。

わたし、ひとつ決断しました。
多分大きく環境が変わるために、今まで通りな活動が
出来なくなるかもしれません。
年末年始まではなんとかこのままでごあいさつしたいと
思ってはいます。



さて、本当に本の感想などありがとうございます。
皆様、真面目に入れて下さるのでとても
嬉しく、今個人的にかなり苦しいのですが、
大変な励みになっています。
今元気でいられるのは、コレのおかげ!!と言いっても
過言では全くありません。


今回はリカちゃんの過去のお話を書きました。
あの日の松島の手前までです。
広報室の方々の階級が、でたらめなんですが
チビちゃんによって原作が行方不明…(^_^;)
解り次第直します(>_<)ゞ





拍手[9回]





◆◆◆



『本日付で稲葉リカを、帝都イブニングディレクターとして
 異動を命ずる』
辞令に書かれた、たった一行の言葉。
わたしはその言葉で、自ら苦労して勝ち取った、リポーターの職を失った。
 
 
 
「…これって絶対左遷!」
思い出すのも悔しい。
「ディレクターが左遷って言えるのはリカだから、こそだねー」
高校時代からの友人、清香は声音も暢気そうに受け答える。
何せ高校時代学年一の成績を維持しそのまま東大の理学部に進みながら、
ゲーム会社に企画営業として勤めている変わり者である。
でも何故かわたしは愚痴る相手となると、いつも彼女を選んでしまうのだ。
「わたしたちの世界でディレクターっつったら、相当偉いよ。
 まあ、腕利きのプロデューサーには敵わない場合もあるけど。
 ディレクター…日本語にしたら『監督』だからね」
「…そうは言ったって」
顔に付けた美容液を伸ばしながら答えた。
「わたしの夢はリポーターからニュースキャスターになること
 だったんだから…これじゃあ全然違う。
 夕方のニュース番組のディレクターなんて、誰も観てない
 食べ物屋紹介なんかの…要は裏方の仕事なんだもん」
言う度に悔しくなる。
「で、異動になって最初の仕事がなんだっけ?」
「…自衛隊」
はあー、と大きなため息をつく。
「航空自衛隊の広報室だって。…空自なんて戦闘機が何かも知らなくて、
 飛行機乗ってるような人達の集団じゃない」
「そうかなあ。まあわたしはニュースに出てくる時しか自衛隊は興味ないけど、
 自衛隊と言えばこの前中国の四川の大地震でも活躍して、
 難しい国相手にニュースになってたじゃない」
「それは…立派だと思うわよ」
当時リポーターだったわたしは、自衛隊担当の仲間が取材に言った後、
興奮するように話していたのを聞いている。
正直言って、人を救うのが仕事なんだから当たり前のことに
何を感動しているだろうくらいに思った。
その翌週、『彼』に会うまでは。
 
 
 
「俺たちが人を殺したくて戦闘機に乗ってるとでも、」
目の前の芒洋とした青年が立ち上がり、いきなり叫び出した。
……わたし、何か間違ったこと、言った?
確かに自分の乗っていた飛行機が人を殺す為の物だと認識すれば、
激昂するか。
でもそれはあまりに認識不足なのは、そちらの方じゃない。
すぐに思ったのはそれだった。
けれども認識の転換を迫られ、己れの無知を自覚させられたのは
―――わたしだった。
目の前の――わたしを『稲ぴょん』と呼び捨てた(?)この空自広報室の長、
鷺坂さんは顔は笑っていても、目は笑っていなかった。
それでも教え諭すように紡がれた言葉は、考える必要に値して、
仕方なくとも受け入れるしかなかった。
そして――
彼、空井大祐の必死な表情。
それはわたしの心理に大きな印象を残した。
後日、もっと心に焼き付くような表情を見ることになるとは、
この時は全く考えなかった。
 
 
 
「……泣いたんだよ。27は越えた男の人が、突っ伏して」
ふうん、清香は電話の向こうで興味なさげに頷いた。
「なんて言うかさあ…」
「彼の涙にリカは完全にノックアウトな訳だ」
「はあ?!」
思わず電話を取り落としそうになる。
「清香、わたしの話ちゃんと聞いてる?わたしは呆れて…」
「そうかな?」
やはりいつもの暢気そうな声が返す。
「リカにしちゃ、珍しいと思って。あんたが呆れるような奴の話を
 一時間にも渡って、成り行きまでこと細かに話してさ」
「そ、それはテレビ局の人間としては真実を伝えるのは当然の…」
「真実を伝えたいと思うくらいには関心があるんだ」
からかうような口調に腹を立てながらも、わたしは何でもないように装う。
「関心は、あるわよ。取材対象だし、そうか、ああすれば意外な事実も
 聞けるんだって。
 …そうよ、呆れたわよ。
 戦闘機のパイロットだった人間が、あんな風に人前で泣くなんて」
「リカの前だから、泣いたのかも」
「え?」
持っていたブラシを思わず落とした。
「アンタ鈍いからね~。
 高校時代に気付かないアンタに撃沈した男子が何人いると思う?」
「ま、ま、まさか!それにあんなボンヤリした見た目の人、
 何とも思ってないっ」
気付いたら耳の辺りがカッと熱くなっている。
清香のバカ。
あのマイペースな言いたい放題は、どうにかならないものか。
それに………
空井大祐――大人の男の人があんな涙を流すのを、
わたしは初めて見た。
彼にとって『ブルーインパレスのパイロットになる』と言うことは
夢であり、目標であり――彼、自身でもあったのだ。
それがわたしにも解った。
そっと撫でてみた髪はふわりと柔らかくて、指先に少し絡んだ。
だってあんな風に泣いてる人の横でただ立ってるのも、おかしな話だ。
だから――仕方なく。
でも取材としては、成功したのだから、これくらいは良しとしよう。
そんな風に自分を納得させながら、清香との電話を切った。
『なでてて』
ふいに昼間彼が呟くように言った一言を思い出して、
心臓が音を立てて弾むのが解った。
 
