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タタ奈々と空稲で二次してます。 どちらのジャンルも原作設定をメインとしております。
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先日の食わず嫌い王選手権、見ましたか?
いや、もう。
溢れてましたね。何かこう色気が。


と言う訳で、勝手に空井くんの苦手を設定してみました。

小説は続き記事からです。

拍手[13回]





◆◆◆


これは。
数の子である。
黄色いダイヤとも、呼ばれている。
親戚に北海道に住んでいる家族がいて、実家は毎年年末になると
必ず数の子があり、正月料理の松前漬けには、数の子が入っていた。
母が忙しい年の瀬に手作りしているこの松前漬けを、
数の子が苦手なあまり食べられない、なんてとても言い出せず、
却って意地になって食べたりした。
だから家族は自分が数の子嫌いだなんて、
思ってもいないだろう。
だから先日彼女を連れて、実家に戻って両親に会わせた時に、
母が穏やかな笑顔で『これ、大祐の大好物なんですよ』と松前漬けを出して来た時は、
ひっくり返りそうになった。
彼女は珍しそうに口に運びながら『美味しいです』と、
これまた僕にはなかなか向けないような笑顔でにっこり微笑っていた。



さて、今彼女がやや震える手付きで箸でつまんでいる
黄色い物体。
彼女の上司、阿久津氏が北海道土産に購入してきた
数の子の醤油漬けだった。
阿久津氏には彼女と付き合っていく上で、影に日向にと
様々な配慮を頂いており、日頃から帝都テレビには足を向けては寝られない、
とは思っていたものの、今日ばかりは少し恨みたくなった。
「だ、大祐さん。早く、く、口開けて」
こんな風に食べさせてくれるのが、好きなものなら、
差し出す彼女の白い指ごと食べたい気持ちなのに、何故かこんな時に限って数の子だ。

イクラはいい。
プチプチしていて、あの食感は許容範囲だ。
タラコも悪くない。
ピンク色は綺麗だと思うし、和食にもイタリアンにも合う。

しかし数の子はいけない。
ちょっと生臭いし、あのガリゴリする食感が許せない。
食べた後の、口に僅かに残るザラザラ感も嫌だ。

「大祐さん、ホ、ホラ。あーんてして下さいっ」
なんでこんな可愛い台詞を可愛い声で言うんだろう…。
彼女の箸がつまんだそれが口の中に投入される。
…………。



「大祐さん、本当に数の子好きですね。そんなにもぐもぐ…。うふふ、わたしも食べてみよう」
口を動かして、よく噛んで食べるのは、パイロット時代の癖だ。
彼女も嬉しそうに食べる。
「うん、美味しいですね。今料理番組のディレクションしてるんですが、番組の45周年で、北海道ロケするんです。函館の朝市に取材に行ってきたら、絶対買ってこよう。大祐さん、待ってて下さいね」
何故か婚約者の僕には滅多に向けられない、華やかな笑顔がこちらを向き、思わず口の中に残っていた数の子の小さな粒をゴクンと呑み込んでしまった。




このお話はつい友のひいちゃんへ♡
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思ったら、目をつむって十数えてなかったことに
して欲しいです^^;
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