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タタ奈々と空稲で二次してます。 どちらのジャンルも原作設定をメインとしております。
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久しぶりのSSの更新です。

先日のチャット会である話題が、場をさらいました。

リカちゃんがお酒に弱い?ところから、
飲んで記憶がなくなったことがあるかどうかと言うことから
始まったように記憶してるのですが、
な、な、なんと、記憶をなくしてあるものを
本当にお持ち帰りして帰った方がいらっしゃるのです!


そのあるものとは…?!

小説は続き記事からです。



拍手[26回]



◆◆◆



今日は日曜日。
五月の末の空は朝から高く澄んでいる。
長男の蒼太はもう起きているのか、リビングからはテレビの音がしていた。
ふと指を隣に伸ばす。
クイーンサイズのベットの自分の隣には彼女
…結婚してそろそろ六年になる妻が、寝ている…はず。
「……リカ」
手を伸ばすと絡まる柔らかい髪……が今日は指先に触れない。
アレ?
寝惚け眼のまま、隣を見るとベッドは空だった。
「……」
もう起きているのだろうか?
そう、昨夜は市ヶ谷への出張で千歳から来た槙夫人
――旧姓柚木さんと彼女は『女子会』と称して飲みに行っていた。
帰宅は遅くなるからと言われ、保育園から連れ帰った息子と二人、
夕飯と風呂を済ませ、先に休んだのだ。
彼女はもしかしたら帰宅していないのでは…。
不安になりスクランブルがかかった時のように、がばりと起き上がった。
すると、寝室の扉が遠慮がちに開いて、彼女によく似た淡い色の髪が見えた。
「お父さん」
息子は最近何を思ったか『パパ』とは呼ばなくなっていた。
そんな小さな背伸びを可愛らしく思いながら、微笑って挨拶をした。
「おはよう、蒼太」
「…あのね、お父さん。お母さんのこと…なんだけど」
「…お母さん?」
「あ、心配しなくていいっ!ちゃんとテレビの部屋の隣の和室で、
お布団かぶって寝てるからっ」
「まだ寝てるの?」
「…………うん」
ベッドからおり、息子の小さな肩に手を置いて、寝室を出た。
「あ、あのさ、お父さん」
リビングに入ろうとすると、息子が扉の前に立ちはだかった。
「あの…何を見てもびっくりしないで」
「?」
「……お母さんのお布団、一緒に……が寝てるから」
「え?」
「とにかくびっくりしないで」
息子が必死な様子で言うのに何やら気圧され、黙って頷いた。
恐る恐るリビングに入る。
テレビではDVDなのか、息子がお気に入りのブルーのアクロバット飛行を
集めた映像が流されていた。
「これ、去年のクリスマスに買った奴?」
息子はこっくりと頷いた。
ふと右側に目を向けると、リビング続きの和室の引戸が20センチ程開いている。
「リカ?」
すうすうと言う気持ち良さそうな寝息しか聞こえない部屋を、そっと覗いた。
「――――!」
さっき息子が言った時に、もしかしたら柚木さんが、
酔ったついでに我が家に妻と共に帰投して、
一緒に寝ているのかもしれないと予測はしていた。
その寝姿があまりに素晴らしいので、まだ五歳の息子の目を
驚かせたのではないかと。
しかし、今妻と共に布団に横たわっているのは、
もう少し大きめでがっちりとした影だ。
部屋が暗くて良く見えないが……。
まさか――
まさか、何かの間違いで酔った勢いから他所の男を
連れ込んでしまったのでは!?
それならば、息子が先程からやけに気まずそうなのが解る。
そんな…。
いや、彼女が浮気するとかそんなことは考えもしていない。
美人でありながら、妻は真面目な気質で、知り合ったばかりの男を
部屋に入れられるような性格ではない。
それに息子のことを考えたら。
いや、違うんだ、蒼太。
お母さんはお酒に弱いから、うっかり飲み過ぎて、
他の男をお父さんと間違えただけなんだ。
またテレビを見始めた息子の小さな背中を振り向いて、見た。
「大祐さん……」
やっぱり。
彼女の寝言らしき声が聞こえた。
許せない。
許せないことに彼女は、その影に腕を巻き付け、
抱き付いて眠っているらしい。
もう結婚して六年目になろうと言う今でも、なかなかそんなことはしないのに、
どういう訳かアルコールがある一定量以上入ると、
信じられないくらい可愛い笑顔で微笑んだり甘えたりする。
しかも本人は記憶に残らないようだ。
大体一緒に飲みに行った柚木――いや槙夫人もアルコールにはあまり強くない。
妻も槙夫人も当人たちは、まるで自覚がないようだが。
 
 
 
「リカ…!」
横たわる彼女の肩に手をかけた。
「う…ん、ごめんなさい。
わたしが一番大切なのはこの人なんです……!」
隣に横たわる影は白いスーツを着た男らしい。
図々しい奴だな…!
舌打ちしながら、覗き込むと……
 
 
 
「だから言ったでしょ。びっくりしないでって」
朝食のタマゴサンドを頬張りながら、息子はため息をついて言った。
「……一体『アレ』君一人でどうやって運んだの?」
「わ、わたし一人って訳じゃあっ!
マンションまで柚木さん、居たわよ!……って気がする」
ティーカップを持つ妻の声は次第に自信なさげに、小さくなった。
「どうするの?そろそろお店開く時間でしょ。
お店の人困ってるんじゃないかな?」
息子に言われ、思わず妻と顔を見合わせて、リビングを見た。
その視線の先には妻が酔って連れ込んだ珍客――白いスーツ、
見事な白髪、白い髭、黒縁眼鏡と黒いリボンのカー○ルサン○ース人形が、
いつも通りのにこやかさで立っていた。
「君はアレが僕に見えたんだ…」
「だ、だ、だって!わたし大祐さんが駅前まで迎えに来たのかと……!
ゆ、柚木さんだって『あ、空井がいる』って言ったと…思うし」
「だからって連れて帰らなくても」
「柚木さんが『ホラ、空井!そんなにグズグズしてるから、
相手は決まってるのに、三十路まで結婚出来ないんだよ』って
言って引きずって来ちゃって…」
柚木さん――いや槙夫妻には言われたくない。
「……今日のお昼はフライドチキンだね」
一瞬むっとしかけた所、息子が呟いた。
「今、仮面レイダーAIRのトレーディングカード貰えるし」
「……た、たまにはハッピーパーティセットとか、買っちゃおうか!蒼太」
「うん。一緒にコールスローも欲しい」
「そうね!パイロットになるなら、食物繊維は必要よね!大祐さん、行きましょっ」
「…………」
何だか結局息子に嵌められたような気がしながら、
リビングをもう一度見ると――一夜の宿を貸した珍客は、
いつも駅前で見掛けた通りの穏やかな微笑みで、此方を見つめ返した。



 


※実においしいネタを提供して下さった、ピカケさんに
このネタを捧げますm(__)m



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