 
 
色々とあったものの、わたしが空幕広報室との仕事を終え、
彼、空井大祐と折りに触れメールをやりとりしていた、そんな日々だった。
「リカ、知ってる?」
「え?」
ふいに他部署の女性ディレクターから声をかけられた。
「…『帝都朝ズバッと!』のお天気のお兄さん、いるじゃない?」
「ああ、あの岩上代議士の息子さん、だっけ?」
「そうそう。だから狙ってる女子多いのよー」
「そうかもしれないわね」
わたしは声をかけられて止めた、パソコンに入力する作業を再開した。
正直言って興味ない話題だが、他部署との交流は必要で
女子同士のこう言った話題も、周りとのコミュニケーションには重要だった。
「リカを狙ってるらしいよ」
「……?」
「岩上さん、この前、どうせなら『朝ズバッと』の
 ディレクターがリカならいいのにって言ってたんだって」
「そんなの…仕事の問題で、狙ってるとか狙ってないとか、
 そう言う問題じゃないんじゃ」
「違うんだなあ~、それが」
後ろに立つ彼女は軽くウィンクすると「じゃあ、これ阿久津さんに渡して」と
資料の束を置いて行く。
わたしは呆気に取られて、彼女の背中を見送ったが、
またすぐにパソコンの画面に視線を戻した。
彼からのメール。
『松島に異動になります』
空幕広報室の仕事を終えてから、彼と私的に会ったことはなかった。
ただ仕事で知り合った―――そうと断言してしまうにも、
何か違うと胸の奥で囁く声がする。
彼から送られて来るメールも互いの仕事の報告だったりはするものの、
今現在の仕事には全く無関係だった。
今回の内容も出だしは、千歳に異動になる鷺坂室長のお別れ会で、
何故か餅食い競争をしたことから始まっており、
その時に戦闘機で訓練中に、スクランブルがかかった時に味わった緊迫感以上に、
一瞬死を覚悟しただの、そんなことが彼らしい無邪気さで綴られていた。
松島に異動になる。
そうしたら、例えばほんの偶然でも彼と出会うことはなくなる。
会えなくなる。
何故それがこんなに重い気持ちになるのだろう。
そして、それは。
 
 
 
「会いたいからじゃない?」
「………」
またしても暢気な清香の声は、いつもの通りだ。
「そうやって…あの震災の時は東京の人間だって、
 身近な人以外は連絡するのは難しかったし。
 被災地でしかも任務に就いてた自衛官が、
 その日のうちに家族でもないのにメールはして来ないよ」
のんびりした口調だが、最後の方だけ珍しく真剣に聞こえた。
「……わたしも会いたいかも」
思わずポツリと言葉が零れた。
「仕事、ないの?被災地訪問の番組とか」
「…そう言えば阿久津さんが」
他部署の仕事だけれど、原発事故などの影響もあって
立候補するものがいないと言っていた。
「ありがとう、清香。わたし行って来る」
「ハイハイ」
早速社内メールで回ってきた仕事内容の記されたメールを確認する。
阿久津さんに明日朝一番で話そう。そう決めて。
 
 
 
仙台へと向かう飛行機は、まだ仙台空港が営業を再開したばかりで、乗客は少ない。
窓の外は抜けるような青空だ。
ふと、最後に会った時の彼のはにかんだような柔らかな笑顔が思い浮かび、
一人、顔を赤らめている自分に気付いた。


 
 
 
 
※鷺坂さんお別れ会で行われた、広報室必殺餅食い競争の結果発表。
 
開始5分で空井二尉が餅を喉につまらせ、敢えなくも辞退。
比嘉一曹と片山二佐が派手に競うも、鷺坂室長のオヤジギャグに
きな粉を吹いてしまい、途中休憩を入れた為、
優勝は隣で槙三佐の『丁寧にきな粉を付ける』と言う
真面目なサポートぶりにより、順調に記録を伸ばした
柚木三佐に決定となりました。

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思ったら、目をつむって十数えてなかったことに
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